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賃貸住宅を退去するとき、「思っていたより原状回復費用が高い」「敷金がほとんど戻らない」「入居前からあった傷なのに請求された」といったトラブルが起きることがあります。

退去時の費用は、引越し費用や新居の初期費用と重なるため、金額が大きいと不安になりやすいものです。

ただ、原状回復トラブルは、退去時だけの問題ではありません。

契約前にどのような特約があるかを確認する。
入居時に傷や汚れを写真で残しておく。
入居中の設備不具合や水漏れを早めに連絡する。
退去時に立会い内容を記録する。

こうした積み重ねが、退去時のトラブル予防につながります。

この記事では、賃貸住宅の原状回復トラブルを防ぐために、契約前・入居時・入居中・退去時に確認したいポイントを整理します。

Contents
  1. はじめに|原状回復トラブルは「退去時だけ」の問題ではありません
  2. 原状回復とは、借りた部屋を新品に戻すことではありません
  3. 原状回復トラブルを防ぐために、契約前に確認したいこと
  4. 入居時に必ず残しておきたい記録
  5. 入居中にトラブルを大きくしないための注意点
  6. 退去前に確認したいこと
  7. 精算書・見積書が届いたら見るべきポイント
  8. 納得できないときは、説明を求めてから相談する
  9. 賃貸でも購入でも、契約前の確認が安心につながります
  10. 参考情報
  11. 辰巳地所のご紹介
  12. 気になる物件の仲介手数料を無料診断する
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はじめに|原状回復トラブルは「退去時だけ」の問題ではありません

原状回復費用をめぐるトラブルは、退去時に表面化します。

しかし、原因をたどると、入居時から確認しておけば防げたかもしれないケースもあります。

たとえば、入居した時点で床に傷があったのに、写真を撮っていなかった。
水漏れに気づいていたのに、しばらく放置してしまった。
契約時にハウスクリーニング費用の特約を見落としていた。
退去立会いで内容をよく確認しないまま署名してしまった。

このような小さな見落としが、退去時の「言った・言わない」につながることがあります。

もちろん、すべてのトラブルを完全に防ぐことはできません。

それでも、記録を残し、契約内容を確認し、早めに連絡するだけで、話し合いがしやすくなる場面は多くあります。

原状回復とは、借りた部屋を新品に戻すことではありません

原状回復という言葉を聞くと、「入居したときと同じ状態に戻すこと」と考えがちです。

しかし、原状回復は、借りた部屋を新品のように戻すことではありません。

普通に生活していれば、クロスは日焼けします。床には家具の跡がつくことがあります。設備も年月とともに古くなります。

こうした経年変化や通常の生活による損耗は、一般的には賃料の中に含まれているものとして考えられます。

一方で、借主の不注意で壁に大きな穴をあけた、飲み物をこぼして床を傷めた、結露やカビを長期間放置した、タバコのヤニや臭いが強く残った、といった場合は、借主負担になる可能性があります。

