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不動産売買において、売主が海外に住んでいる「非居住者」である場合、買主には所得税の源泉徴収義務が生じることがあります。このルールを知らずに取引を終えてしまうと、本来売主が支払うべき税金を買主が肩代わりして納めなければならない事態に陥りかねません。

この記事では、非居住者との不動産取引における源泉徴収の仕組みと、義務が発生する具体的な条件、トラブルを防ぐための対策について分かりやすく解説します。

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非居住者との不動産売買で発生する源泉徴収義務とは

不動産売買の相手方が「非居住者」に該当する場合、買主は代金の全額を売主に支払うのではなく、一定の税率を差し引いて国に納める義務があります。これが「源泉徴収義務」です。

日本の所得税法では、日本国内にある不動産を売却して得た利益に対して課税されます。売主が日本に住所を持っていない場合、国がその売主から直接税金を徴収するのが難しいため、支払者である買主に徴収の役割を課しているのです。

この仕組みを理解していないと、後から税務署より納税を求められ、思わぬ出費を強いられる可能性があります。

参考:国税庁HPタックスアンサー(よくある税の質問)

No.2885 非居住者等に対する源泉徴収のしくみ

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2885.htm

都心の区分オーナーチェンジ物件の売主

都心の区分オーナーチェンジ物件や一棟物件の売主が非居住者というケースも多くなりました。

以前、渋谷区某所のメゾン・ド・シリーズ(非敷地権・総戸数40弱)の土地の要約書を取得したところ、所有者の1/3が中国や台湾、韓国の方でした。

非居住者の定義と判断のポイント

そもそも「非居住者」とはどのような方を指すのでしょうか。基本的には、日本国内に「住所」を有さず、かつ現在まで引き続いて1年以上「居所」を有しない個人を指します。

判定の基準

  • 日本国内に住所がない:生活の本拠が日本にない状態です。
  • 1年以上日本を離れている:海外赴任や留学などで、1年以上日本を離れている期間が該当します。
  • 法人の場合:日本国内に本店や主たる事務所を有しない「外国法人」がこれに当たります。

売主が日本人であっても、海外で長く生活していれば税法上は非居住者として扱われる点に注意が必要です。

参考:国税庁HPタックスアンサー(よくある税の質問)

No.2875 居住者と非居住者の区分

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2875.htm

源泉徴収義務が免除される2つの条件

全ての非居住者との不動産売買において、源泉徴収が必要なわけではありません。以下の2つの条件を両方満たす場合には、買主の源泉徴収義務は免除されます。

1. 買主が個人であり、自己または親族の居住用として購入すること

買主が会社(法人)であったり、投資用として購入したりする場合は免除されません。あくまで「自分や家族が住むための家」として購入する場合に限られます。

2. 売買代金が1億円以下であること

取引価格が1億円を超える高額な不動産売買の場合、たとえ自己居住用であっても源泉徴収義務が生じます。

つまり、「個人が自分たちで住むために、1億円以下の物件を非居住者から買う」ケースであれば、源泉徴収の手続きは不要といえます。

源泉徴収が必要な場合の手続きと税率

条件に合致せず、源泉徴収義務が発生する場合、買主は以下の手順で納税を行う必要があります。

納税額の計算

源泉徴収すべき金額は、原則として売買代金の10.21%(所得税および復興特別所得税)です。

具体例を挙げると、代金が5,000万円で源泉徴収が必要なケースでは、510万5,000円を差し引いた4,489万5,000円を売主に支払い、差し引いた分を税務署へ納めます。

注意点として、手付金、残代金、固都税の清算等、支払いの都度、源泉徴収及び納付する必要があります。

納付の期限

買主は、代金を支払った月の翌月10日までに、管轄の税務署へ納付しなければなりません。

不動産売買契約書 特約例(公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会)

非居住者等に対する所得税の源泉徴収

1.売主及び買主は、売主が所得税法に定める非居住者(または外国法人)に該当することから、所得税法及び復興財源確保法に基づき、標記(〇〇)の売買代金(ただし、建物にかかる消費税等相当額を除いた金額。以下同じ。)の10.21%相当額である金○○○,○○○円を、買主が売買代金から源泉徴収することを確認する。

2.買主は、標記(〇〇)の手付金から源泉徴収額金○○,○○○円を、標記(〇〇)の第1回中間金から源泉徴収額金○○○,○○○円を、標記(〇〇)の残代金から源泉徴収額金○○○,○○○円を、それぞれ控除して売主に支払う。

3.買主は、上記源泉徴収した金員を、売主の税金相当分として、翌月10日までに所轄税務署に納付しなければならない。万一、納付をしなかった場合には、買主に対し、本来の税金に加えて、不納付加算税や延滞税が課される可能性がある。

トラブルを防ぐために確認すべき注意点

非居住者との不動産売買を円滑に進めるためには、契約前の準備が不可欠です。

まずは、売主の居住形態を事前に確認しましょう。仲介会社を通じて、売主の住民票や印鑑証明書、あるいは現地の居住証明書を確認してもらうことが重要です。

また、売買契約書の中に「源泉徴収に関する条項」を盛り込むことをお勧めします。源泉徴収が必要な場合に、代金の一部を直接税務署に納付することや、その際の手続きについて売主の同意を得ておくと、決済時のトラブルを未然に防げます。

まとめ:複雑な不動産取引はプロへの相談が近道です

非居住者との不動産売買における源泉徴収義務は、判定を誤ると買主に大きな不利益が生じる制度です。自己居住用か投資用か、価格はいくらかといった条件を冷静に整理して対応しましょう。

当社では、こうした複雑な権利関係や税務が絡む取引についても、仲介手数料最大無料という形でお客様をサポートしています。コストを抑えつつ、安全な不動産取引を実現したいとお考えの方は、ぜひ一度当社へご相談ください。

正確な知識と経験に基づき、あなたの不動産売買をバックアップいたします。

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    高場智浩
    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローン等、不動産に関することは何でもご相談ください。
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