「簡単に稼げる副業」に注意|AI副業・高額スクール・借金トラブルの実例と見分け方
「スマホで簡単に稼げる」「AIを使えば未経験でも月収50万円」「いいねを押すだけで報酬がもらえる」
SNSや動画サイトを見ていると、このような副業広告が表示されることがあります。収入を増やしたい、将来に備えたい、新しい技術を仕事に生かしたいと考えることは、決して不自然ではありません。
問題なのは、その気持ちにつけ込み、仕事内容を十分に説明しないまま高額な契約へ誘導したり、消費者金融から借り入れさせたりする勧誘です。
最初は無料の説明会や数千円程度の教材だったのに、電話やオンライン面談が始まると数十万円、場合によっては百万円を超えるプランを勧められることもあります。国民生活センターや消費者庁は、簡単なタスクをうたう副業、高額な副業サポート、借金を伴う契約などについて、具体的な相談事例を公表しています
AIを学ぶことや副業に取り組むこと自体が問題なのではありません。広告に書かれた収益額だけでなく、何をして報酬を得るのか、誰とどのような契約を結ぶのか、最終的にいくら支払うのかを確認することが必要です。
最初に確認したい5つの危険なサイン
副業の説明を受けるなかで、次のような状況になった場合は、その場で契約や送金を進めず、一度立ち止まってください。
- 仕事内容が分からないまま、参加費や保証金を求められる
- 当初の説明になかった高額プランへ誘導される
- 「すぐに元が取れる」と借金やリボ払いを勧められる
- 借入れや送金のために画面共有・遠隔操作を求められる
- 「今日だけ」「残り一枠」などと、その日の決断を迫られる
正規のスクールや教材にも、受講前に料金を支払うサービスはあります。そのため、先払いというだけで直ちに問題のある契約とは判断できません。
一方、報酬を受け取るための手数料、作業の失敗を理由とする補塡金、説明されていなかった追加プランなどを後から繰り返し請求される場合は、慎重な対応が必要です。
公的機関に寄せられた副業トラブルの実例
少額の報酬を受け取った後、約50万円を請求された事例
国民生活センターが公表した相談事例では、SNSで「動画を見て、いいねをするとお金がもらえる」と説明された20歳代の女性が、指示された作業を3日間行い、最初に約2,500円の報酬を受け取っています。
実際に入金されたことで相手を信用しやすくなったところ、その後の作業について「失敗したのでグループの連帯責任になる」と言われ、約50万円を支払いました。さらに、報酬を送るために必要だとして、次々に請求されたという内容です。
最初に少額でも報酬が振り込まれると、「本当に仕事として成立している」「もう少し続ければ支払った分を取り戻せる」と考えてしまうことがあります。
しかし、報酬を受け取るために追加送金が必要だと言われても、その説明どおりにお金が戻るとは限りません。仕事内容や契約相手が分からない状態で振込みを求められた場合は、相手の指示だけで支払わないことが大切です。
遠隔操作アプリを使い、複数社から借り入れた事例
別の相談では、スキマ時間にできる副業へ登録した後、遠隔操作アプリをインストールし、消費者金融4社へ申し込むよう指示されています。
相談者は借金をする理由に疑問を感じたものの、「後で返金する」と説明されたため手続きを進めました。借りたお金は暗号資産に交換して送金するよう求められ、電話を切った後になって不審に感じたといいます。
また、「動画を見るだけ」という副業へ登録した20歳代の男性が、スマートフォンを遠隔操作され、消費者金融2社からそれぞれ30万円を借り入れられた事例も公表されています。本人は「返済は不要」と説明されていましたが、数か月後に貸金業者から督促を受けました。
遠隔操作や画面共有は、機器の設定を支援する正規のサービスでも利用されています。ところが、借入れや送金の場面で使われると、本人が十分に内容を理解しないまま申込みが進むおそれがあります。
「操作を手伝うだけ」と言われても、消費者金融や銀行、クレジットカードの画面を相手に見せることは避けてください。
高額なアフィリエイトサポートを契約した事例
国民生活センターには、ネット広告から登録した事業者にアフィリエイトのサポートコースを勧められ、画面を共有しながら、その日のうちに消費者金融から合計450万円を借り入れたという相談も寄せられています。
AIで作成した競馬予想ソフトを使えば利益を得られると説明され、消費者金融から合計100万円を借り、個人名義の口座へ振り込んだ事例もあります。
消費者庁も、SNSに表示されたアンケート副業の広告をきっかけに、アフィリエイトの高額なサポートプランへ勧誘された事例について注意を呼びかけています。
「初心者でも簡単に稼げる」「このプランなら月50万円が当たり前になる」「利益が出なければ返金保証がある」などと説明され、契約したものの、期待した報酬が得られなかったという相談です。
