成年後見制度見直しを解説|実家・空き家の売却前に知っておきたい民法改正のポイント
親が高齢になり、実家や空き家の管理・売却を考え始めたとき、意外と大きな問題になるのが「本人の判断能力」です。
不動産の売却は、家族の都合だけで進められるものではありません。たとえ子どもであっても、親名義の不動産を当然に売却できるわけではなく、本人の意思確認や代理権、場合によっては成年後見制度や家庭裁判所の関与が必要になることがあります。
こうした中、2026年には成年後見制度の見直しを含む民法等の改正案が国会に提出され、後見・保佐・補助の制度のあり方や、必要な範囲で制度を利用しやすくする方向性が注目されています。
ただし、制度が見直されるとしても、家族が本人名義の実家や空き家を自由に売却できるようになるわけではありません。実際の不動産売却では、本人の意思、判断能力、登記名義、売却理由、売却代金の使い道、家庭裁判所の許可の要否などを慎重に確認する必要があります。
この記事では、成年後見制度の見直しについて、制度の基本や民法改正案のポイントを整理しながら、実家・空き家の売却前に家族が確認しておきたいことを、不動産会社の実務目線で解説します。
成年後見制度とは
成年後見制度とは、認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方について、財産管理や契約などを支援する制度です。
本人の財産を守り、本人の生活や療養看護に必要な契約を支援するための仕組みです。
不動産売却の場面でも、本人が契約内容を理解し、売却の意思を示せるかどうかが重要になります。
判断能力が不十分な人の財産管理や契約を支援する制度
成年後見制度は、判断能力が不十分な人を支えるための制度です。
たとえば、預貯金の管理、介護施設への入所契約、医療・福祉サービスの契約、生活費の支払い、不動産に関する手続きなどで利用されることがあります。
本人の財産を本人のために使うことが基本であり、家族や相続人の都合だけで財産を動かす制度ではありません。
実家や空き家の売却を考える場合も、売却が本人のためになるのか、売却代金をどのように使うのか、本人の生活にどう影響するのかが重要になります。
法定後見と任意後見の違い
成年後見制度には、大きく分けて法定後見と任意後見があります。
法定後見は、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所が成年後見人等を選任する制度です。
任意後見は、本人が十分な判断能力を持っているうちに、将来に備えて、誰にどのような事務を任せるかを契約で決めておく制度です。
つまり、法定後見は「判断能力が低下した後に使う制度」、任意後見は「判断能力があるうちに準備しておく制度」と考えると分かりやすいです。
親の判断能力に不安が出てから慌てて制度を調べるのではなく、元気なうちに任意後見や家族信託などの選択肢を検討しておくことも大切です。
現行の法定後見は後見・保佐・補助の3類型
現行の法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3類型に分かれています。
後見は、判断能力を欠く常況にある方を対象とする制度です。
保佐は、判断能力が著しく不十分な方を対象とする制度です。
補助は、判断能力が不十分な方を対象とする制度です。
それぞれ、本人の状況に応じて、後見人・保佐人・補助人に与えられる権限が異なります。
ただし、この3類型が分かりにくいことや、制度の利用が長期化しやすいことなどが、見直しの背景として指摘されています。
不動産売却では本人の意思確認と契約能力が重要
不動産売却では、本人が売却の内容を理解し、自分の意思で契約できることが重要です。
売買契約は高額な取引であり、売却後に所有権が移転します。
本人の意思能力に不安がある場合、家族が「親のために売った」と考えていても、契約の有効性や手続きに問題が生じる可能性があります。
また、家族であっても、本人名義の不動産を当然に売却できるわけではありません。
代理権があるかどうか、成年後見制度の利用が必要かどうか、家庭裁判所の許可が必要かどうかを確認する必要があります。
なぜ成年後見制度の見直しが進んでいるのか

※出典:法務省民事局「成年後見制度の見直しに向けた検討(中間試案)」(令和7年6月)
成年後見制度の見直しが進んでいる背景には、高齢化の進展、単身高齢者世帯の増加、認知症の方の増加、制度利用のしにくさなどがあります。
また、本人の意思を尊重しながら、取引の安全をどう確保するかも大きな課題です。
