「買える金額」と「無理なく返せる金額」は違う|住宅ローンと固定費の考え方
「買える金額」と「無理なく返せる金額」は同じではありません
住宅購入を考えるとき、多くの方が気にするのが、
「自分はいくらまで住宅ローンを組めるのか」
という点です。
もちろん、住宅ローンの借入可能額を確認することは大切です。
しかし、ここで注意したいのは、金融機関から借りられる金額と、実際に無理なく返せる金額は同じではないということです。
金融機関の審査では、年収、勤務先、勤続年数、既存借入、返済比率、信用情報などをもとに、借入可能額が判断されます。
その結果、「この金額まで借りられる可能性があります」と言われることがあります。
ただし、それはあくまで金融機関の審査上の目安です。
実際の生活では、住宅ローン返済以外にも、固定資産税、火災保険、マンションの管理費・修繕積立金、戸建の修繕費、教育費、車の維持費、老後資金、日々の生活費などがかかります。
そのため、住宅購入では「いくら借りられるか」だけでなく、購入後も無理なく暮らせるかを基準に考えることが大切です。
金融機関が見る「借りられる金額」とは
住宅ローンの審査では、金融機関が買主様の返済能力を確認します。
主に見られるのは、次のような項目です。
- 年収
- 勤務先
- 勤続年数
- 雇用形態
- 既存借入
- 車のローン
- カードローン
- クレジットカードの利用状況
- 返済比率
- 信用情報
- 健康状態
- 物件の担保評価
これらをもとに、金融機関は「この人にいくらまで貸せるか」を判断します。
その際に重要になるのが返済比率です。
返済比率とは、年収に対して年間のローン返済額がどのくらいを占めるかを示す割合です。
たとえば、住宅ローンの年間返済額が120万円、年収が500万円であれば、返済比率は24%です。
金融機関ごとに基準は異なりますが、返済比率の範囲内であれば、ある程度大きな金額まで借りられると判断されることがあります。
ただし、返済比率の基準内だからといって、生活に余裕があるとは限りません。
金融機関の審査は、家計の細かい支出すべてを完全に反映するものではないからです。
実際の生活では住宅ローン以外にも費用がかかる
住宅購入後にかかる費用は、住宅ローンの返済だけではありません。
ここを見落とすと、購入後に家計が苦しくなることがあります。
固定資産税・都市計画税
住宅を所有すると、毎年固定資産税がかかります。
地域や物件の評価額によって金額は異なりますが、住宅ローン返済とは別に毎年支払う必要があります。
エリアによっては都市計画税もかかります。
月々の返済額だけで判断していると、年1回または分割で支払う税金の負担を見落としやすくなります。
火災保険・地震保険
住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入が必要になることが一般的です。
地震保険を付けるかどうかも検討する必要があります。
保険料は建物の構造、所在地、補償内容、契約期間によって変わります。
購入時にまとめて支払う場合もあれば、数年ごとに更新費用が発生する場合もあります。
マンションの管理費・修繕積立金
マンションを購入する場合、住宅ローン返済とは別に、毎月管理費と修繕積立金がかかります。
管理費は、共用部分の清掃、管理会社への委託費、エレベーターや設備の維持管理などに使われます。
修繕積立金は、将来の大規模修繕に備えて積み立てる費用です。
中古マンションでは、管理費・修繕積立金の金額だけでなく、今後の値上げ予定や修繕積立金の残高も確認する必要があります。
戸建の将来修繕費
戸建の場合、マンションのような修繕積立金はありません。
その代わり、外壁、屋根、給湯器、設備、シロアリ対策などの修繕費を自分で準備する必要があります。
毎月の支払いとして見えにくい分、将来の修繕費を考えずに購入すると、数年後に大きな出費となることがあります。
車や教育費などの生活費
住宅ローンの返済は、生活費の一部です。
車を所有している場合は、車のローン、自動車税、保険、車検、ガソリン代、駐車場代などがかかります。
お子様がいる場合は、教育費も考える必要があります。