成功例や将来の収益だけを見せられると、高額な契約でも短期間で回収できるように感じるかもしれません。しかし、将来得られるか分からない収入を前提に、返済能力を超える借入れをすることには大きな負担が伴います。
副業トラブルはどのように進むのか
SNS広告からメッセージアプリへ誘導される
副業トラブルの入口は、SNS広告、動画広告、検索結果、ランキング形式のサイトなど、普段利用しているサービスの中にあります。
広告をタップすると、メッセージアプリへの登録を求められ、「簡単なアンケート」「動画を見るだけ」「画像を選ぶだけ」といった作業が案内されます。
この段階では費用の説明がなかったり、必要な金額が数千円程度だったりするため、警戒しにくいことがあります。
無料相談や少額の商品から高額契約へ進む
安価なマニュアルや教材を購入すると、個別サポートなどの名目で電話やオンライン面談へ誘導されることがあります。
そこで、「安いプランでは十分な成果が出ない」「本気で稼ぐ人は上位プランを選ぶ」と説明され、数十万円以上の契約を勧められる流れです。
高額なサービスであっても、内容と価格が見合っていれば直ちに問題とはいえません。確認したいのは、広告の段階から料金総額が示されていたか、追加プランの内容が具体的か、断っても勧誘が続かないかという点です。
支払えないと伝えると借入れを勧められる
「その金額は払えない」と伝えた後に、消費者金融、カードローン、リボ払い、クレジットカードの分割払いなどを勧められる場合があります。
「受講後に稼げば返せる」「数か月で元が取れる」と言われると、一時的な立替えのように感じるかもしれません。
しかし、実際の収入が説明どおりにならなくても、借入れが自動的になくなるわけではありません。副業を勧めた事業者と、お金を借りた貸金業者は別の相手です。
返金や出金を理由に追加送金を求められる
すでに支払った後も、次のような名目で追加の送金を求められることがあります。
「報酬を出金するための手数料が必要」
「本人確認のために保証金を入れてほしい」
「作業に失敗したので補塡しなければならない」
「返金処理をするための費用が必要」
相手の説明だけで追加送金を続けると、被害額がさらに増える可能性があります。
請求の根拠が分からないときは、相手と交渉を重ねる前に、契約書やメッセージを保存して消費生活センターへ相談してください。
AI副業だから危険なのではない
AIを使うことと収入を得ることは別の話
生成AIは、文章や画像の作成、情報収集、業務効率化などに利用できる道具です。使い方を学ぶことや、自分の仕事へ取り入れること自体を避ける必要はありません。
ただし、AIで成果物を作れることと、それを仕事として受注し、安定した収入を得られることは別です。
実際に報酬を得るには、仕事を依頼する顧客、販売する商品やサービス、成果物の品質、納期、営業、契約、著作権への配慮などが関わります。
「AIがすべて行う」という説明だけでは判断できない
「AIに指示するだけ」「自動で収益が発生する」「初心者でもすぐに結果が出る」といった説明だけでは、仕事の内容は分かりません。
AIを使うと作業時間を短縮できることはありますが、顧客が自動的に見つかるわけではなく、作成したものが必ず売れるとも限りません。
収益例を見せられた場合も、誰が、どの程度の時間と費用をかけ、どのような条件で得た結果なのかを確認する必要があります。
仕事内容と報酬が発生する仕組みを確認する
契約前には、少なくとも次の内容を自分の言葉で説明できるか確かめてみましょう。
- 何を作り、販売し、または提供するのか
- 誰が報酬を支払うのか
- 顧客をどのように獲得するのか
- 毎月どの程度の作業と費用が必要なのか
- 追加料金や外部サービスの利用料があるのか
- 収益が出ない場合、どこまで支援を受けられるのか
「AIを活用する」「SNSで収益化する」といった抽象的な説明しかなく、質問をしても答えが返ってこない場合は、その場での申込みを見送る余地があります。
契約前に確認したいこと
運営者情報と契約相手が一致しているか
広告に書かれたサービス名と、契約書に書かれた会社名が同じとは限りません。
会社名、代表者名、所在地、電話番号を確認し、誰と契約するのかを明らかにします。オンラインで販売されるサービスであれば、特定商取引法に基づく表記にも目を通しましょう。
バーチャルオフィスを利用していることだけで、問題のある事業者とは判断できません。それよりも、電話がつながるか、契約書と表示内容が一致しているか、質問に対して具体的な説明があるかを見るほうが実用的です。
表示が掲載されているだけで、安全性が保証されるわけではない点にも留意が必要です。
サービス内容と費用総額が明記されているか
月額料金だけでなく、契約期間全体で支払う総額を確認します。
受講料のほかに、システム利用料、広告費、ツール代、コミュニティ参加費、更新料などが必要になることもあります。
契約後に上位プランへ変更しなければ十分なサポートを受けられないのであれば、その条件も契約前に説明されているべきでしょう。
