東京防犯優良戸建住宅認定制度とは?新築戸建の防犯性能と住宅選びのポイントを解説
新築戸建を探していると、耐震等級や断熱性能、省エネ性能について説明を受ける機会は多くあります。
一方で、「この家は防犯面でどうなのだろう」と考えたとき、何を基準に比較すればよいのか迷うこともあるのではないでしょうか。
玄関の鍵、防犯ガラス、シャッター、防犯カメラ、カメラ付きインターホンなど、防犯に関係する設備はいくつもあります。ただ、設備が一つ付いているだけで住宅全体の防犯性能を判断できるものでもありません。
こうした戸建住宅の防犯性能に着目して、2025年9月に東京都内でスタートしたのが「東京防犯優良戸建住宅認定制度」です。
2026年7月16日には、東京都大田区の新築戸建住宅「リストガーデン久が原5丁目Ⅱ」が同制度で初めて認定されました。
新しい制度だけに、「東京都が認定している住宅なのか」「認定住宅なら犯罪に遭わないのか」「一般的な新築戸建と何が違うのか」など、分かりにくいところもあります。
この記事では制度の仕組みを確認しながら、新築戸建を選ぶときに防犯性能をどう見ればよいのかを考えていきます。
東京防犯優良戸建住宅認定制度とは?
東京防犯優良戸建住宅認定制度は、東京都内の新築戸建住宅を対象として、防犯性能について一定の基準を満たした住宅を「東京防犯優良戸建住宅」として認定・登録する制度です。
2025年8月に制度開始が発表され、同年9月からスタートしました。
戸建住宅の防犯性能を住宅単体で評価し、一定の基準を満たしていることを分かりやすく示す取り組みと考えるとイメージしやすいでしょう。
ただし、ここで一つ確認しておきたいのが「誰が認定するのか」です。
2025年9月に始まった新しい認定制度
制度を創設したのは、防犯設備や錠前などに関する専門家で構成されるNPO法人東京都セキュリティ促進協力会です。
同協力会が戸建住宅の防犯性能基準を設け、それに基づいて一定の性能を有すると認められた住宅を認定・登録します。
対象となっているのは、東京都の区域内にある新築戸建住宅です。
そのため、現時点では中古戸建や東京都外の新築住宅まで同制度の対象になるというものではありません。
認定するのは東京都ではなくNPO法人
名称に「東京」と付いているうえ、東京都や警視庁も関係しているため、「東京都が認定する住宅制度」と受け取る方もいるかもしれません。
しかし、認定・登録を行う主体は東京都ではありません。
制度開始時の公表資料では、
認定・登録を行う主体
NPO法人東京都セキュリティ促進協力会
制度を推奨
東京都都民安全推進本部(制度開始当時)
警視庁生活安全部
普及・促進に協力
公益財団法人東京防犯協会連合会
という関係が示されています。
東京都のNPO法人情報でも、東京都セキュリティ促進協力会は、防犯に関する情報収集や調査・研究、人材育成、防犯知識の啓発などを通じ、安全なまちづくりに貢献することを目的とした法人として登録されています。
したがって、「東京都が安全性を保証した住宅」「警視庁が認定した住宅」と理解するのではなく、東京都・警視庁から推奨を受けている民間の認定制度として捉えるのが正確です。
戸建住宅の防犯性能も住宅選びの一つの視点に
住宅の性能というと、まず耐震性や断熱性を思い浮かべる方が多いと思います。
もちろん、地震への備えや室内の快適性、省エネルギー性能は住宅を選ぶうえで大切な要素です。
それと同じように、「外部から侵入されにくいか」という防犯性能も、長く暮らす住宅では確認できるポイントの一つです。
特に戸建住宅では、玄関だけでなく1階の掃き出し窓、腰高窓、勝手口など、建物によってさまざまな開口部があります。
さらに、道路や隣地から建物がどのように見えるのか、庭や建物脇に死角ができていないか、夜間の照明はどうなっているかなど、建物と外構を一体で見ることも必要です。
警視庁も住宅の侵入窃盗対策として、玄関や窓への補助錠、防犯性能の高い建物部品、センサー付きライト、カメラ付きインターホンなどを紹介しています。
防犯設備をたくさん付ければよいというより、侵入口になり得る場所を住宅全体で考えることがポイントになります。
東京防犯優良戸建住宅ではどのような防犯性能を見る?