高齢化と単身高齢者世帯の増加
日本では高齢化が進み、ひとり暮らしの高齢者世帯も増えています。
家族が近くに住んでいないケースや、親族関係が複雑なケースもあります。
そのような中で、財産管理や契約を支援する制度の重要性が高まっています。
実家や空き家の問題も、この流れと無関係ではありません。
親が高齢になり、施設入所や入院をきっかけに、実家をどうするかを家族で考える場面が増えています。
一度始めると利用が長期化しやすいという課題
現行の法定後見制度は、一度利用を始めると、本人の判断能力が回復するなどの事情がない限り、長期間続くことがあります。
不動産売却や遺産分割など、特定の目的で制度を利用したい場合でも、その目的が終わった後も制度が続くことがありました。
この点について、「必要な場面だけ使いたい」「特定の課題が解決したら終わらせたい」というニーズに合いにくいという課題があります。
必要な場面・必要な範囲で使いにくいという課題
現行制度では、本人の状況や必要な支援内容に応じて、柔軟に制度を使いにくいという指摘があります。
たとえば、不動産売却、施設入所契約、預貯金管理、遺産分割など、必要な支援は人によって異なります。
本人に必要な範囲を超えて、広く財産管理全般に制度が及ぶと、本人や家族にとって負担に感じられることがあります。
今回の見直しでは、必要な範囲・期間で利用しやすい制度への方向性が注目されています。
本人の意思尊重と取引安全の両立が求められている
成年後見制度では、本人の保護だけでなく、本人の意思を尊重することも重要です。
本人がどこで暮らしたいのか。
実家を売ることを望んでいるのか。
売却代金をどのように使いたいのか。
こうした本人の意思を大切にしながら、同時に不動産売買のような大きな取引では、契約の安全性も確保しなければなりません。
本人の意思尊重と取引安全をどう両立するかが、成年後見制度見直しの大きなテーマです。
2026年の民法改正案で注目したいポイント

※出典:法務省民事局「法定後見制度の見直しの概要」(令和8年1月)
2026年4月3日、「民法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、国会に提出されています。
この法律案では、成年後見制度と遺言制度をより利用しやすいものにするため、複数の見直しが盛り込まれています。
ただし、法案段階の内容については、成立状況、公布日、施行日、実際の運用を最新情報で確認する必要があります。
後見・保佐制度の廃止と補助制度への一元化
改正案で注目される大きなポイントの一つが、現行の後見・保佐制度を廃止し、補助制度を中心とした制度へ見直す方向です。
現行制度では、後見、保佐、補助の3類型があります。
しかし、類型が分かれていることで制度が分かりにくく、本人の状態や必要な支援内容に柔軟に対応しにくい面がありました。
見直し案では、補助制度を中心に、必要な範囲で支援を行う方向が示されています。
補助制度の適用範囲拡大
改正案では、補助制度の適用範囲を拡大することも注目されています。
これにより、これまで後見や保佐の対象とされてきた方についても、補助制度の枠組みで必要な支援を受けられるようにする方向が考えられています。
本人に必要な支援内容に応じて、より柔軟に代理権や同意権などを設定できるようになれば、不動産売却や施設入所など、具体的な課題に対応しやすくなる可能性があります。
必要な範囲・期間で利用できる制度への見直し
現行制度の課題として、制度利用が長期化しやすいことがありました。
改正案では、必要な範囲・期間で制度を利用しやすくする方向が注目されています。
たとえば、特定の不動産売却、遺産分割、施設入所契約など、本人に必要な課題がある場合に、その目的に応じた支援を行いやすくなる可能性があります。
ただし、実際にどのような手続きで、どの程度柔軟に利用できるかは、成立後の制度設計や家庭裁判所の運用を確認する必要があります。
任意後見契約と補助制度の関係見直し
改正案では、任意後見契約と補助制度との関係も見直し対象とされています。
任意後見は、本人が判断能力を有するうちに将来に備えて契約しておく制度です。
一方、補助制度は、判断能力が不十分になった後に利用される法定後見制度の一部です。
この関係が見直されることで、本人があらかじめ準備した任意後見と、必要な支援を家庭裁判所が関与して整える補助制度との調整が、より分かりやすくなる可能性があります。
施行時期・成立状況は最新情報の確認が必要