つまり、原状回復で大切なのは、「古くなったから全部借主負担」でも、「住んでいただけだから一切負担なし」でもないということです。

どの部分が通常の使用によるものなのか、どの部分が借主の使い方によるものなのかを、契約書や写真、明細をもとに確認していく必要があります。

原状回復トラブルを防ぐために、契約前に確認したいこと

退去時のトラブルを防ぐ第一歩は、入居前の契約確認です。

部屋探しでは、家賃、駅距離、間取り、築年数、設備に目が向きやすいものです。もちろん、それらも大切です。

ただ、退去時の費用負担は、契約書や重要事項説明書、特約に書かれていることがあります。

契約時に気になる点を確認しておくと、退去時に「そんな費用がかかるとは知らなかった」となりにくくなります。

ハウスクリーニング費用の負担を確認する

賃貸住宅では、退去時のハウスクリーニング費用を借主負担とする特約が入っていることがあります。

ハウスクリーニング費用そのものが問題というわけではありません。

ただ、契約時に金額や負担内容を確認していないと、退去時に請求書を見て驚くことがあります。

契約前には、次の点を確認しておきましょう。

・退去時のハウスクリーニング費用は誰が負担するのか
・金額は定額なのか、実費なのか
・エアコン清掃費用は別途かかるのか
・汚れの程度にかかわらず請求されるのか

特に、敷金から差し引かれる費用なのか、敷金とは別に請求される可能性があるのかは見ておきたいところです。

クロス・畳・鍵交換・エアコン清掃の特約を見る

契約書には、クロス、畳、襖、障子、鍵交換、エアコン清掃などについて、退去時の負担が定められている場合があります。

たとえば、「退去時に畳の表替え費用を借主が負担する」「エアコン清掃費用は借主負担とする」といった内容です。

特約があるからといって、すべてが当然に借主負担になるとは限りません。

しかし、契約時に説明を受け、内容を理解して合意していたかどうかは、退去時の話し合いにも関係します。

わからないまま署名するのではなく、「退去時に必ずかかる費用は何ですか」「通常の使用でも借主負担になる費用はありますか」と確認しておくと安心です。

禁止事項や修繕の連絡先を確認する

契約時には、禁止事項や修繕の連絡先も確認しておきましょう。

ペット飼育、喫煙、楽器演奏、壁への釘打ち、無断リフォーム、設備交換などは、契約で制限されていることがあります。

また、水漏れ、雨漏り、設備故障が起きたとき、どこへ連絡すればよいのかも大切です。

管理会社なのか、貸主なのか、24時間受付の窓口があるのか。

連絡先がわからず対応が遅れると、損傷が広がってしまうことがあります。

入居前の段階で、困ったときの連絡先をスマートフォンに登録しておくと、いざというとき慌てずに済みます。

入居時に必ず残しておきたい記録

原状回復トラブルを防ぐうえで、入居時の記録はとても大切です。

入居時の傷や汚れを記録していないと、退去時に「入居前からあったものか」「入居中についたものか」がわかりにくくなります。

特に、築年数が経っている物件や、前入居者の使用感が残っている物件では、入居時の状態を残しておく意味が大きくなります。

荷物を入れる前に室内全体を撮影する

写真を撮るなら、荷物を入れる前がおすすめです。

家具や家電を置いた後では、床や壁の一部が隠れてしまいます。

撮影しておきたい場所は、次のような部分です。

・各部屋の壁、床、天井
・玄関、廊下、建具、収納
・キッチン、浴室、トイレ、洗面台
・エアコン、給湯器、換気扇
・窓、網戸、バルコニー
・コンセント、スイッチ、照明器具