東京防犯優良戸建住宅認定制度では、戸建住宅に対して一定の防犯性能基準が設けられています。
制度開始時に公表された概要を見ると、一つのキーワードになるのが「抵抗時間」です。
侵入までの「時間」を確保するという考え方
制度では、騒音を発生させない通常の侵入攻撃に対して、侵入が想定されるすべての開口部に、侵入者が侵入を諦める目安となる5分以上の抵抗時間を求めています。
さらに、バールのような工具による打撃など、騒音の発生を伴う攻撃についても、110番通報を完了できる時間を確保することを目指す考え方が示されています。
この「時間」という考え方は、住宅防犯を理解するうえで参考になります。
防犯というと、「絶対に開かない鍵」「絶対に割れない窓」のようなものをイメージするかもしれません。
実際には、住宅の開口部を物理的に永久に破壊できない状態にするというより、侵入に時間と手間をかけさせることによって、犯行を断念させたり、周囲に気付かれやすくしたりするという考え方があります。
認定住宅についても「侵入できない住宅」と考えるより、侵入に対して一定の抵抗力を持たせた住宅と理解する方がよいでしょう。
玄関だけでなく窓などの開口部も確認する
玄関に高性能な鍵が付いていても、それだけで住宅全体の防犯性能が決まるわけではありません。
戸建住宅では、窓が侵入口になる可能性もあります。
例えば1階に大きな掃き出し窓があれば、そのガラスやサッシ、施錠方法まで確認したいところです。
浴室や洗面室、トイレなどの小さな窓でも、位置や大きさによっては外部から接近できる場合があります。
東京防犯優良戸建住宅認定制度の基本性能でも、「侵入が想定されるすべての開口部」という考え方が示されています。
新築住宅を見る際にも、玄関だけではなく建物を一周して、どのような窓や出入口があるのかを見ると、防犯面での特徴をつかみやすくなります。
建物だけでなく外構や照明も防犯につながる
戸建住宅の防犯は、ドアや窓だけで完結するものではありません。
例えば、建物の側面が高い塀や植栽で完全に隠れていると、外から人の動きが見えにくくなる場合があります。
反対に、道路や近隣住宅から適度に見通しが確保されていれば、侵入しようとする人にとって人目が気になる環境になります。
夜間であれば、センサーライトなどによって暗い場所を減らすことも防犯対策の一つです。
警視庁でも、センサー付きライト、カメラ付きインターホン、見通しのよいフェンス、庭先の砂利などを住宅防犯の方法として紹介しています。
住宅を購入するときは室内を見ることに意識が向きがちですが、建物の周囲を歩いて確認することにも意味があります。
CPマークとは?「5分」の意味も知っておこう
住宅の防犯設備を調べていると、「CPマーク」という表示を見ることがあります。
CPは「Crime Prevention(防犯)」の頭文字を図案化したものです。
警察庁などの関係省庁と民間団体による「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」で、防犯性能試験を行い、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載された製品についてCPマークの使用が認められています。
対象には、ドア、ガラス、サッシ、錠、シャッター、ウィンドウフィルムなどがあります。
新築戸建の設備仕様書や販売資料に「CPガラス」「CP部品」と記載されている場合は、何の部品に採用されているのか確認してみるとよいでしょう。
CP部品でも「絶対に侵入されない」という意味ではない
CPマークについては、一つ注意したい点があります。
防犯性能の試験では「5分」という数字が一つの目安になっていますが、CPマークが付いていれば、どのような侵入方法でも必ず5分以上防げることを保証しているわけではありません。
警察庁も、CPマークは官民合同会議で定めた試験に合格したことを示すものの、あらゆる状況で5分以上侵入を防ぐ性能を保証するものではないと説明しています。
「防犯ガラスだから割れない」というものでもありません。
一般的なガラスに比べて侵入に時間をかけさせることを期待する設備として考える方が適切です。
住宅を比較するときも、「CPマークがあるから安全」と一つの設備だけで判断するのではなく、玄関や窓、外構などを含めた住宅全体で見ることが大切になります。
2026年7月に初の認定住宅が誕生
制度開始から約10か月後の2026年7月、東京防犯優良戸建住宅として初めての認定事例が誕生しました。
「リストガーデン久が原5丁目Ⅱ」が初認定
初認定となったのは、リストホームズ株式会社が東京都大田区で開発した新築戸建住宅「リストガーデン久が原5丁目Ⅱ」です。
2026年7月16日に認定を取得し、7月31日に認定証交付式が行われました。
制度が始まったこと自体は2025年に発表されていましたが、具体的な認定住宅が誕生したことで、実際の新築戸建でどのような防犯対策が採用されているのかを見る事例も出てきたことになります。
初認定住宅では複数の防犯対策を採用