この記事作成時点では、民法等の一部を改正する法律案が国会に提出されています。
ただし、法案は提出されただけで制度として確定したとは限りません。
成立状況、公布日、施行日は、公開前に最新情報を確認する必要があります。
また、実際の運用については、家庭裁判所、司法書士、弁護士などの実務に影響するため、制度が成立した後も具体的な取り扱いを確認することが大切です。
実家・空き家の売却と成年後見制度の関係
成年後見制度の見直しは、実家や空き家の売却を考える家庭にとって重要なテーマです。
親名義の不動産を売却したい場合、本人の判断能力、家族の代理権、家庭裁判所の関与などが問題になることがあります。
親の判断能力が低下すると不動産売却が進めにくくなる
親が高齢になり、認知症などで判断能力が低下すると、本人名義の不動産売却が進めにくくなる場合があります。
不動産売買では、売主本人が契約内容を理解し、自分の意思で売却することが必要です。
本人が売却の意味を理解できない状態で契約を進めると、契約の有効性に問題が生じる可能性があります。
そのため、親が元気なうちに、実家を将来どうするか、売却する可能性があるか、誰に相談するかを話し合っておくことが大切です。
家族が代わりに売れるとは限らない
家族であっても、本人名義の不動産を当然に売却できるわけではありません。
子どもが親の代わりに売買契約を結ぶ場合には、適切な代理権が必要です。
単に家族だから、同居しているから、介護しているから、という理由だけで本人名義の不動産を売却できるわけではありません。
本人の判断能力が不安な場合には、成年後見制度の利用が必要になることもあります。
売買契約には本人の意思能力・代理権が関係する
不動産売買では、本人の意思能力と代理権が重要です。
本人が契約内容を理解し、売却の意思を示せる場合は、本人が売主として契約できます。
一方、本人の判断能力に不安がある場合は、契約の有効性や手続きに問題が生じる可能性があります。
家族が代理人として契約する場合も、その代理権が適切に与えられているかを確認する必要があります。
不動産会社だけで判断できる領域ではないため、司法書士や弁護士への確認が必要になる場合があります。
成年後見人等による不動産売却では家庭裁判所の関与が必要になる場合がある
成年後見人等が本人に代わって不動産を売却する場合、家庭裁判所の関与が必要になることがあります。
特に、本人の居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
居住用不動産には、現在住んでいる不動産だけでなく、本人が施設や病院に入っていて現在は住んでいなくても、将来戻る可能性がある不動産などが含まれる場合があります。
売却、賃貸、取り壊し、抵当権設定など、本人の居住用不動産の処分には慎重な確認が必要です。
居住用不動産の売却は特に慎重な確認が必要
実家の売却では、「親がもう施設に入ったから売れる」と単純に考えない方がよい場合があります。
その不動産が本人の居住用不動産に該当する場合、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
また、売却代金を本人の生活費や施設費用に充てるのか、別の住まいを確保するのか、本人の意思はどうかなども重要です。
親の生活基盤に関わる不動産を売却する場合は、司法書士、弁護士、家庭裁判所などに確認しながら進めることが大切です。
成年後見制度見直しで期待されること
成年後見制度の見直しでは、制度をより利用しやすく、本人の状況に合わせて柔軟に使えるようにすることが期待されています。
ただし、実際の使い勝手は、法改正後の制度設計や実務運用を確認する必要があります。
目的に応じた柔軟な利用
現行制度では、一度利用を始めると長期化しやすいことが課題とされてきました。
改正案では、必要な目的に応じた支援を行いやすくする方向が示されています。
不動産売却、遺産分割、施設入所契約、預貯金管理など、本人に必要な課題に合わせて制度を使いやすくなる可能性があります。
必要がなくなった場合に終了しやすくなる可能性
制度見直しにより、必要な支援が終わった場合に制度利用を終了しやすくなることも期待されています。
たとえば、不動産売却など特定の課題を解決するために制度を利用した場合、その目的が終わった後も制度が続くことが負担になる場合があります。
今後の見直しによって、必要な期間だけ利用しやすい制度になる可能性があります。
財産管理を本人の状況に合わせやすくなる可能性
