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南海トラフ地震で千葉県はどうなる?津波・震度・住宅購入前の確認ポイントを解説南海トラフ地震が発生した場合、千葉県では最大震度5強、最大約11mの津波が想定されています。最新の発生確率や被害想定、津波・液状化・地盤リスク、市原市・千葉市で戸建やマンションを購入する前に確認したいポイントを解説します。...

南海トラフ地震について調べていると、「南海トラフ地震防災対策推進地域」という言葉を目にすることがあります。

千葉県では、18市町村がこの推進地域に指定されています。さらに、そのうち館山市・南房総市・鋸南町の3市町は、「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」にも指定されています。

「推進地域」と聞くと、地震や津波の危険性が特に高く、住宅購入を避けるべき地域のように感じる方もいるかもしれません。

しかし、この制度は個々の土地や住宅について「安全」「危険」を判定するものではありません。

南海トラフ地震に備えて防災対策を重点的に進めていくための地域指定です。そのため、住宅を検討するときは「推進地域に入っているか」だけで結論を出すのではなく、そこから物件所在地まで範囲を狭め、津波浸水想定や避難条件を確認していく必要があります。

この記事では、千葉県の18市町村を確認しながら、推進地域の指定基準や特別強化地域との違い、住宅購入時にこの情報をどう受け止めればよいのかを解説します。

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南海トラフ地震防災対策推進地域は何を目的とした制度?

南海トラフ地震津波避難対策推進地域の指定

※出典:内閣府公式サイト

「南海トラフ地震防災対策推進地域」は、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法、いわゆる南海トラフ法に基づいて指定される地域です。

南海トラフ地震による被害が想定される地域について、国や地方公共団体、関係機関、事業者などが防災対策を計画的に進めるための仕組みと考えると分かりやすいでしょう。内閣府では、推進地域や特別強化地域の指定に加え、南海トラフ地震防災対策推進基本計画などを公表しています。

2025年3月に南海トラフ巨大地震の新しい被害想定が公表されたことなどを受け、2025年7月1日には推進地域の指定が更新されました。

現在の推進地域は、全国で1都2府27県723市町村です。

かなり広い地域が対象となっていることからも、「推進地域」という言葉を単純な危険区域と捉えないほうがよいことが分かります。

千葉県で指定されている18市町村

2025年7月1日現在、千葉県で南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されているのは、次の18市町村です。内閣府の現行指定市町村一覧と千葉県の公表内容は一致しています。

区分市町村
銚子市
館山市
旭市
勝浦市
鴨川市
富津市
南房総市
匝瑳市
山武市
いすみ市
大網白里市
九十九里町
横芝光町
一宮町
長生村
白子町
御宿町
鋸南町

正式な国の一覧では、九十九里町を「山武郡九十九里町」、一宮町を「長生郡一宮町」、御宿町を「夷隅郡御宿町」、鋸南町を「安房郡鋸南町」などと郡名を含めて記載しています。

地図で見ると、太平洋沿岸から九十九里、外房、南房総方面を中心に指定されていることが分かります。

ただし、ここで「海沿いならすべて推進地域」と考えるのも正確ではありません。地域指定には国が定めた基準があり、被害想定などを踏まえて市町村単位で指定されています。

千葉県の18市町村はなぜ推進地域に指定されている?

千葉県は、県内の18市町村について、

国の被害想定で3m以上の津波が想定されている地域

と説明しています。

そのため、千葉県の18市町村について理解するうえでは、津波が大きなポイントになります。

ただし、ここで少し気を付けたいことがあります。

「千葉県では3m以上の津波が想定される18市町村が対象」という説明と、「全国の推進地域は津波が3m以上なら自動的に指定される」という説明は同じではありません。

国が定める推進地域の指定基準には、津波以外の条件もあります。

全国の推進地域は「津波3m以上」だけで決まるわけではない

内閣府が2025年7月に示している指定基準では、南海トラフ地震防災対策推進地域について、大きく4つの観点が示されています。

まず、震度6弱以上になる地域です。

次に津波については、単に3m以上の津波が予想されるだけではなく、「大津波(3m以上)」が予想され、その水位より高い海岸堤防がない地域という基準になっています。

さらに、過去の南海トラフ地震で特殊な地形条件などによって大きな被害を受けた地域についても考慮されます。

もう一つが、防災体制の確保です。消防、水防、医療、ごみ処理、上水道などを周辺自治体と一体的に運用する必要がある場合や、指定候補となる市町村に囲まれている場合なども考慮するとされています。

