賃貸物件|賃借人が負担する原状回復費用
賃貸物件|賃借人が負担する原状回復費用
独立行政法人国民生活センターの調査によると、賃貸物件の相談で一番多いのは、退去時の「原状回復」に関することだそうです。
全国の消費生活センター等には、毎年30,000件の賃貸物件に関する相談が寄せられていますが、そのうちの約4割が現状回復に関する相談となっています。

出典:独立行政法人国民生活センターHP
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)
PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワークシステム)とは、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのことです。
2008年度以降、1年間に約90万件の消費生活相談情報が登録されています。
2025年4月現在の接続先は下記のとおりです。
・消費生活センター等:約1,200カ所(専用端末 約3,400台)
・中央省庁等:18カ所
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
国土交通省では、賃貸物件の退去時における原状回復が大きな問題となっていることを受け、指針として「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成しました。
※2011年8月改定
「原状回復」の定義から始まり、費用負担の原則、特約の扱い等について記載されています。
トラブルへの備えとして、賃貸物件へ入居、又は退去する前に一読することをおすすめします。
「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、一般財団法人不動産適正取引推進機構のHPで公開されています。
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の公開先
一般財団法人不動産適正取引推進機構HP→「紛争の予防・処理」→啓蒙助言(手引等)
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」概要
原状回復の定義
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(以下「損耗等」という。)を復旧すること
特約について
契約自由の原則から、強行法規に反しないものであれば、特約を設け、一般的な原状回復義務を超えた一定の修繕等の義務を賃借人に負わせることも可能だが、今までの裁判例を踏まえると、下記要件を満たさない場合、効力を争われる可能性がある。
賃借人に特別の負担を課す特約の要件
① 特約の必要性があり、かつ、暴利的でないなどの客観的、合理的理由が存在すること
② 賃借人が特約によって通常の原状回復義務を超えた修繕等の義務を負うことについて認識していること
③ 賃借人が特約による義務負担の意思表示をしていること
原状回復の費用負担の原則
[賃貸人負担] 経年変化・通常損耗
[賃借人負担] 賃借人の故意・過失、借主の善管注意義務、通常損耗を超えるもの
部位別原状回復費用の負担者
[賃貸人負担]
・賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの
・次の入居者を確保するための化粧直し、グレードアップの要素が含まれるもの
[賃借人負担]
・賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりするもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)
・賃借人のその後の手入れ等管理が悪く、損耗が発生、拡大したと考えられるもの
損耗・毀損の事例区分(部位別)
床(畳、フローリング、カーペットなど)
[賃貸人の負担となるもの]
①畳の裏返し、表替え
特に破損していないが、次の入居者確保のために行うもの
②フローリングのワックスがけ
③家具の設置による床、カーペットのへこみ、設置跡
④畳の変色、フローリングの色落ち
日照、建物構造欠陥による雨漏りなどで発生したもの
[賃借人の負担となるもの]
①カーペットに飲み物等をこぼしたことによるシミ、カビ
※こぼした後の手入れ不足等の場合
②冷蔵庫下のサビ跡
※サビを放置し、床に汚損等の損害を与えた場合
③引越作業等で生じた引っかきキズ
④畳やフローリングの色落ち
※賃借人の不注意で雨が吹き込んだこと等によるもの
⑤落書き等の故意による毀損
壁・天井(クロスなど)
[賃貸人の負担となるもの]
①テレビ、冷蔵庫等の後部壁面の黒ずみ(いわゆる電気ヤケ)
②壁に貼ったポスターや絵画の跡
③エアコン(借主所有)設置による壁のビス穴、跡
④クロスの変色
※日照などの自然現象によるもの
⑤壁等の画鋲、ピン等の穴(下地ボードの張替えは不要な程度のもの)
[賃借人の負担となるもの]
①台所の油汚れ
※使用後の手入れが悪くススや油が付着している場合
②結露を放置し拡大したカビ、シミ
③クーラー(貸主所有)から水濡れし、借主が放置したため壁が腐食
④タバコ等のヤニ・臭い
※喫煙等によりクロス等が変色したり、臭いが付着している場合
⑤壁等のくぎ穴、ネジ穴
⑥クーラー(借主所有)から水漏れし、放置したため壁が腐食
⑦天井に直接つけた照明器具の跡
⑧落書き等の故意による毀損