全体がわかる写真と、気になる部分のアップ写真を両方残しておくと、後から見返したときに場所がわかりやすくなります。

動画で室内を一周撮影しておくのも一つの方法です。

傷・汚れ・設備不具合は近くからも撮る

入居時に傷、汚れ、へこみ、浮き、シミ、カビ、建具の不具合などを見つけたら、近くから撮影しておきましょう。

ただし、アップ写真だけだと、どこの写真かわからなくなることがあります。

「部屋全体がわかる写真」
「場所がわかる中距離の写真」
「傷や汚れがわかるアップ写真」

この3種類を残しておくと、退去時に説明しやすくなります。

写真は撮るだけでなく、日付がわかる形で保存しておくことも大切です。

スマートフォンの写真データは消してしまうこともあるため、クラウドや外部ストレージにも残しておくと安心です。

チェックシートは控えを残しておく

入居時に、室内確認のチェックシートを提出する物件もあります。

チェックシートには、入居時からあった傷や汚れ、設備不具合を具体的に書いておきましょう。

「床に傷あり」だけではなく、「洋室南側の窓付近、フローリングに約3cmの傷あり」のように、場所と状態がわかるように書くと後から確認しやすくなります。

提出したチェックシートは、必ず控えを残しておきます。

紙で提出する場合はコピーや写真を残し、メールやフォームで送る場合は送信履歴を保存しておきましょう。

入居中にトラブルを大きくしないための注意点

入居時に記録を残していても、入居中の使い方や連絡の遅れによって、退去時の負担が大きくなることがあります。

特に、水漏れ、雨漏り、カビ、設備故障は、放置すると被害が広がりやすいものです。

「少し様子を見よう」と思っているうちに、床や壁、下階の部屋にまで影響が出ることもあります。

水漏れ・雨漏り・設備不具合は早めに連絡する

水漏れ、雨漏り、給湯器の不具合、エアコンの故障、換気扇の不調などに気づいたら、早めに管理会社や貸主へ連絡しましょう。

賃貸住宅の設備は、借主の所有物ではありません。

通常使用の範囲で起きた設備不具合については、貸主側の修繕が必要になる場合があります。

ただし、不具合を知っていながら長期間放置し、損傷が広がった場合は、借主側の管理の問題とされる可能性もあります。

連絡するときは、電話だけでなく、メールや問い合わせフォームなど記録が残る方法も使うと安心です。

写真を添えて連絡すれば、状況も伝わりやすくなります。

カビや結露は放置しない

カビや結露も、原状回復トラブルにつながりやすいポイントです。

日本の住宅では、冬場の結露や湿気によるカビは珍しくありません。

ただ、換気をほとんどしない、結露を拭き取らない、家具を壁に密着させて湿気をためてしまう、といった状態が続くと、借主の使い方が問題にされることがあります。

日常的に換気する。
結露を見つけたら拭き取る。
家具と壁の間に少し隙間を空ける。
浴室や洗面所の換気扇を活用する。

こうした基本的な使い方で、防げるトラブルもあります。

カビが広がってしまった場合や、建物の構造・雨漏りが関係していそうな場合は、自己判断で済ませず、早めに管理会社へ相談しましょう。

自分で修理する前に管理会社へ相談する

入居中に設備が壊れたとき、自分で修理したり、部品を交換したりしたくなることがあります。

しかし、貸主側に無断で修理や交換をすると、退去時にトラブルになる場合があります。

たとえば、勝手に設備を交換した、壁に穴をあけて部品を取り付けた、指定外の業者に工事を依頼した、というケースです。

小さなことに見えても、賃貸住宅では、まず管理会社や貸主へ相談するのが基本です。

緊急時を除き、修理前に連絡し、誰が費用を負担するのか、どの業者が対応するのかを確認しておきましょう。

退去前に確認したいこと

退去が決まったら、引越し準備と並行して、原状回復に関する確認も進めます。

退去直前は、荷造り、ライフラインの手続き、新居の準備などで忙しくなりがちです。

だからこそ、少し早めに契約書や入居時の写真を見返しておくと、退去立会いのときに慌てずに済みます。

契約書と特約をもう一度確認する

退去前には、契約書、重要事項説明書、特約をもう一度確認しましょう。

特に、次の項目を見ておきます。

・退去予告の期限
・敷金の精算方法
・ハウスクリーニング費用
・エアコン清掃費用
・鍵交換費用
・畳、襖、障子、クロスなどの負担
・短期解約違約金
・ペット、喫煙に関する特約

