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はじめに

経済産業省が定めるエアコンの省エネ基準が2027年度から大幅に強化されます。

エアコンは故障頻度が高く、入居者の満足度に直結する重要な設備です。

本記事では賃貸物件を所有する賃貸オーナーに向けて、「エアコン2027年問題」の詳細と、賃貸経営に与える影響と対策について解説しています。

管理会社から「2027年に規制が変わるので壊れていなくても交換を」と言われて不安になった方や、入居者対応・修理費の増加を心配している方が、判断を誤らないための基準をまとめました。

結論として、2027年以降に全てのエアコンが使えなくなるわけではありませんが、調達・修理の面で賃貸経営に影響が出ることは避けられません。

エアコン2027年問題とは?

「エアコン2027年問題」とは、経済産業省が定めるエアコンの省エネ基準が2027年度から大幅に強化されることに伴い、安価なエアコンが市場から消え、買い替えや修理コストが上がる可能性が高いという問題です。

日本政府は、2050年のカーボンニュートラル実現、及び2030年度の温室効果ガス46%削減(2013年度比)を国家目標として掲げています。

新基準の適用により、新しい省エネ基準を満たさない製品はメーカーが出荷できなくなります。

リビング向けの機種では、現行より約35%の性能向上が求められており、現在市場にある機種の約7割がそのままでは基準をクリアできないと言われています。

規制により予想される3つの影響

普及モデルの消滅

これまで5〜6万円程度で買えた「安価だが省エネ性能は標準的」という普及モデル(スタンダードクラス)の約7割が、新しい基準をクリアするのが難しいため、2027年4月以降は製造・販売ができなくなると予測されています。

本体価格の上昇

新基準をクリアするには高性能な部品(より大きな熱交換器や高効率なコンプレッサー)が必要なため、製造コストが上昇します。

全体的に1.5倍〜2倍近く値上がりするとの予測もあります。

修理費用の高騰

 冷媒(フロンガス)の規制も並行して進んでいるため、古い冷媒(R410Aなど)を使用している機種はガスの入手が難しくなり、将来的に修理代が高くなるか、修理不能になるリスクがあります。

2027年以降、10年以上経過したエアコンが故障し、ガス補充と部品交換を伴う修理を行った場合、合計費用が15万円から25万円に達するケースも想定されます。

賃貸オーナーのリスク

日本の夏の猛暑は年々厳しさを増しており、エアコンの故障は入居者にとって生活基盤の崩壊を意味します。

2027年直前には、新基準への切り替えを控えた「駆け込み需要」が発生し、エアコン本体の在庫不足や、設置業者のスケジュール逼迫が予想されます 。   

もし旧型のエアコンを限界まで使い続け、真夏に故障が発生した場合、以下のようなリスクが考えられます。

修理の停滞: 部品供給終了や冷媒不足により、即時の修理ができない 。 

設置の遅延: 新品への交換を決定しても、在庫不足や工事業者の不足で設置まで2週間以上待たされる事態が発生する 。    

金銭的・法的補償: 入居者から賃料減額請求や、ホテル代の請求、最悪の場合は他物件への退去が発生する。ガイドラインによれば、エアコン設備が使用できない期間に応じた賃料減額が認められるケースがあり、オーナーにとっては家賃収入の機会損失に加え、紛争コストを負うことになる

冷媒(フロンガス)の規制に伴い、古い冷媒(R410Aなど)を使用している機種はガスの入手が難しくなり、将来的に修理代が高くなるか、修理不能になるリスクがあります。

設置から10年前後経過しているエアコンについては、前倒しで交換することも一つの手段です。

2027年問題に向けた賃貸オーナーの具体策

設備情報の棚卸しと優先順位を決める

所有物件における全エアコンの現状を正確に把握することが不可欠です。以下の項目を確認し、交換の優先順位をリスト化することが推奨されます 。   

最優先交換対象(製造10年以上): メーカーの部品保有期間(約10年)が終了しており、故障=即交換となるリスクが高い。2027年の混乱期を迎える前に、2025年から2026年にかけて計画的に更新すべきである 。   