返金保証の条件を原文で確認できるか
「成果が出なければ返金」と大きく表示されていても、細かな条件が設けられている場合があります。
申請期限、必要な作業回数、提出する報告書、サポートの利用回数、返金対象外となる費用などを、広告ではなく契約書や利用規約で確認してください。
口頭で「大丈夫」「柔軟に対応する」と言われた場合は、その内容を書面やメッセージで残してもらう方法もあります。
その場で判断するよう迫られていないか
高額な契約ほど、すぐに決める必要はありません。
「今日中なら半額」「電話を切ると特典がなくなる」「家族に相談すると反対される」と言われても、一度電話や面談を終え、契約書を読み直す時間を取りましょう。
数時間待つことすら認めない事業者であれば、その対応自体が判断材料になります。
借金と遠隔操作を求められたら手続きを止める
画面共有が借入れの申込みに使われることがある
副業の説明や設定支援という名目で画面共有を始め、そのまま消費者金融の申込みへ誘導する事例があります。
画面共有中は、氏名、住所、年収、口座情報、本人確認書類などを相手に見られる可能性があります。相手の指示どおりに操作しているうちに、複数社への申込みが短時間で進むケースも確認されています。
借入れ、送金、銀行口座、クレジットカードが関係する画面を共有するよう求められたら、そこで操作を止めてください。
年収や借入目的について虚偽の申告をしない
「審査に通りやすくするため」として、実際より年収を多く入力したり、借入目的を事業者の指示どおりに変更したりするよう求められる場合があります。
ほかの借入れを申告しないよう言われても、虚偽の内容を入力してはいけません。国民生活センターも、副業や投資を勧誘する事業者から指示された場合であっても、虚偽の申告をしないよう注意を呼びかけています。
入力内容を自分で判断できない状態になった時点で、申込みを中断しましょう。
「副業で返せる」と言われても返済がなくなるわけではない
事業者から「利益が出ればすぐに返せる」「返済はこちらで対応する」と説明されても、貸金業者との契約上、返済義務を負うのは借入れをした本人です。
副業で期待した収入が得られなかったことを理由に、借金が当然に免除されるわけではありません。
高額な契約を検討するときは、収入が一切増えなかった場合でも返せる金額なのかを考える必要があります。返済の見通しが立たない場合は、契約を進めないほうが家計を守りやすくなります。
クーリングオフや契約取消しが検討できる場合もある
電話勧誘販売に該当する場合
事業者から電話で勧誘を受け、その説明によって契約を申し込んだ場合、取引の状況によっては特定商取引法上の電話勧誘販売に該当する可能性があります。
電話勧誘販売に該当すれば、原則として、法律で定められた書面を受け取った日から8日以内は、書面または電磁的記録によるクーリングオフを行えます。
業務提供誘引販売取引に該当する場合
「仕事を提供するので収入が得られる」と勧誘し、その仕事に必要であるとして商品やサービスを契約させ、金銭的な負担を求める取引は、業務提供誘引販売取引に該当する場合があります。
この取引に当たる場合、法定書面を受け取った日から原則20日以内は、クーリングオフが認められています。
利用できる制度は契約内容によって異なる
副業やAIスクールという名称だけで、クーリングオフを利用できるかどうかは決まりません。
広告から自分で申し込んだのか、電話で勧誘されたのか、仕事の提供を条件に費用を負担したのかなど、契約に至った経緯によって扱いが変わります。
事実と異なる説明や、重要な事項を意図的に知らされなかったことにより契約した場合は、契約の取消しを検討できる可能性もあります。ただし、個別の契約にどの制度が適用されるかは、自分だけで判断せず、契約書やメッセージを用意して消費生活センターなどへ確認してください。
すでに契約・支払いをしてしまった場合
相手の説明だけで追加送金しない
すでにお金を支払っていると、「あと少し払えば取り戻せる」と考えやすくなります。
しかし、「返金処理費用」「出金手数料」「解約保証金」などの名目で追加請求を受けても、相手の説明だけで送金しないでください。
請求に契約上の根拠があるかは個別に異なります。相手とやり取りを続ける前に、請求内容を保存し、消費生活センターへ相談しましょう。
広告・契約書・メッセージ・支払記録を保存する
相手のサイトやSNSアカウントが削除される可能性を考え、次の資料をできるだけ残します。
- 広告や申込画面のスクリーンショット
- 契約書、利用規約、返金条件
- メッセージアプリやメールのやり取り
- 通話日時と説明内容のメモ
- クレジットカード明細や振込記録
- 借入先、借入額、申込日時
- 遠隔操作アプリや画面共有を求められた記録
すべて揃っていなくても相談はできます。残っているものを時系列に並べておくと、状況を説明しやすくなります。
