中間省略登記・三為契約とは?オーナーチェンジ物件・収益物件を買う前に知っておきたいこと
はじめに|収益物件では「登記名義人と売主が違う」ケースに出会うことがある
オーナーチェンジマンションや賃貸中の戸建、一棟アパートなどを検討していると、売主は不動産会社なのに、登記事項証明書を見ると所有者が別の個人名や別会社になっていることがあります。
居住用のマイホーム購入でも気になる場面ですが、収益物件の場合はさらに確認したい点が増えます。
本当に自分へ所有権移転登記できるのか。
入居者との賃貸借契約はどう引き継ぐのか。
敷金や日割賃料はどう精算するのか。
サブリース契約や管理会社との契約はどうなるのか。
そもそも、住宅ローンで買える物件なのか。
このような疑問が出てくるのは自然です。
この場面で出てくる言葉が、「中間省略登記」や「三為契約」です。
ただし、言葉だけで危ない取引と決めつけるのは少し早いです。
昔から問題にされてきた旧来型の中間省略登記と、現在の不動産実務で使われることがある「第三者のためにする契約」、いわゆる三為契約による直接移転登記は、考え方が異なります。
この記事では、オーナーチェンジ物件や収益物件を検討している方に向けて、中間省略登記・三為契約の基本と、契約前に確認したい実務上のポイントを整理します。
中間省略登記とは何か
中間省略登記とは、簡単にいうと、不動産の所有権が複数の人を経由して移転しているのに、その途中の登記を省いて、最初の所有者から最後の買主へ直接登記することをいいます。
たとえば、次のような流れを考えます。
Aさんがオーナーチェンジマンションを所有している。
B社がAさんからそのマンションを買う。
CさんがB社からそのマンションを買う。
この場合、実際に所有権がAさんからB社へ、B社からCさんへ順番に移るのであれば、登記もAさんからB社、B社からCさんへと順番に行われるのが自然です。
ところが、B社への登記を省いて、AさんからCさんへ直接所有権移転登記をする形が、旧来型の中間省略登記として問題にされてきました。
旧来型の中間省略登記のイメージ
旧来型の中間省略登記では、実体としてはAさんからB社へ、B社からCさんへ所有権が移っているのに、登記上はAさんからCさんへ直接移ったように見えます。
つまり、実際の権利の動きと登記の形がずれてしまいます。
不動産登記は、誰が所有者なのか、どのような権利が付いているのかを外から確認できるようにする制度です。
収益物件の場合は、金融機関、管理会社、入居者、将来の買主など、関係者が多くなりやすいです。
そのため、権利関係がわかりにくい取引は、後々のトラブルにつながることがあります。
なぜ中間省略登記が問題になるのか
中間省略登記が問題になるのは、単に途中の登記を省くからではありません。
本来の権利移転の流れと登記記録が合わなくなることが問題です。
収益物件では、さらに確認事項が増えます。
所有権がいつ誰に移ったのか。
賃貸借契約を誰が承継するのか。
敷金返還義務を誰が負うのか。
家賃収入はいつから誰に帰属するのか。
抵当権の抹消や新たな担保設定は問題なく行えるのか。
こうした点があいまいなままだと、買主だけでなく、売主、入居者、金融機関にも影響が出ることがあります。
現在は登記の形だけでなく契約内容との整合性が大切
現在の不動産取引では、AさんからCさんへ直接登記するように見える場合でも、単に途中の登記を省くという考え方では進められません。
大切なのは、契約内容と登記の流れが合っていることです。
登記申請では、なぜその所有権移転登記を行うのかを示す登記原因証明情報が必要になります。
そのため、AさんからCさんへ直接所有権を移転するのであれば、契約内容としてもAさんからCさんへ直接所有権が移る構成になっている必要があります。
ここで出てくるのが、第三者のためにする契約、いわゆる三為契約です。
三為契約とは?第三者のためにする契約をわかりやすく整理
三為契約とは、「第三者のためにする契約」を略した実務上の言い方です。
民法には、契約の当事者ではない第三者に、直接給付を受ける権利を持たせる契約が定められています。
不動産取引では、この考え方を使い、AさんとB社の契約、B社とCさんの契約を組み合わせて、最終的にAさんからCさんへ直接所有権を移転する形を取ることがあります。