退去費用の請求があったとき、契約書のどの条項に基づくものなのかを確認できるようにしておくと、話し合いがしやすくなります。

入居時の写真と現在の状態を見比べる

退去前には、入居時に撮影した写真と現在の室内を見比べてみましょう。

入居時からあった傷や汚れ、入居中についた傷、通常の生活で自然に生じた傷みを整理しておくと、退去立会いのときに説明しやすくなります。

また、退去前にできる範囲で清掃しておくことも大切です。

通常の清掃で落とせる汚れをそのままにしておくと、ハウスクリーニングや補修の話が大きくなることがあります。

ただし、無理な清掃で素材を傷めてしまうと逆効果になる場合もあります。

研磨剤や強い薬剤を使う前に、素材に合った方法か確認してから行いましょう。

退去立会いでは写真とメモを残す

退去立会いでは、できるだけ写真やメモを残しながら確認しましょう。

どの箇所を指摘されたのか。
その場でどのような説明があったのか。
費用は概算なのか、確定額なのか。
後日見積書が出るのか。

こうした点を記録しておくと、後から精算書を見たときに確認しやすくなります。

退去立会いの場で署名を求められることもあります。

内容に納得できる場合は問題ありませんが、金額や負担内容に疑問がある場合は、その場であわてて署名しないようにしましょう。

「明細を確認してから回答します」
「契約書と照らし合わせて確認します」
「内容を持ち帰って確認したいです」

このように伝えることも考えられます。

精算書・見積書が届いたら見るべきポイント

退去後に精算書や見積書が届いたら、まず内訳を確認します。

金額だけを見て「高い」「安い」と判断するのではなく、何に対する費用なのかを一つずつ見ていきましょう。

費用の内訳が具体的に書かれているか

精算書に「原状回復費用一式」とだけ書かれている場合、内容がわかりません。

クロス張替えなら、どの部屋のどの面を何㎡張り替えるのか。
床補修なら、補修なのか全面張替えなのか。
クリーニングなら、契約書に特約があるのか。

内訳がわからない場合は、管理会社や貸主に説明を求めましょう。

問い合わせるときは、「高すぎる」と感情的に伝えるより、「内訳を確認したい」「どの箇所の補修費用なのか知りたい」と伝える方が、話が整理しやすくなります。

通常損耗や経年変化まで請求されていないか

通常の生活で生じる程度の傷みや、時間の経過による劣化まで借主負担として請求されていないか確認します。

日焼けによるクロスの変色、家具を置いたことによる床のへこみ、設備の自然な老朽化などは、ケースによって通常損耗や経年変化として扱われることがあります。

ただし、通常損耗かどうかは、具体的な状況によって変わります。

入居時の写真、使用期間、損傷の程度、契約内容を照らし合わせながら確認することが大切です。

補修範囲が広すぎないか

借主負担になる傷や汚れがある場合でも、補修範囲が広すぎないかは確認したいポイントです。

たとえば、壁の一部に傷があるだけなのに、部屋全体のクロス張替え費用を請求されている場合、その範囲が妥当なのか確認する余地があります。

もちろん、同じ材料が手に入らない、部分補修では見た目の差が大きいなど、貸主側の事情がある場合もあります。

それでも、なぜその範囲の補修が必要なのか、説明を求めることはできます。

経過年数が考慮されているか

長く住んだ部屋では、設備や内装の価値が時間とともに下がっていることがあります。

そのため、借主負担になる場合でも、新品交換費用の全額を当然に負担するとは限りません。

国土交通省のガイドラインでは、経過年数を考慮する考え方が示されています。

退去費用の請求を受けたときは、使用年数や入居期間が考慮されているかを確認しましょう。

特に、クロス、床、設備などの交換費用が大きい場合は、経過年数の考え方を確認しておくと、話し合いの材料になります。

納得できないときは、説明を求めてから相談する

原状回復費用に納得できないときは、まず管理会社や貸主に説明を求めましょう。

そのうえで、話し合いが進まない場合や、請求内容に不安が残る場合は、消費生活相談の窓口を利用することもできます。

まずは管理会社・貸主に内訳を確認する

最初に確認したいのは、請求の根拠です。

・どの箇所の補修費用なのか
・契約書のどの条項に基づく費用なのか
・通常損耗や経年変化との関係をどう考えているのか
・補修範囲はなぜその範囲なのか
・見積書や写真は確認できるのか

このように、具体的に確認していきます。

電話で話した場合も、後から確認できるように、日時、担当者名、話した内容をメモしておきましょう。

消費者ホットライン188を利用する

どこに相談すればよいかわからない場合は、消費者ホットライン188を利用できます。

消費者ホットライン188は、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を案内する全国共通の電話番号です。

原状回復費用や敷金精算について不安がある場合、相談先を探す入口として利用しやすい窓口です。

相談するときは、契約書、重要事項説明書、特約、精算書、見積書、写真、管理会社とのやり取りの記録を手元に用意しておくと、状況を説明しやすくなります。

千葉県消費者センター・市原市消費生活センターに相談する

千葉県内にお住まいの方は、千葉県消費者センターや、お住まいの市町村の消費生活相談窓口に相談できる場合があります。

市原市にお住まいの方は、市原市消費生活センターへの相談も検討できます。

相談窓口の受付時間や相談方法は変更されることがあるため、相談前に最新の案内を確認しておきましょう。

原状回復トラブルは、金額だけでなく、契約書の内容、写真、明細、当事者間のやり取りなどを総合的に見る必要があります。

相談前に資料を整理しておくと、相談員にも状況が伝わりやすくなります。

賃貸でも購入でも、契約前の確認が安心につながります

原状回復トラブルは賃貸住宅の話ですが、「契約前に費用と条件を確認する」という点では、住宅購入にも通じる部分があります。

賃貸では、敷金、原状回復費用、ハウスクリーニング費用、特約、退去時の負担区分を確認します。

住宅購入では、物件価格だけでなく、仲介手数料、登記費用、住宅ローン費用、火災保険料、固定資産税等の精算金、管理費・修繕積立金、リフォーム費用などを確認します。

どちらも、契約してから「思っていた費用と違った」と感じると、不安が大きくなります。

住まいの契約では、わからないことをそのままにしないことが大切です。

費用の意味、負担の範囲、契約条件を一つずつ確認していくことで、納得して住まい選びを進めやすくなります。

参考情報

確認日:2026年6月14日

・独立行政法人国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」
・独立行政法人国民生活センター「賃貸住宅退去時トラブルの対処法-入居時からできる対策-」
・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
・国土交通省「賃貸住宅標準契約書」
・e-Gov法令検索「民法」第621条
・消費者庁「消費者ホットライン」
・千葉県「千葉県消費者センターのご案内」
・千葉県「消費生活などのご相談窓口」
・市原市「消費生活相談のご案内」

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    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談を、わかりやすく丁寧にサポートいたします。
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