クラブツーリズム

住宅購入や不動産売買では、物件価格や住宅ローン、諸費用など、大きなお金のやり取りが発生します。

そのため、「フィッシング詐欺」や「不正送金」と聞くと、少し不安になる方もいるかもしれません。普段からインターネットバンキングを使っている方であれば、「自分の口座は大丈夫だろうか」と感じることもあると思います。

結論からいうと、必要以上に怖がる必要はありません。ただし、メールやSMS、LINE、偽サイトなどを使った詐欺は年々巧妙になっており、不動産取引のように大きなお金が動く場面では、これまで以上に慎重な確認が大切になっています。

警察庁が公表した「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」でも、フィッシング報告件数の増加や、インターネットバンキングに係る不正送金被害、SNS型投資・ロマンス詐欺などの深刻な状況が示されています。

この記事では、警察庁の資料をもとに、住宅購入・不動産売買の場面でどのような点に注意すればよいのかを、できるだけ分かりやすく見ていきます。

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サイバー犯罪は、特別な人だけが狙われるものではなくなっている

サイバー犯罪というと、企業のシステム攻撃や専門的なハッキングを思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかし、実際にはもっと身近なところで被害が起きています。メール、SMS、SNS、メッセージアプリ、ネットバンキング、通販サイトなど、日常的に使っているサービスが犯罪の入口として悪用されることがあります。

警察庁の資料では、令和7年の特殊詐欺の被害額は約1,414億2,000万円、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害額は約1,827億円とされています。特にSNS型投資・ロマンス詐欺は、SNSやメッセージアプリで信頼関係を作り、投資金や手数料などの名目で金銭をだまし取る手口です。

令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について「SNS型投資・ロマンス詐欺の認知件数・被害額」

※出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

不動産取引と直接関係がないように見えるかもしれませんが、共通しているのは「相手を信用させて、お金を動かさせる」という点です。

住宅購入でも、売買契約、住宅ローン、決済、登記、火災保険など、さまざまな相手と連絡を取りながら手続きを進めます。その中に不審な連絡が紛れ込んだ場合、忙しさや焦りから、つい信じてしまう可能性があります。

フィッシング詐欺は、見た目だけで判断しにくくなっている

フィッシングとは、実在する企業や金融機関などを装い、偽のメールやSMSから偽サイトへ誘導し、ID、パスワード、クレジットカード番号、認証コードなどを入力させる手口です。

警察庁の資料によると、令和7年のフィッシング報告件数は245万4,297件でした。また、インターネットバンキングに係る不正送金事犯は4,747件、被害総額は約103億9,700万円となっており、その手口の約9割をフィッシングが占めています。

インターネットバンキングに係る不正送金被害額及びフィッシング報告件数

※出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

以前は、詐欺メールといえば日本語が不自然だったり、見た目が明らかに怪しかったりするものも少なくありませんでした。

ところが最近は、文面もデザインも本物に近づいています。金融機関、宅配会社、クレジットカード会社、ECサイト、行政機関などを装うものもあり、急いでいるときほど見落としやすくなります。

住宅購入を進めている時期は、物件資料、住宅ローン審査、本人確認書類、契約日程、請求書など、普段より多くの連絡が届きます。その中で、偽の案内を本物だと思い込んでしまうことも考えられます。

不動産取引で特に注意したいのは「振込先の変更」です

不動産取引では、手付金、残代金、登記費用、仲介手数料、火災保険料、住宅ローン関係費用など、まとまった金額を振り込む場面があります。

そのため、もっとも注意したいのが、振込先を変更させようとする連絡です。

たとえば、メールで「振込先口座が変更になりました」「本日中にこちらへ送金してください」といった案内が届いた場合は、すぐに振り込まない方が安心です。差出人の名前が担当者と同じでも、メールアドレスが似ていても、それだけで本物とは判断できません。

振込前には、契約書類や正式な請求書と照合し、以前からやり取りしている電話番号や、会社の代表番号にかけて確認しましょう。メールに書かれた電話番号ではなく、名刺や公式サイト、契約書類に記載された連絡先を使うことが大切です。