補助制度を中心とした見直しにより、本人の状況や必要な支援内容に応じて、財産管理や契約支援を調整しやすくなる可能性があります。
本人ができることは本人が行い、支援が必要な部分だけ補助人等が関わるという考え方は、本人の意思尊重にもつながります。
不動産売却でも、本人の意思を確認しながら、必要な範囲で支援を受ける方向が期待されます。
家族の負担軽減につながる可能性
親の判断能力が低下した場合、家族は預貯金管理、施設契約、実家管理、相続準備など、さまざまな負担を抱えることがあります。
成年後見制度が柔軟に使いやすくなれば、家族だけで抱え込まず、制度や専門家の支援を受けやすくなる可能性があります。
ただし、制度を使うには家庭裁判所の関与や専門家の確認が必要になることがあります。
「制度が変わるから簡単になる」と過度に期待しすぎず、個別事情に応じた確認が必要です。
ただし実務運用は今後の制度設計を確認する必要がある
改正案の方向性は示されていますが、実際にどのように運用されるかは、今後の制度設計や家庭裁判所の実務を確認する必要があります。
特に、不動産売却では、本人の意思確認、代理権の範囲、居住用不動産の処分、売却代金の使い道など、慎重な判断が必要です。
制度が見直されても、不動産会社だけで判断できる領域ではありません。
必要に応じて、司法書士、弁護士、家庭裁判所へ確認しましょう。
改正後も注意したい不動産売却のポイント
成年後見制度が見直されても、本人名義の不動産を家族が自由に売却できるようになるわけではありません。
不動産売却では、制度改正後も慎重に確認すべき点があります。
制度が変わっても本人確認・意思確認は重要
不動産売買では、本人確認と意思確認が重要です。
誰が所有者なのか。
本人が売却を理解しているのか。
売却代金をどのように使うのか。
本人の生活に不利益がないか。
制度が見直されても、これらの確認が不要になるわけではありません。
本人の意思をできるだけ尊重しながら、契約の安全性を確保することが大切です。
家族だけの判断で売却できるわけではない
成年後見制度の見直しによって、家族が本人名義の不動産を自由に売却できるようになるわけではありません。
本人名義の不動産を売却するには、本人の意思能力や代理権の確認が必要です。
成年後見人等が関与する場合でも、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
「家族だから売れる」と考えず、手続きの確認を優先しましょう。
売却理由・売却代金の使い道を整理する
本人名義の不動産を売却する場合は、なぜ売却するのか、売却代金を何に使うのかを整理しておくことが大切です。
施設入所費用に充てるのか。
医療費や生活費に充てるのか。
空き家管理の負担を減らすためなのか。
本人のための売却であることを説明できるようにしておく必要があります。
特に成年後見人等が関与する場合は、本人の利益に沿った売却かどうかが重要になります。
司法書士・弁護士・家庭裁判所への確認が必要な場面
本人の判断能力に不安がある場合、家族だけで判断せず、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。
登記手続き、代理権、成年後見制度の利用、家庭裁判所の許可などは、専門的な確認が必要です。
居住用不動産の売却では、家庭裁判所の関与が必要になることがあります。
また、売却益が出る場合や相続・贈与と関係する場合は、税理士への確認も必要になることがあります。
不動産会社だけで判断できない領域がある
不動産会社は、価格査定、売却方法の提案、販売活動、物件調査、売買契約書・重要事項説明書の作成、決済・引渡しまでの実務をサポートします。
しかし、本人の判断能力、成年後見制度の利用可否、代理権、家庭裁判所の許可、登記申請、税務判断などは、不動産会社だけで判断できるものではありません。
法律・登記・税務が関係する場合は、必要に応じて専門家と連携しながら進めることが大切です。
成年後見制度以外の選択肢も早めに考える
実家や空き家の売却、相続前後の財産管理を考える場合、成年後見制度だけが選択肢ではありません。
本人の判断能力が十分なうちであれば、任意後見、家族信託、遺言、任意代理契約などを検討できる場合があります。
任意後見
任意後見は、本人が判断能力を有するうちに、将来判断能力が低下した場合に備えて、誰に何を任せるかを契約で決めておく制度です。
本人が信頼できる人を任意後見人として予定し、財産管理や契約手続きなどを任せる内容を定めます。
将来の不動産管理や施設入所契約などに備える選択肢の一つです。