A・B・Cの三者で考えると理解しやすい
登場人物を次のように整理します。
Aさんは、現在の登記名義人です。
B社は、不動産を仕入れて再販売しようとしている不動産会社です。
Cさんは、最終的に収益物件を購入する買主です。
三為契約では、B社がAさんから物件を買う契約を結びます。
ただし、B社がいったん自社名義で所有権を取得するのではなく、B社が指定する第三者であるCさんへ、Aさんから直接所有権を移転する契約構成を取ることがあります。
そのうえで、B社とCさんの間でも契約を結び、決済時にAさんからCさんへ直接所有権移転登記を行います。
Bが所有権を取得せず、AからCへ直接移転する考え方
旧来型の中間省略登記との大きな違いは、B社に所有権が移ったかどうかです。
旧来型の中間省略登記では、実際にはAさんからB社へ、B社からCさんへ所有権が移っているのに、登記だけAさんからCさんへ直接移す形が問題になります。
一方、三為契約では、契約の作り方として、B社が所有権を取得せず、AさんからCさんへ直接所有権が移転するように整えることがあります。
見た目だけを見ると、どちらもAさんからCさんへ直接登記されるように見えます。
しかし、中身は違います。
旧来型の中間省略登記は、途中の権利移転を登記に反映しない話です。
三為契約による直接移転登記は、そもそもB社に所有権を移さず、AさんからCさんへ直接所有権を移転する契約構成にする話です。
「新・中間省略登記」という呼び方だけで判断しない
三為契約による直接移転登記は、実務上「新・中間省略登記」と呼ばれることがあります。
ただし、この呼び方は少し紛らわしいです。
「中間省略登記」という言葉が入っているため、旧来型の中間省略登記と同じように受け取られやすいからです。
大切なのは、呼び方ではありません。
契約内容として、誰から誰へ所有権が移るのか。
売主としての責任を誰が負うのか。
登記原因証明情報と実際の契約内容が合っているのか。
収益物件であれば、賃貸借契約や敷金返還義務まで含めて整理されているのか。
ここを確認することが大切です。
収益物件で三為契約が使われる場面
三為契約は、一般のマイホーム購入よりも、収益物件の売買で目にすることがあります。
特に、不動産会社が物件を仕入れて、投資家や個人買主へ再販売する場面です。
不動産会社が収益物件を仕入れて再販売するケース
たとえば、B社がAさんからオーナーチェンジマンションを仕入れる契約を結びます。
その後、B社がCさんへ再販売します。
通常であれば、AさんからB社へ所有権移転登記を行い、その後B社からCさんへ登記します。
しかし、三為契約の形を取る場合、B社がいったん自社名義に登記せず、AさんからCさんへ直接所有権移転登記を行うことがあります。
B社は、仕入価格と販売価格の差額を利益として見込むことになります。
このような取引自体が直ちに悪いわけではありません。
ただし、買主が仕組みを理解しないまま契約するのは避けたいところです。
オーナーチェンジマンションで見かけることがある
オーナーチェンジマンションは、すでに入居者が住んでいる状態で売買される区分マンションです。
買主は、購入後に自分で住むのではなく、現在の賃貸借契約を引き継ぎ、家賃収入を得ることになります。
このような物件では、売主が不動産会社であっても、登記簿上の所有者がまだ元のオーナーのままというケースがあります。
その場合、三為契約による直接移転登記として説明されることがあります。
買主としては、物件価格や利回りだけでなく、登記の流れ、賃貸借契約の承継、敷金の扱い、家賃の入金状況まで確認する必要があります。
賃貸中戸建・一棟アパートでも確認が必要
三為契約は、区分マンションだけでなく、賃貸中の戸建や一棟アパートでも出てくることがあります。
戸建の場合は、土地と建物の権利関係、借地権の有無、増改築の履歴、越境、私道、境界なども確認したいところです。
一棟アパートの場合は、各部屋の賃貸借契約、滞納状況、敷金、原状回復、管理会社、修繕履歴、建物の維持管理状況が大切になります。
三為契約かどうかに関係なく、収益物件では「買った後に賃貸経営を引き継ぐ」という視点が必要です。
登記だけを見ても、収益物件のリスクは判断できません。
旧来型の中間省略登記と三為契約の違い