つまり、推進地域は一つの数字だけで機械的に線を引いているわけではありません。

千葉県については、県が18市町村を「3m以上の津波が想定される地域」と案内しているため、住宅購入者にとっても津波リスクは確認しておきたいポイントですが、制度全体としては複数の条件を踏まえた地域指定になっています。

南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域との違い

南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域の指定

※出典:内閣府公式サイト

もう一つ、名前が似ていて分かりにくいのが「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」です。

大まかに分けると、次のように考えると分かりやすいでしょう。

区分位置付け
南海トラフ地震防災対策推進地域南海トラフ地震に対する防災対策を推進する地域
南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域推進地域のうち、津波からの避難対策を特に強化する地域

特別強化地域では、津波からの迅速な避難が特に課題となる地域を対象に、避難対策を強化する仕組みが設けられています。

ここで、「特別強化地域=ほかの推進地域よりすべての災害リスクが高い」と考えるのは適切ではありません。

あくまで津波からの避難に重点を置いた地域指定です。

千葉県では館山市・南房総市・鋸南町が特別強化地域

千葉県内では、

館山市
南房総市
鋸南町

の3市町が南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域に指定されています。

内閣府の現行資料では、特別強化地域そのものは2014年3月28日の指定から変更されておらず、2025年7月1日の中央防災会議の答申でも変更なしと明記されています。

全国では1都13県139市町村です。

「30cm以上・30分以内」が一つの基準

特別強化地域の指定基準を見ると、その性格がより分かりやすくなります。

原則として、

陸上で津波による30cm以上の浸水が、地震発生から30分以内に生じる地域

が対象です。

30cmという数字を見て「それほど深くない」と感じるかもしれませんが、この制度で重視されているのは、浸水深の大きさだけではなく津波が短時間で到達するため、避難に使える時間が限られることです。

また、国の基準では、この条件だけでなく、特別強化地域の候補市町村に挟まれた沿岸市町村や、同一都府県内で津波避難対策を一体的に進める必要性なども考慮するとしています。

そのため、「30分を1分超えたら対象外」といった単純な線引きではありません。

推進地域に指定されると何が変わる?

では、推進地域に指定されると、実際には何が変わるのでしょうか。

地域指定の目的は、南海トラフ地震に対する防災対策を計画的に進めることにあります。

国の南海トラフ法や推進基本計画をもとに、関係する地方公共団体などが防災対策を進めていく仕組みになっています。内閣府では、推進地域の指定とあわせて、地震防災上必要な施設整備、津波からの避難、訓練、教育・広報などを含む基本計画を設けています。

一般の住宅所有者に「推進地域だから住宅を改修しなければならない」といった一律の義務を課す制度ではありません。

一方で、一定の施設や事業を運営する事業者については、より具体的な仕組みがあります。

一定の施設・事業者には対策計画等の制度がある

千葉県では、南海トラフ法に基づき、一定の事業者について「対策計画」または「地震防災規程」の作成・届出を求めています。

ただし、推進地域内のすべての企業や店舗が対象になるわけではありません。

千葉県が案内している対象は、

「推進地域のうち水深30cm以上の浸水が想定される区域」にあり、さらに南海トラフ法施行令で定められた施設または事業を管理・運営する事業者です。

対象となる事業者は、利用客や従業員などを津波から守るため、津波避難計画などを含む対策計画を作成します。

すでに消防計画など別の法令に基づく計画を作成している事業者については、その計画に「南海トラフ地震防災規程」を定めることで、対策計画を作成したものとみなされる仕組みもあります。

計画には、津波からの円滑な避難、防災訓練、必要な教育や広報などが含まれます。

このように見ると、推進地域という制度は「危険な地域にラベルを付ける」だけのものではなく、実際の避難や防災行動につながる計画を地域内で進めるための仕組みであることが分かります。

推進地域にある住宅が「危険な物件」という意味ではない

住宅を探している方にとって、最も気になるのはここかもしれません。

購入候補の住宅がある市町村を調べたところ、南海トラフ地震防災対策推進地域だった。そう分かると、「この地域で住宅を買わないほうがよいのでは」と不安になることもあるでしょう。