ただし、実際に任意後見が始まるには、家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要です。
家族信託
家族信託は、本人が財産を信頼できる家族などに託し、決められた目的に沿って管理・処分してもらう仕組みです。
不動産を含む財産管理の選択肢として注目されています。
判断能力が十分なうちに契約しておくことが重要です。
ただし、家族信託は契約内容の設計が複雑になりやすく、税務や登記も関係するため、司法書士、弁護士、税理士などへの相談が必要です。
家族信託が常に有利というわけではなく、家族構成や財産内容に応じて検討する必要があります。
遺言
遺言は、本人が亡くなった後の財産の承継について意思を残す制度です。
相続発生後のトラブルを減らすために有効な場合があります。
ただし、遺言は原則として本人が亡くなった後に効力を持つものです。
生前の不動産売却や施設費用の支払いを直接進める制度ではありません。
成年後見、任意後見、家族信託、遺言は、それぞれ役割が異なります。
任意代理契約
任意代理契約は、本人が判断能力を有するうちに、特定の手続きを代理人へ任せる契約です。
たとえば、預金管理、不動産管理、各種契約手続きなどについて、本人の意思に基づいて代理人を定めることがあります。
ただし、本人の判断能力が低下した後も同じように使えるとは限らず、金融機関や取引相手の取り扱いも確認が必要です。
任意代理契約だけで不動産売却が進められるかどうかは、個別に専門家へ確認しましょう。
判断能力が十分なうちに準備することが大切
実家や空き家の問題は、親の判断能力が低下してからでは選択肢が限られることがあります。
売却するのか、賃貸にするのか、管理するのか。
誰が手続きを進めるのか。
将来、施設入所費用が必要になった場合にどうするのか。
こうしたことは、本人が元気なうちに話し合っておくことが大切です。
家族で話しにくいテーマではありますが、先送りにすると、いざというときに手続きが進めにくくなる場合があります。
相続前後の実家・空き家で確認したいこと
実家や空き家を売却する場合、成年後見制度だけでなく、不動産そのものの確認も必要です。
相続前後では、登記名義、共有者、境界、残置物、固定資産税など、確認すべき項目が多くあります。
登記名義
まず確認したいのは、登記名義です。
実家の名義が親単独なのか、夫婦共有なのか、すでに亡くなった祖父母名義のままなのかによって、売却の進め方は変わります。
相続登記が未了の場合、売却前に相続登記が必要になることがあります。
親の判断能力が不安な場合は、名義確認とあわせて、本人の意思確認や代理権の問題も確認しましょう。
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共有者の有無
不動産が共有名義の場合、売却には原則として共有者全員の合意が必要です。
共有者の中に判断能力が不十分な方がいる場合、成年後見制度が関係する可能性があります。
共有者が多い不動産は、売却までに時間がかかることもあります。
早めに共有者、持分、連絡先、相続関係を整理しておきましょう。
境界・越境
土地や戸建を売却する場合、境界や越境の確認も重要です。
隣地との境界が不明確な場合や、ブロック塀、屋根、配管、樹木などが越境している場合、売却時の条件調整が必要になることがあります。
古い実家や空き家では、測量図がない、境界標が見つからないというケースもあります。
売却前に現地確認を行い、必要に応じて測量の要否を検討しましょう。
残置物
実家や空き家には、家具、家電、衣類、仏壇、書類、思い出の品などが残っていることがあります。
売却前には、何を処分し、何を保管するかを家族で決める必要があります。
本人がまだ判断できる場合は、本人の希望を確認しておきましょう。
成年後見制度が関係する場合、本人の財産処分にあたるものについては慎重に扱う必要があります。
固定資産税・管理費用
不動産を所有している限り、固定資産税や管理費用がかかります。
空き家になっても、草木の管理、建物の点検、火災保険、修繕費、近隣対応などが必要になる場合があります。
管理が難しくなる前に、売却、賃貸、管理、解体などの方針を考えることが大切です。
売却・賃貸・管理の方針
実家や空き家をどうするかは、家族にとって大きな判断です。
売却するのか。
賃貸に出すのか。
しばらく管理するのか。
将来誰かが住む予定があるのか。
判断能力が十分なうちに、本人の希望と家族の考えを整理しておくと、後の手続きが進めやすくなります。