ほんの少し手間はかかりますが、不動産取引では一度の送金額が大きくなります。面倒に感じる確認ほど、後から大きな安心につながります。

二段階認証があっても、油断はできない

「二段階認証を設定しているから大丈夫」と考えている方もいると思います。

もちろん、二段階認証は大切な対策です。ただ、警察庁の資料では、リアルタイム型フィッシングにより、二段階認証を突破する手口が見られることも説明されています。

リアルタイム型フィッシングでは、偽サイトに入力されたIDやパスワード、認証コードなどがすぐに悪用されます。利用者本人が操作しているように見せかけて、不正ログインや不正送金につながるおそれがあります。

リアルタイム型フィッシングの手口

※出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

住宅ローンや不動産取引でも、金融機関のマイページ、本人確認サービス、電子契約サービスなど、オンラインで手続きを進める機会が増えています。

メールやSMSに届いたURLからそのままログインするのではなく、公式アプリやブックマークした公式サイトからアクセスする。これだけでも、偽サイトに誘導されるリスクを下げやすくなります。

偽サイトやなりすまし広告にも注意したい

警察庁の資料では、実在する企業のサイトを模したフィッシングサイトや、インターネットショッピングに関する詐欺、偽ブランド品販売を目的とするサイトなど、偽サイト等に関する情報報告件数が増加していることも示されています。

令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

※出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

住まい探しでも、物件情報サイト、リフォーム会社、引越し会社、家具・家電販売サイトなど、さまざまなウェブサイトを利用します。

検索結果やSNS広告に表示されたサイトでも、必ず安全とは限りません。極端に安い価格を強調していたり、会社情報が分かりにくかったり、支払いを急がせたりするサイトには注意が必要です。

不動産情報についても、掲載されている内容だけで判断せず、取扱会社、取引条件、諸費用、仲介手数料の扱いなどを確認しておくと安心です。

生成AIの影響で、詐欺の見分け方も変わってきている

最近は、生成AIの普及によって、詐欺メールや偽サイトの文面が自然になりつつあります。

警察庁の資料でも、生成AIを悪用してフィッシングサイトを作成した事案や、不正プログラム作成に関する事案が紹介されています。これまでのように「文章が変だから怪しい」と判断するだけでは、見抜きにくいケースが増えていると考えた方がよさそうです。

生成AIを悪用した不正プログラム作成の概要

※出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」

不動産取引では、本人確認書類、源泉徴収票、課税証明書、住宅ローン関係書類など、重要な個人情報を扱います。

書類を送る前には、送信先のメールアドレスが正しいか、ファイル共有URLが本当に担当者から届いたものかを確認しましょう。少しでも違和感がある場合は、メールで返信する前に電話で確認した方が安心です。

市原市・千葉市で住まい探しをするときに意識したいこと

市原市・千葉市周辺で住宅購入を進める場合も、基本は同じです。

SUUMO、アットホーム、HOME’Sなどで気になる物件を見つけたら、物件価格だけでなく、仲介手数料、登記費用、住宅ローン関係費用、火災保険料、固定資産税等の精算金なども含めて、全体の費用を確認していく必要があります。

その過程では、不動産会社、金融機関、司法書士、保険会社など、複数の関係者と連絡を取ることになります。やり取りが増えるほど、メールや添付ファイル、振込先の確認は大切になります。

特に、振込先の変更、急な支払い依頼、ログイン情報の入力依頼、本人確認書類の再送依頼などが届いた場合は、いったん立ち止まってください。急がされる連絡ほど、落ち着いて確認することが大切です。

不安を感じたときは、一人で判断する必要はありません。担当者へ確認しながら進めることで、防げるトラブルもあります。

まとめ|怖がりすぎず、確認の手順を決めておく

フィッシング詐欺、不正送金、偽サイト、SNSを悪用した詐欺は、以前よりも身近な問題になっています。

住宅購入や不動産売買では、大きなお金と重要な個人情報を扱います。そのため、サイバー犯罪への注意は、特別な知識というより、安心して取引を進めるための基本的な確認作業と考えるとよいでしょう。

大切なのは、メールやSMSのリンクをすぐに開かないこと。振込先の変更は必ず別の方法で確認すること。オンライン手続きは公式サイトや公式アプリから入ること。そして、不安なときは、担当者や金融機関へ確認することです。

住まい探しは、楽しみな反面、分からないことも多いものです。だからこそ、物件や住宅ローンだけでなく、手続きの安全性も含めて、一つひとつ確認しながら進めていきましょう。

参考情報

確認日:2026年7月2日

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    高場智浩
    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談を、わかりやすく丁寧にサポートいたします。
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