建具(襖、柱など)
[賃貸人の負担となるもの]
①網戸の張替え
※破損はしていないが、次の入居者確保のために行うもの
②地震で破損したガラス
③網入りガラスの亀裂
※構造により自然に発生したもの
[賃借人の負担となるもの]
①飼育ペットによる柱等のキズ、臭い
※ペットにより柱、クロス等にキズが付いたり、臭いが付着している場合
②落書き等の故意による毀損
設備、その他(鍵など)
[賃貸人の負担となるもの]
①全体のハウスクリーニング
※借主が通常の清掃を怠った場合、借主の負担
②エアコンの内部洗浄
※喫煙等の臭い等が付着していない場合
③消毒(台所・トイレ)
④浴槽、風呂釜等の取替え
※破損等はしていないが、次の入居者確保のために行うもの
⑤鍵の取替え
※破損、鍵紛失のない場合
⑥設備機器の故障、使用不能
※機器の寿命によるもの
[賃借人の負担となるもの]
①ガスコンロ置き場、換気扇等の油汚れ、すす
※試用期間中に、清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合
②風呂、トイレ、洗面台の水垢、カビ等
※使用期間中に、清掃・手入れを怠った結果汚損が生じた場合
③日常の不適切な手入れもしくは用法違反による設備の毀損
④鍵の紛失、破損による取替え
⑤戸建賃貸住宅の庭に生い茂った雑草
経過年数の考慮等・賃借人の負担単位(原状回復の範囲)
畳
[畳表]①消耗品に近いもの ②経過年数は考慮しない
[畳床]耐用年数:6年
・賃借人の負担単位
①原則1枚単位
②毀損等が複数枚にわたる場合は、その枚数(裏返しか表替えかは毀損の程度)
カーペット・クッションフロア
・耐用年数:6年
・賃借人の負担単位:既存等が複数箇所にわたる場合はその居室全体
フローリング
[部分補修]経過年数は考慮しない。
[全部張替え]耐用年数:建物の耐用年数
・賃借人の負担単位
①原則㎡単位 ②既存等が複数箇所にわたる場合はその居室全体
壁(クロス)
・耐用年数:6年
・賃借人の負担単位
①㎡単位が望ましいが、借主が毀損させた箇所を含む一面分まで
②喫煙等により居室全体のクロスがヤニで変色したり臭いが付着した場合、居室全体のクリーニング又は張替費用
建具 [襖紙・障子紙]
①消耗品
②経過年数は考慮しない
[襖、障子等の建具部分・柱]経過年数は考慮しない
・賃借人の負担単位
①襖:1枚単位 ②柱:1本単位
経過年数による減価割合
賃借人の負担は、建物や設備等の経過年数(入居年数)を考慮し、年数が多いほど負担割合を減少させることとするのが適当であり、経過年数による減価割合は、償却年数経過後の残存価値が1円となるような直線(曲線)を描いて借主の負担を算定する。
設備機器(主なもの)
[流し台]耐用年数:5年
[エアコン・ガスレンジ]耐用年数:6年
[書棚・たんす・戸棚]耐用年数:8年
[便器・洗面台]耐用年数:15年
[ユニットバス・浴槽]耐用年数:建物の耐用年数
・賃借人の負担単位:補修部分、交換相当費用
鍵、鍵の紛失
・賃借人の負担単位
①シリンダーの交換 ②交換費用相当分全額
クリーニング
経過年数は考慮しない。
・賃借人の負担単位
①部位ごと又は住戸全体
②通常の清掃を実施していない場合、部位又は住戸全体の清掃費用相当全額
相談窓口
消費者ホットライン
電話番号:188
最寄りの相談窓口を案内します。
都道府県や政令市の消費生活センター等が話中でつながらない場合、国民生活センターの「平日バックアップ相談」の電話番号がアナウンスされます。
電話番号:03-3446-1623 受付時間:平日10時~12時/13時~16時
千葉県消費者センター
千葉県消費者センターでは、千葉県内に在住・在勤・在学の消費者を対象に、消費生活や多重債務に関する苦情や問い合わせについて、解決のための助言などを行います。
・訪問販売で高額な商品を契約してしまった。
・使った覚えのない電話サービスの利用料金請求がきた。
・クーリング・オフのやり方は。
・サイトでクリックしたら、前触れもなく請求画面になった。
・一人暮らしの母のもとに宗教の信者が押し寄せてきて判を押させられ、「入会」させられ、数珠などを購入させられた。
〈相談を受けることができない内容〉
・個人間のトラブル、人間関係のトラブル、労働問題、相続や家族関係のトラブル、慰謝料や損害賠償、事業を行っている方からの事業活動に関する相談
・他の消費生活センターや消費生活相談窓口等に相談中の案件
・事業者に対する指導権限はありません。また、事業者の信用性や商品・サービスの評価、価格の妥当性については回答できません。
千葉県消費者センター
住所:〒273-0014 船橋市高瀬町66-18
交通:JR京葉線「南船橋」駅 徒歩10分
相談専用電話番号:047-434-0999
来所相談の場合は電話にて予約が必要です。
受付時間:午前9時から午後4時30分まで(月曜日から金曜日)
午前9時から午後4時まで(土曜日)
※平日・土曜日とも祝祭日と年末年始を除く
聴覚に障害のある方はFAXで相談できます
FAX番号:047-431-3858
市原市消費生活センター
住所:〒291-0081 市原市五井中央西1丁目1番地25 サンプラザ市原2階
受付時間:午前8時30分から午後5時15分まで
※相談受付は午前9時から午後3時30分まで)
休業日:土曜日、国民の祝日(休日)、12月29日から1月3日
お問い合わせ
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