また、食費、通信費、光熱費、医療費、趣味、帰省、旅行、老後資金など、家計全体を見て判断することが大切です。
月々の住宅ローン返済額だけで判断しない
不動産広告では、
「月々〇万円台」
「家賃並みで購入可能」
といった表現を見かけることがあります。
月々の返済額がわかると、購入後の生活をイメージしやすくなります。
ただし、月々の住宅ローン返済額だけで判断するのは注意が必要です。
たとえば、住宅ローン返済が月8万円でも、マンションで管理費・修繕積立金が月3万円かかれば、住宅関連費用は月11万円になります。
さらに固定資産税や火災保険、駐車場代なども加わります。
戸建の場合も、毎月の修繕積立金はありませんが、将来の外壁・屋根修繕や設備交換に備える必要があります。
「月々の返済額が家賃と同じくらいだから大丈夫」と考えるのではなく、住宅に関わる費用全体で判断しましょう。
「今の家賃」と同じなら大丈夫とは限らない
住宅購入を検討するとき、現在の家賃と住宅ローン返済額を比較する方は多いです。
たとえば、現在の家賃が9万円で、住宅ローン返済が月9万円なら、
「今と同じ支払いだから大丈夫」
と感じるかもしれません。
しかし、持ち家になると、賃貸ではかからなかった費用が発生します。
たとえば、
- 固定資産税
- 火災保険
- 修繕費
- マンションの管理費・修繕積立金
- 設備交換費用
- 建物の維持管理費
などです。
賃貸では、建物の修繕や設備交換を貸主側が負担することもあります。
しかし、持ち家では基本的に所有者が負担します。
そのため、住宅ローン返済額が現在の家賃と同じでも、実際の負担は増えることがあります。
無理なく返せる金額を考えるときのポイント
では、無理なく返せる金額はどのように考えればよいのでしょうか。
大切なのは、住宅ローンだけでなく、家計全体から判断することです。
1. 毎月の住宅関連費用を合計する
まず、住宅ローン返済額だけでなく、住宅に関わる費用を合計します。
マンションであれば、
- 住宅ローン返済
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場代
- 固定資産税の月割り
- 火災保険料の月割り
などを合わせて考えます。
戸建であれば、
- 住宅ローン返済
- 固定資産税の月割り
- 火災保険料の月割り
- 将来修繕費の積立
- 駐車場や外構の維持費
などを考えます。
実際に毎月出ていく金額、または将来のために積み立てるべき金額を含めて考えることが大切です。
2. 生活費に余裕が残るか確認する
住宅関連費用を払った後に、生活費に余裕が残るか確認しましょう。
食費、光熱費、通信費、保険、車、教育費、医療費、趣味、貯蓄など、毎月必要な支出を整理します。
住宅ローンを組むと、返済は長期間続きます。
今だけではなく、将来の収入や支出の変化も考えておく必要があります。
3. ボーナス払いに頼りすぎない
住宅ローンでは、ボーナス払いを設定することもできます。
ただし、ボーナスは会社の業績や働き方によって変動することがあります。
ボーナス払いに頼りすぎると、将来ボーナスが減ったときに返済が苦しくなる可能性があります。
できるだけ毎月返済を基本にして、無理のない計画を立てることをおすすめします。
4. 金利上昇の可能性も考える
変動金利を選ぶ場合、将来金利が上がる可能性があります。
金利が上がると、返済額が増えることがあります。
現在の返済額だけでなく、金利が上がった場合にも家計が耐えられるかを考えておくことが大切です。
固定金利を選ぶ場合も、変動金利より当初の返済額が高くなることがあります。
それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合う金利タイプを選びましょう。
5. 手元資金を残す
住宅購入時に自己資金を多く入れると、借入額を抑えられます。
しかし、手元資金を使い切ってしまうのはおすすめできません。
購入後には、引越し、家具・家電、カーテン、照明、エアコン、急な修繕、生活予備費などが必要です。
自己資金をどこまで使うかは、購入後の安心感にも関わります。
仲介手数料無料は資金計画にどう影響する?