カード会社や金融機関へ早めに連絡する
クレジットカードで支払った場合はカード会社、銀行振込をした場合は振込元の金融機関へ、早めに事情を伝えます。
消費者金融から身に覚えの薄い借入れが行われている場合は、借入先にも連絡してください。
連絡したからといって必ず返金や支払い停止が認められるわけではありませんが、時間が経過する前に相談することで、利用できる対応が見つかる場合があります。
消費者ホットライン188へ相談する
どこへ相談すればよいか分からない場合は、消費者ホットライン「188」を利用できます。
局番なしで188へ電話すると、最寄りの消費生活センターなどの窓口が案内されます。契約前の段階でも、「この勧誘は大丈夫だろうか」と感じた時点で相談して構いません。(消費者庁)
脅迫や不正操作が疑われる場合は警察にも相談する
「支払わなければ家族や勤務先へ連絡する」「個人情報を公開する」などと脅された場合や、自分が認識していない借入れ・送金が行われた疑いがある場合は、警察への相談も検討します。
警察相談専用電話「#9110」は、発信地を管轄する警察本部などの相談窓口につながる全国共通の電話番号です。
差し迫った危険がある場合や、現に犯罪被害が発生している場合は、状況に応じて110番を利用してください。
家族が契約しそうなときは、一緒に内容を確認する
家族が副業や高額スクールへ申し込みそうなとき、最初から「だまされている」と決めつけると、話を聞いてもらえないことがあります。
本人は、収入への不安を減らしたい、仕事の可能性を広げたいと真剣に考えているかもしれません。
まずは、次のように契約内容を一緒に確認する姿勢を見せると話しやすくなります。
「誰と契約するのか、契約書を見せてもらおう」
「何をして、誰から報酬を受け取るのか確認しよう」
「支払総額と返金条件を一緒に読んでみよう」
「今日決めなければならない理由があるのか聞いてみよう」
借金や遠隔操作を勧められている場合は、契約を進める前に消費生活センターへ相談することを提案してください。
AIや副業は小さく試してから判断する
AIや副業を学びたい場合でも、最初から大きな金額を支払う必要があるとは限りません。
公式の解説資料、書籍、無料または低価格の講座などを利用して、自分に合う分野かどうかを確かめる方法があります。実際に小さな成果物を作り、どの程度の知識や時間が必要なのか体験してから、追加の学習を検討しても遅くありません。
高額な講座だから内容が悪いとも、無料だから安全とも限りません。料金、提供内容、講師や運営者の実績、契約期間、解約条件を比較し、自分に必要な部分へ費用をかけることが現実的です。
まとめ|「稼げる金額」より契約と支払いの仕組みを見る
副業やAIに関心を持つこと自体は、悪いことではありません。
ただし、「簡単」「誰でも」「自動」「すぐに回収できる」という言葉ばかりが並び、仕事内容や契約条件が見えない場合は、広告の収益例だけで判断しないようにしましょう。
特に、借金、画面共有、遠隔操作、虚偽の申告、個人名義口座への送金を求められた場合は、その場で手続きを止める必要があります。
すでに支払ってしまった場合も、自分を責める必要はありません。追加送金を急がず、残っている記録を保存し、できるだけ早く消費生活センターや金融機関へ相談してください。
契約前でも契約後でも、違和感を覚えた時点で相談できます。一人で相手の説明を受け続けず、第三者と一緒に契約と支払いの仕組みを確認することが、被害を広げないための第一歩になります
参考情報
確認日:2026年7月26日
独立行政法人国民生活センター「簡単なタスクで稼げるとうたう副業トラブルに注意!」
URL:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260519_1.html
独立行政法人国民生活センター「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!」
URL:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260520_1.html
消費者庁「簡単な副業をうたい高額なサポートプランを契約させる事業者に関する注意喚起」
URL:https://www.caa.go.jp/notice/entry/042732/index.html
消費者庁「特定商取引法ガイド・電話勧誘販売」
URL:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/telemarketing/
消費者庁「特定商取引法ガイド・業務提供誘引販売取引」
URL:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/businessopportunity/
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