ここで、旧来型の中間省略登記と三為契約による直接移転登記の違いをもう一度整理します。
買主にとって大切なのは、言葉を覚えることではなく、取引の中身を理解することです。
見た目はAからCへの直接登記でも中身が違う
登記事項証明書を見ると、現在の所有者はAさんです。
売買契約の相手はB社です。
決済後には、AさんからCさんへ所有権移転登記されると説明されます。
この見た目だけでは、旧来型の中間省略登記なのか、三為契約による直接移転登記なのかはわかりません。
確認すべきなのは、Aさん、B社、Cさんの契約内容です。
AさんからB社へ所有権が移った後、B社からCさんへ移るのか。
それとも、B社は所有権を取得せず、AさんからCさんへ直接所有権が移る契約構成なのか。
ここが重要です。
Bに所有権が移ったかどうかがポイント
三為契約では、B社が販売の窓口になりながらも、所有権そのものはB社を経由しない構成を取ることがあります。
そのため、買主から見ると「売主はB社なのに、登記はAさんから自分に来る」という流れになります。
初めて聞くと違和感があるかもしれません。
しかし、AさんとB社、B社とCさんの契約内容が整い、司法書士が登記の流れを確認しているのであれば、実務上用いられる取引形態の一つです。
一方で、説明があいまいだったり、契約書と重要事項説明書の内容が整理されていなかったりする場合は、慎重に確認する必要があります。
単に登記費用を省く話ではない
三為契約を「登記費用を節約するために、途中の登記を飛ばす方法」と理解してしまうと、少し危険です。
本来は、契約内容と登記の流れを一致させる必要があります。
買主としては、次のように考えるとわかりやすいです。
現在の登記名義人は誰か。
売主として契約するのは誰か。
売主はどのような立場で販売しているのか。
自分は最終的に誰から所有権を取得するのか。
司法書士はその流れで登記できると確認しているのか。
賃貸借契約や敷金は誰から引き継ぐのか。
この流れが説明できない取引は、慎重に見るべきです。
オーナーチェンジ物件で買主が確認したいこと
オーナーチェンジ物件では、通常の空室物件とは違い、買主は物件だけでなく、賃貸借契約も引き継ぐことになります。
そのため、三為契約の確認に加えて、賃貸経営を引き継ぐための確認が必要です。
現在の登記名義人と売主の関係
まず確認したいのは、現在の登記名義人と売主の関係です。
登記簿上の所有者がAさんで、売主がB社であれば、B社がどのような契約に基づいて販売しているのかを確認します。
「三為契約です」と説明された場合は、Aさん、B社、Cさんの関係を図にしてもらうと理解しやすくなります。
誰から誰へ所有権が移るのか。
B社は売主としてどのような責任を負うのか。
決済時にAさんの登記書類はそろうのか。
このあたりを、契約前に確認しておきましょう。
賃貸借契約は誰から誰へ承継されるのか
オーナーチェンジ物件では、買主は既存の賃貸借契約を引き継ぐことになります。
入居者はそのまま住み続け、買主は新しい貸主として家賃を受け取る立場になります。
三為契約の場合、売買契約上の売主がB社でも、現在の貸主はAさんであることがあります。
この場合、賃貸借契約上の貸主の地位が、どのようにCさんへ移るのかを確認する必要があります。
入居者への通知は誰が行うのか。
賃料の振込先変更はいつ行うのか。
管理会社への連絡は誰がするのか。
保証会社との契約は引き継げるのか。
賃貸借契約書、更新合意書、保証会社の契約書、管理委託契約の有無も確認しましょう。
敷金・保証金・日割賃料の精算
収益物件では、敷金や保証金の扱いが大切です。
入居者から預かっている敷金は、将来退去するときに返還義務が発生する可能性があります。
オーナーチェンジ物件を購入する場合、敷金返還義務を買主が引き継ぐことがあります。
そのため、決済時に売主から買主へ敷金相当額を精算するのか、売買代金の中で調整されているのかを確認する必要があります。
また、決済日を境に、家賃、管理費、修繕積立金、固定資産税・都市計画税、賃貸管理手数料などを日割り精算することがあります。
三為契約では関係者が複数になるため、誰と誰の間で精算するのかを事前に整理しておきましょう。
管理会社・サブリース・滞納状況の確認
オーナーチェンジ物件では、管理状況も収益性に大きく関わります。