市原市・千葉市周辺で実家売却を考える場合
市原市・千葉市周辺で実家や空き家の売却を考える場合、制度面と不動産実務の両方を確認する必要があります。
親の判断能力が不安な場合は、特に慎重に進めましょう。
高齢の親が所有する不動産を売る前の確認
高齢の親が所有する不動産を売却する場合、まず本人の意思を確認しましょう。
本人が売却を理解しているか。
売却代金をどう使うのか。
売却後の住まいは確保されているか。
これらは、家族にとっても不動産会社にとっても重要な確認事項です。
あわせて、登記名義、共有者、抵当権、境界、残置物、建物状態なども確認しておく必要があります。
空き家になる前に方針を決める
実家が空き家になってから方針を考えると、管理負担が大きくなることがあります。
遠方に住んでいる家族が管理する場合、草木の手入れ、郵便物、雨漏り、近隣対応、防犯などが負担になります。
空き家になる前に、売却するのか、賃貸にするのか、家族で使うのか、解体するのかを話し合っておきましょう。
判断能力が不安な場合は専門家確認を優先
親の判断能力に不安がある場合は、売却活動を進める前に、司法書士や弁護士などへ確認することをおすすめします。
本人が契約できる状態なのか。
代理人で進められるのか。
成年後見制度が必要なのか。
家庭裁判所の許可が必要なのか。
これらは不動産会社だけで判断できるものではありません。
売却準備と並行して、法律・登記面の確認を進めることが大切です。
不動産会社は価格査定・売却準備をサポート
不動産会社は、実家や空き家の価格査定、売却可能性の確認、販売方法の提案、現地調査、役所調査、物件資料の整理、売買契約書・重要事項説明書の作成などをサポートします。
市原市・千葉市周辺では、駅距離、道路付け、土地面積、建物状態、周辺相場、ハザードマップ、再建築の可否などを確認する必要があります。
売却できるかどうかだけでなく、どのような条件なら売りやすいかを整理することが大切です。
法律判断は専門家と連携する
成年後見制度、代理権、家庭裁判所の許可、相続登記、遺産分割、税務などが関係する場合は、専門家との連携が必要です。
不動産会社は売却実務をサポートできますが、法律判断や登記申請代理、税務判断を行う立場ではありません。
実家・空き家の売却では、不動産会社、司法書士、弁護士、税理士が、それぞれの専門分野で役割を分担しながら進めることが大切です。
よくある質問
親が認知症でも実家を売却できますか?
認知症であっても、直ちに売却できないと決まるわけではありません。
重要なのは、本人が売却の内容を理解し、意思を示せる状態かどうかです。
判断能力に不安がある場合は、司法書士や弁護士に相談し、成年後見制度の利用が必要か確認しましょう。
家族が代わりに売買契約を結べますか?
家族であっても、本人名義の不動産を当然に売却できるわけではありません。
代理権があるかどうかが重要です。
本人の判断能力に不安がある場合や、代理権の有無が不明な場合は、専門家へ確認しましょう。
成年後見制度を使えばすぐ売却できますか?
成年後見制度を使えば必ずすぐ売却できる、というわけではありません。
成年後見人等の選任には家庭裁判所の手続きが必要です。
また、本人の居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
売却理由や売却代金の使い道も重要です。
改正後は成年後見制度を途中でやめられるようになりますか?
改正案では、必要な範囲・期間で利用しやすい制度への見直しが注目されています。
ただし、具体的な終了の要件や運用は、法案の成立後、制度内容や家庭裁判所の運用を確認する必要があります。
現時点では、公開前に最新情報を確認することが大切です。
成年後見制度の改正はいつから始まりますか?
2026年4月3日に民法等の一部を改正する法律案が国会に提出されています。
ただし、施行時期や具体的な運用は、成立状況、公布日、施行日を確認する必要があります。
記事を公開する際は、法務省、国会、内閣法制局などの最新情報を確認してください。
家族信託と成年後見はどちらがよいですか?
どちらがよいかは、家族構成、本人の判断能力、財産内容、不動産の状況、将来の希望によって異なります。
家族信託は、本人の判断能力が十分なうちに契約する必要があります。
成年後見制度は、判断能力が低下した後に利用されることがあります。
どちらが適しているかは、司法書士や弁護士などへ相談しましょう。
空き家になる前に何を準備すべきですか?