「リストガーデン久が原5丁目Ⅱ」では、防犯カメラや録画機能付きインターホン、人感センサーライト、防犯砂利など、複数の防犯対策が採用されています。
窓についてもCPマークの対象となる防犯性能の高いガラスや、一部に防犯フィルムを使用しています。1階の掃き出し窓には厚みのある防犯ガラスを採用したほか、外構部分の明るさ確保、宅配ボックス、忍び返しなども取り入れられています。
ここで注意したいのは、これらすべてが東京防犯優良戸建住宅の必須設備一覧というわけではないことです。
あくまで初認定住宅で実際に採用された防犯対策の例として見る必要があります。
また、同住宅では耐震性を考えたSE構法も採用されていますが、こちらは物件そのものの構造上の特徴です。
東京防犯優良戸建住宅認定制度が、耐震性能まで含めて認定しているという意味ではありません。
防犯性能と耐震性能は分けて考えましょう。
東京防犯優良戸建住宅を購入するときに確認したいこと
認定住宅であれば、一定の防犯性能について審査を受けている点は住宅を比較する材料になります。
ただ、それだけで物件選びを終える必要はありません。
実際に購入を検討するのであれば、認定の有無と合わせて、どのような設備がどこに設置されているのかを見ておくと住宅の特徴がより分かります。
認定の有無だけでなく実際の設備を見る
まず玄関から確認してみましょう。
玄関ドアそのものの仕様だけでなく、鍵はいくつあるのか、どのような錠が使われているのか、カメラ付きインターホンは録画できるのかなど、実物を見ると分かることがあります。
続いて窓です。
住宅によっては、防犯ガラスをすべての窓に使っているとは限りません。
「防犯ガラス採用」と書かれていても、1階だけなのか、一部の窓だけなのか、どのような仕様なのかは物件ごとに確認する必要があります。
防犯フィルムについても同様です。
「防犯設備付き」という大きな括りだけではなく、どこに何が使われているのかを見ることがポイントです。
窓は場所によって仕様が違うこともある
特に新築戸建では、同じ建物の中でも窓によって仕様が異なる場合があります。
道路側の窓、庭側の大きな掃き出し窓、2階の窓など、設置場所によって防犯上の条件も変わります。
シャッターが付いている窓と付いていない窓が分かれていることもあります。
内見では室内から窓を見るだけではなく、「この窓は外からどう見えるのか」という視点も持ってみるとよいでしょう。
隣地や道路との高さ関係、塀や物置など足掛かりになりそうなものの有無も、現地だから確認できる部分です。
防犯カメラやインターホンは使い方まで確認する
防犯カメラが設置されている場合は、「カメラあり」だけで終わらず、録画方法や保存期間、確認方法なども見ておきたいところです。
インターネット接続が必要な機種なのか、スマートフォンから映像を確認できるのか、クラウドサービスの利用料がかかるのかなど、機器によって使い方は違います。
カメラ付きインターホンについても、録画機能の有無や保存件数などに違いがあります。
住宅設備は、設置されていることと、入居後に使いこなせることは同じではありません。
引渡し時には説明書や設定方法を確認しておくとよいでしょう。
外構の「見通し」も確認しておきたい
住宅の外観デザインでは、プライバシーを確保するために高いフェンスや植栽を採用することがあります。
一方、防犯という視点では、人が隠れられる大きな死角ができないこともポイントになります。
プライバシーと見通しは、どちらか一方だけを優先すればよいというものではありません。
敷地形状や道路との位置関係を見ながら、玄関までのアプローチ、建物脇、庭、勝手口などに外部から見えにくい場所がないか確認してみましょう。
夜に物件を見られる場合には、周辺の街灯や敷地内照明の状況も昼間とは違って見えます。
防犯設備には入居後の維持管理もある
防犯設備は、一度付ければずっと同じ状態で使えるとは限りません。
防犯カメラやインターホンなどの電子機器には寿命がありますし、センサーライトにも交換や設定が必要になる場合があります。
ネットワーク機器を利用するものであれば、パスワードやソフトウェアの管理が必要になることもあります。
植栽についても、入居時には見通しがよくても、成長して外から見えにくい場所ができることがあります。
住宅を購入するときには設備の初期性能だけでなく、「入居後にどの程度の管理が必要なのか」という目線も持っておくと、実際の暮らしをイメージしやすくなります。
認定住宅でも日常の防犯対策は必要
東京防犯優良戸建住宅の認定を受けているからといって、犯罪被害に遭わないことが保証されるわけではありません。
防犯性能の高い住宅に住んでいても、日常の施錠など基本的な対策は必要です。
警視庁も、短時間の外出であっても戸締まりをすること、2階や浴室などの窓も施錠すること、玄関周辺に合鍵を置かないことなどを呼びかけています。
宅配便や突然の訪問についても、カメラ付きインターホンを利用して相手を確認してから対応する方法があります。
住宅そのものの性能と、住み始めてからの防犯行動を組み合わせて考えることが大切です。