ただし、推進地域への指定は市町村単位です。

一つの市町村の中でも、海沿いの低地と標高のある内陸部では津波の影響が違います。同じ海からの距離でも、地形や川との位置関係などによって浸水想定が異なる場合があります。

ですから、

「推進地域だから危険」
「推進地域ではないから安全」

という二択で住宅を判断するのは適切ではありません。

地域指定は、住宅を検討するときに「この地域では南海トラフ地震への備えが必要なのだ」と気付くための入口として使うのがよいでしょう。

そこから先は、個別の物件について確認していきます。

住宅購入では「18市町村に入っているか」の先まで確認する

住宅購入では、まず自治体が推進地域に入っているかを知り、その次に検討している物件の住所まで範囲を狭めることが大切です。

たとえば、同じ推進地域内でも、津波浸水想定区域に入っている場所と入っていない場所があります。

浸水想定区域に入っている場合も、どの程度の浸水深が想定されるのか、近くに避難場所があるのか、そこまで徒歩で移動できるのかによって、住宅購入後に必要な備えは変わってきます。

確認するときは、

市町村が推進地域か

物件所在地に津波浸水が想定されているか

想定浸水深はどの程度か

どこへ避難するのか

実際に歩いて避難できそうか

という順番で見ていくと、制度上の地域指定を具体的な住宅選びへつなげやすくなります。

千葉県は、事業者計画の対象区域を確認する資料としても、南海トラフ地震の津波浸水図を「ちば情報マップ」で確認できると案内しています。

もちろん、津波だけが住宅購入時の災害確認のすべてではありません。

地震の揺れ、液状化、地盤、戸建住宅の耐震性、マンションの防災対策などについては、関連記事**「南海トラフ地震で千葉県はどうなる?津波・震度・住宅購入前の確認ポイントを解説」**で詳しく紹介しています。

本記事では、まず「推進地域」という制度が個々の住宅の危険度を直接表すものではないことを理解したうえで、物件所在地へ話を落とし込むことをおすすめします。

まとめ|地域指定は物件を判断する入口として使う

千葉県では、2025年7月1日現在、18市町村が南海トラフ地震防災対策推進地域に指定されています。千葉県は、この18市町村について、国の被害想定で3m以上の津波が想定される地域と説明しています。

また、そのうち館山市・南房総市・鋸南町の3市町は、津波からの避難対策を特に強化する「南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域」です。

ただし、推進地域の全国共通の指定基準には、津波だけでなく震度、過去の被災状況、防災体制なども含まれています。特別強化地域についても、「30cm以上の津波浸水が30分以内」という基準を基本としながら、地域の連続性や一体的な避難対策などが考慮されます。

こうした制度を知ることは、住宅を検討するうえでも意味があります。

一方で、市町村単位の指定だけを見て、その地域にあるすべての住宅の安全性を判断することはできません。

住宅購入で本当に知りたいのは、「18市町村のどこに入っているか」だけではなく、検討している一つの物件について、どの程度の津波浸水が想定され、どこへ避難できるのかという具体的な情報です。

地域指定を知ることを出発点にして、最後は物件所在地まで範囲を狭めて確認する。

そのように使うと、「南海トラフ地震防災対策推進地域」という制度を、必要以上に怖がることも、反対に軽く考えることもなく、住宅購入の判断材料の一つとして活用しやすくなるでしょう。

参考情報

確認日:2026年8月11日

内閣府「南海トラフ地震防災対策」
URL:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/

内閣府「南海トラフ地震防災対策推進地域指定市町村一覧」
URL:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/nankaitrough_shichouson.pdf

内閣府「『南海トラフ地震防災対策推進地域』及び『南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域』の指定基準について」
URL:https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/pdf/nankaitrough_kijun.pdf

e-Gov法令検索「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC1000000092

千葉県「南海トラフ地震臨時情報」
URL:https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/nankaitorafu/rinji.html

千葉県「南海トラフ地震事業者計画(対策計画・地震防災規程)の作成」
URL:https://www.pref.chiba.lg.jp/bousaik/nankaitorafu/taisakukeikaku.html

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    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談を、わかりやすく丁寧にサポートいたします。
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