登記名義、共有者、境界、残置物、固定資産税、建物状態、売却・賃貸・管理の方針を確認しておきましょう。
親の判断能力が十分なうちに、実家を将来どうするかを話し合うことも大切です。
必要に応じて、任意後見、家族信託、遺言などの選択肢も検討しましょう。
不動産会社にどこまで相談できますか?
不動産会社には、価格査定、売却可能性、現地調査、役所調査、販売方法、売買契約書・重要事項説明書の作成、売却活動、決済・引渡しまでの実務を相談できます。
ただし、成年後見制度の利用可否、代理権、家庭裁判所の許可、登記申請、税務判断などは、司法書士、弁護士、税理士などへ確認する必要があります。
司法書士・弁護士にはいつ相談すべきですか?
親の判断能力に不安がある場合、家族が代理で売却したい場合、相続人や共有者が多い場合、成年後見制度や家族信託を検討する場合は、早めに相談することをおすすめします。
売却活動を始めてから手続き上の問題が分かると、契約までに時間がかかることがあります。
不動産会社への査定相談と並行して、専門家への確認を進めると安心です。
まとめ
成年後見制度は、認知症などにより判断能力が不十分になった方の財産管理や契約を支援する制度です。
現行の法定後見制度は、後見、保佐、補助の3類型に分かれています。
2026年に国会提出された民法等の一部を改正する法律案では、後見・保佐制度の廃止、補助制度の適用範囲拡大、任意後見契約と補助制度との関係見直しなどが注目されています。
ただし、法案段階の内容については、成立状況、公布日、施行日、実際の運用を最新情報で確認する必要があります。
実家や空き家の売却では、本人の判断能力、意思確認、代理権、家庭裁判所の関与が重要です。
家族であっても、本人名義の不動産を当然に売却できるわけではありません。
特に、本人の居住用不動産を成年後見人等が売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要になることがあります。
制度が見直されても、家族だけの判断で自由に売却できるようになるわけではありません。
親の判断能力が不安な場合は、売却活動を進める前に、司法書士や弁護士などへ確認しましょう。
相続前後の実家・空き家では、登記名義、共有者、境界、残置物、固定資産税、管理費用、売却・賃貸・管理の方針も確認が必要です。
空き家になってから慌てるのではなく、本人が元気なうちに、家族で方針を話し合っておくことが大切です。
不動産会社は、価格査定、現地調査、役所調査、販売方法の提案、売買契約書・重要事項説明書の作成、決済・引渡しまでの実務をサポートできます。
一方で、成年後見制度、代理権、家庭裁判所の許可、登記、税務などは専門家の確認が必要です。
実家・空き家の売却では、不動産会社と専門家が役割を分担しながら進めることが、安心につながります。
参考情報
確認日:2026年6月10日
- 法務省「民法(成年後見等関係)等の改正に関する要綱案」
- 法務省「法制審議会民法(成年後見等関係)部会第33回会議」
- 内閣法制局「民法等の一部を改正する法律案」
- 厚生労働省「成年後見制度利用促進」
- 最高裁判所・裁判所「成年後見制度」
- 裁判所「成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可」
- 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度」
- 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
- 国土交通省「不動産取引に関するお知らせ」
辰巳地所のご紹介
辰巳地所では、市原市・千葉市を中心に、千葉県内および一都三県の不動産売却・購入をサポートしています。
親が所有する実家、空き家、相続予定の不動産を売却する場合、物件価格だけでなく、登記名義、共有者の有無、本人の意思確認、判断能力、残置物、境界、建物の状態、固定資産税、売却後の手取り額などを整理することが大切です。
判断能力が不安な場合や成年後見制度が関係する場合は、司法書士・弁護士・家庭裁判所等への確認が必要になることがあります。
当社では、不動産会社として、価格査定、売却可能性の確認、現地調査、役所調査、売買契約書・重要事項説明書の作成、売却活動、決済・引渡しまでの実務を丁寧にサポートしています。
法律・登記・税務の判断が必要な場合は、必要に応じて専門家への確認を行いながら、実家・空き家の売却準備を進めることが大切です。
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