東京都の防犯機器購入補助とは別の制度
東京都では2026年度も、個人宅の防犯機器購入を支援する「令和8年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業」を実施しています。
ただし、東京防犯優良戸建住宅認定制度とは別の制度です。
東京都の防犯機器補助は、都民に東京都が直接補助金を交付する仕組みではありません。
区市町村が行う個人宅向けの防犯機器等購入助成に対して、東京都が補助を行います。
補助対象となる機器としては、防犯カメラ、カメラ付きインターホン、防犯フィルムなどが例示されています。
2026年度の東京都事業では、東京都分の補助限度額は1世帯あたり上限1万円とされていますが、実際の住民向け助成額や自己負担割合、対象機器、受付期間などは自治体によって異なります。
また、予算上限に達して受付が終了する場合もあります。
したがって、
「東京防犯優良戸建住宅を購入すれば補助金がもらえる」
という制度ではありません。
防犯機器の購入や追加設置を考える場合には、現在住んでいる、またはこれから住む区市町村がどのような制度を実施しているのかを個別に確認する必要があります。
防犯性能も新築戸建を比較するときの一つの視点に
新築戸建を比較するときには、多くの条件があります。
立地や価格、土地の広さ、間取りはもちろん、耐震性、断熱性、省エネルギー性能、設備、将来のメンテナンス費用なども考えることになります。
そこに「防犯性能」という視点を加えてみてもよいでしょう。
ただし、防犯性能だけで住宅の良し悪しが決まるわけではありません。
東京防犯優良戸建住宅の認定を取得しているから資産価値が上がる、将来高く売却できる、住宅ローンが有利になるといった効果が制度として保証されているわけでもありません。
反対に、認定を取得していない住宅だから防犯性能が低いということでもありません。
制度自体が2025年に始まったばかりですので、認定を取得していない新築戸建の中にも、防犯ガラスやCP部品、防犯カメラ、センサーライトなどを採用している住宅はあります。
大切なのは、認定マークだけを見るのではなく、その住宅が実際にどのような防犯対策をしているのかを確認することです。
価格や間取りを比較するのと同じように、防犯についても設備仕様や現地の状況を一つずつ見ていくと、その住宅の特徴が分かりやすくなります。
まとめ|認定の有無だけでなく、実際の防犯対策を確認しよう
東京防犯優良戸建住宅認定制度は、東京都内の新築戸建住宅を対象として、一定の防犯性能を備えた住宅を認定・登録する制度です。
2025年9月に始まり、2026年7月には東京都大田区の「リストガーデン久が原5丁目Ⅱ」が初めて認定されました。
認定を行うのはNPO法人東京都セキュリティ促進協力会で、制度開始時には東京都都民安全推進本部と警視庁生活安全部から推奨を受けています。
制度では、通常の侵入攻撃に対して侵入が想定される開口部に5分以上の抵抗時間を求めるという考え方が示されています。
ただし、認定住宅だから犯罪被害に遭わないことが保証されるわけではありません。
CPマークの付いた建物部品についても、あらゆる状況で必ず5分以上侵入を防ぐことを保証するものではありません。
新築戸建を検討する際には、認定の有無を一つの判断材料にしながら、玄関や窓、防犯ガラス、シャッター、防犯カメラ、インターホン、照明、外構などを実際の物件ごとに確認してみるとよいでしょう。
住宅の防犯性能は、設備一つだけで決まるものではありません。
建物と外構、そして入居後の使い方まで含めて考えることで、自分たちの暮らしに合った住まいを選びやすくなります。
参考情報
確認日:2026年8月5日
NPO法人東京都セキュリティ促進協力会「東京防犯優良戸建住宅認定制度開始のご案内」
URL:制度開始のご案内
リスト株式会社「東京防犯優良戸建住宅認定の初認定事例『リストガーデン久が原5丁目Ⅱ』」
URL:初認定事例のプレスリリース
東京都生活文化局「東京都セキュリティ促進協力会 法人・団体情報」
URL:東京都 NPO法人・団体情報
警視庁「侵入窃盗の防犯対策」
URL:警視庁 侵入窃盗の防犯対策
警察庁「住まいる防犯110番」
URL:警察庁 住まいる防犯110番
東京都都民安全総合対策本部「令和8年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業」
URL:令和8年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業
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同じ「防犯カメラ付き」「防犯ガラス採用」という住宅でも、設置場所や仕様は物件によって異なります。販売資料だけでは分かりにくい部分についても、現地を見ながら確認していくことができます。
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