優先交換対象(R410A使用機): 2015年以前のモデルに多く見られる。冷媒規制の打撃を最も受けやすく、ガス補充を伴う修理が経済的に成立しなくなる可能性が高い 。   

要注意対象(過去に冷媒補充歴がある個体): 冷媒漏れは再発する可能性が高く、2027年以降のガス不足下では修理コストが爆発的に高騰する 。

更新タイミングの最適化によるコスト削減

コストと入居者満足度のバランスを保つため、更新の「時期」を戦略的に選定することが重要です。

入退去時の空室期間: 入居者との日程調整が不要であり、室内クリーニングと同時に効率よく作業できる。また、次の入居者に対して「最新省エネ設備完備」をアピールでき、成約率の向上に寄与する 。   

春・秋の閑散期(3〜5月、10〜11月): エアコン工事業者の繁忙期(6〜8月)を避けることで、工事費の割増を防ぎ、希望の日程で確実に設置できる 。   

一括発注(まとめ交換): 一棟物件の場合、複数台をまとめて発注・工事することで、本体価格のボリュームディスカウントや、運搬・設置の効率化によるコストダウンが見込める 。   

管理会社との連携ガイドラインの確立

緊急時の対応遅れを防ぐため、管理会社との間でエアコン故障時の「即決ルール」を事前に合意しておくことをおすすめします。

判断ラインの共有: 「製造10年超」「冷媒がR410A」「修理費が5万円超」などの条件に該当する場合、オーナーの確認を待たずに即座に特定機種へ交換する権限を管理会社に委譲することで、対応スピードを劇的に向上させることができる 。   

緊急時の代行権限: 夏場の繁忙期において、修理業者が手配できない場合の代替策(応急的なポータブルエアコンの貸与や、一定金額までの交換決定権など)を明確化しておく 。   

国や自治体の補助金制度の活用

2027年問題への対応費用を軽減するため、国や地方自治体が提供する補助金制度を活用することも考えられます。

 東京都「東京ゼロエミポイント」の活用

概要: 2024年10月から2027年3月まで実施されるこの制度は、古いエアコンから一定の省エネ基準を満たす新品へ買い替えた際、購入店舗での即時値引きやポイント付与という形で還元を受けられます 。  

還元額: エアコンの冷房能力や性能、買い替え対象の製造年式によって異なるが、1台あたり9,000円から最大80,000円相当の支援が得られます。

ポイント: 2027年3月末という期限は、2027年問題が本格化する直前まで設定されています。

地方自治体の独自助成金

地方自治体も独自の省エネ設備導入支援を行っています。

台東区住宅改良助成事業: 台東区では、築30年以上の分譲マンションの管理組合や、築30年以上の賃貸マンションを所有する個人を対象に、窓・外壁の断熱改修や、それに付随する省エネ機器の更新に対する助成制度を設けています。

自治体の助成金は「事前申請」が必須であることが多く、工事着工後の申請は認められません。また、予算枠が先着順で終了することが多いため、年度初めの早期の情報収集が不可欠です。

まとめ

エアコン2027年問題は、賃貸オーナーにとって「価格・調達・工事の不確実性が上がる可能性がある」ということです。

2027年度以降のエアコン価格上昇が確実視されている以上、2025年から2026年にかけて、まだ安価な旧基準モデルが市場にあるうちに、高リスクな旧型機を交換してしまうことが、経済的合理性の高い選択肢となる可能性が高いです 。

これは、将来発生し得る過大な修理費用や、繁忙期のトラブル対応、入居者退去による数ヶ月分の家賃損失といった「隠れたコスト」を回避するための保険料と考えられます。

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    高場智浩
    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年8月より売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県において、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローン等、不動産に関することは何でもご相談ください。
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