仲介手数料無料で購入できる物件では、購入時の諸費用を大きく抑えられる可能性があります。
一般的な仲介手数料の上限は、物件価格が400万円を超える場合、
物件価格×3%+6万円+消費税
です。
たとえば、
- 2,500万円の物件:約89万円
- 3,000万円の物件:約105万円
- 3,500万円の物件:約122万円
- 4,000万円の物件:約138万円
が目安になります。
この費用が無料になると、自己資金の負担を抑えたり、住宅ローンの借入額を抑えたり、購入後の家具・家電費用に回したりできます。
ただし、仲介手数料が無料になるからといって、予算をその分だけ上げてよいとは限りません。
浮いた費用は、生活予備費や購入後の支出に回すという考え方も大切です。
仲介手数料無料は、無理な購入をするためではなく、より安心して購入するための余裕として考えるとよいでしょう。
新築戸建の場合の固定費と修繕費
新築戸建を購入する場合、マンションのような管理費・修繕積立金はありません。
そのため、月々の支払いが住宅ローンだけのように見えやすいです。
しかし、戸建でも将来の修繕費は必要です。
たとえば、
- 外壁塗装
- 屋根修繕
- 給湯器交換
- 水回り設備の交換
- シロアリ対策
- 外構の補修
- 建具や内装の修繕
などがあります。
新築時はしばらく大きな修繕が少ないとしても、10年後、15年後にはまとまった費用がかかる可能性があります。
戸建を購入する場合は、毎月少しずつ修繕費を積み立てる意識を持っておくと安心です。
マンションの場合の固定費と将来の値上げ
マンションを購入する場合は、住宅ローン返済に加えて、管理費・修繕積立金が毎月かかります。
この金額は、購入前に必ず確認すべきポイントです。
特に中古マンションでは、修繕積立金が今後値上げされる可能性があります。
築年数が古くなるほど、大規模修繕や設備更新の必要性が高まります。
そのため、現在の修繕積立金が安いからといって、必ずしも安心とは限りません。
確認したいのは、
- 管理費
- 修繕積立金
- 駐車場代
- 長期修繕計画
- 修繕積立金の残高
- 過去の大規模修繕履歴
- 今後の値上げ予定
- 管理組合の運営状況
などです。
リノベーションマンションを購入する場合も、室内のきれいさだけでなく、建物全体の管理状態と固定費を確認することが大切です。
借入可能額いっぱいまで借りるときの注意点
金融機関の審査で大きな金額を借りられるとわかると、選べる物件の幅は広がります。
しかし、借入可能額いっぱいまで借りることには注意が必要です。
借入額が増えると、毎月の返済額も増えます。
また、金利が上がった場合や、収入が変化した場合、家計への負担が大きくなる可能性があります。
住宅購入後には、生活スタイルが変わることもあります。
結婚、出産、転職、車の買い替え、教育費、親の介護など、将来の支出は完全には予測できません。
そのため、借入可能額いっぱいまで借りるのではなく、生活に余裕を残せる返済額を基準に考えることが大切です。
無理のない資金計画を作るための流れ
無理のない資金計画を作るには、次の流れで整理するとわかりやすいです。
1. 毎月の家計を確認する
まず、現在の収入と支出を整理します。
家賃、食費、光熱費、通信費、保険、車、教育費、貯蓄などを確認しましょう。
2. 住宅に使える月額を考える
現在の家賃だけでなく、購入後にかかる固定費も含めて、住宅に使える金額を考えます。
3. 諸費用と自己資金を確認する
購入時に必要な諸費用と、使える自己資金を確認します。
手元資金をどれくらい残すかも大切です。
4. 借入額を逆算する
無理のない月々返済額から、借入額を逆算します。
借りられる金額ではなく、返せる金額から考えることがポイントです。
5. 物件価格の目安を決める
借入額、自己資金、諸費用を踏まえて、現実的な物件価格の目安を決めます。
そのうえで物件探しを進めると、予算オーバーを防ぎやすくなります。
まとめ
住宅購入では、金融機関から借りられる金額と、実際に無理なく返せる金額は同じではありません。
住宅ローンの審査では、年収や勤務状況、既存借入、返済比率などをもとに借入可能額が判断されます。
しかし、実際の生活では、住宅ローン返済以外にも固定資産税、火災保険、管理費・修繕積立金、戸建の修繕費、車、教育費、生活費などがかかります。
そのため、住宅購入では「借りられる金額」ではなく、「購入後も無理なく暮らせる金額」を基準に考えることが大切です。
仲介手数料無料で購入できる物件であれば、購入時の諸費用を大きく抑えられる可能性があります。
ただし、浮いた費用を予算上げに使うのではなく、購入後の生活予備費や家具・家電、修繕費に回すことも大切です。
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