現在の管理会社はどこか。
管理委託契約は引き継げるのか。
サブリース契約が付いているのか。
入居者に家賃滞納はないか。
過去にトラブルやクレームはないか。
退去予定や更新予定はあるか。
特にサブリース契約が付いている物件では、買主がその契約を引き継ぐのか、引き継がないのか、賃料保証の金額や見直し条件はどうなっているのかを確認する必要があります。
表面利回りだけを見ると、こうした実務上のリスクを見落としやすくなります。
契約不適合責任や引渡し後の窓口
収益物件でも、建物や設備に不具合がある場合があります。
区分マンションなら、室内設備、給排水管、漏水、管理組合の修繕状況などが気になります。
戸建や一棟アパートなら、屋根、外壁、基礎、給排水管、浄化槽、雨漏り、シロアリ、越境なども確認したいところです。
売主が不動産会社である場合、売主としての契約不適合責任が問題になります。
ただし、三為契約や契約形式によって、買主の法的立場や責任追及の相手がわかりにくくなることがあります。
買主としては、次の点を確認しましょう。
売主は誰か。
契約不適合責任は誰が負うのか。
責任の期間や範囲はどうなっているのか。
設備故障や入居者対応の窓口はどこか。
引渡し後に不具合が見つかった場合、誰に連絡すればよいのか。
収益物件は、買った後に賃貸経営が続きます。
購入時点で窓口を明確にしておくことが大切です。
収益物件を住宅ローンで買うことはできない
オーナーチェンジマンションや一棟アパートを検討している方から、「住宅ローンで買えますか」と相談されることがあります。
結論からいうと、収益物件を購入する目的で、自己居住用の住宅ローンを利用することはできません。
住宅ローンは、基本的に自分や家族が住む住宅を購入するための融資です。
オーナーチェンジ物件のように、すでに入居者が住んでおり、購入後に家賃収入を得る目的の物件は、自己居住用の住宅とは扱いが異なります。
そのため、収益物件を購入する場合は、住宅ローンではなく、不動産投資ローン、アパートローン、事業用ローンなどで検討するのが原則です。
住宅ローンは自己居住用が前提
住宅ローンは、買主本人やその家族が居住する住宅を取得するための融資です。
一方、オーナーチェンジ物件は、すでに賃借人が入居している状態で売買される物件です。
買主は購入後すぐに自分で住むのではなく、貸主として賃貸借契約を引き継ぎ、家賃収入を受け取る立場になります。
このような購入目的は、自己居住用住宅の取得とは異なります。
「将来的には自分で住むかもしれない」という考えがあっても、購入時点で賃貸中の物件を収益目的で取得するのであれば、住宅ローンではなく、投資用・事業用の融資として検討する必要があります。
投資目的を隠して住宅ローンを申し込むことは詐欺にあたる可能性がある
特に注意したいのは、投資目的であることを隠して、自己居住用として住宅ローンを申し込む行為です。
たとえば、実際にはオーナーチェンジマンションとして家賃収入を得る目的なのに、金融機関には「自分で住む」と説明して住宅ローンを申し込むようなケースです。
これは、単なる「ローン審査上の工夫」ではありません。
金融機関に対して利用目的を偽って融資を受ける行為であり、ローン契約違反となるだけでなく、詐欺罪として責任を問われる可能性があります。
「住民票だけ移せば大丈夫」
「あとで住む予定と言えばよい」
「みんなやっている」
「金融機関には自己居住用と説明すれば問題ない」
このような説明を受けた場合は、絶対にそのまま進めてはいけません。
不動産会社や紹介者に勧められたとしても、虚偽の内容で融資を申し込む責任は、最終的に買主自身にも及ぶ可能性があります。
「事業者に任せていたから知らなかった」という説明だけで責任を免れられるとは限りません。
収益物件を購入するなら、収益物件として金融機関へ正確に説明したうえで、融資を検討する必要があります。
金融機関から一括返済を求められる可能性がある
投資目的を隠して住宅ローンを利用した場合、金融機関や住宅金融支援機構などから、ローン契約違反として残債務の一括返済を求められる可能性があります。
住宅ローンは、長期・低金利で利用できる反面、利用目的が定められています。
その前提を偽って融資を受けた場合、通常どおり返済を続けていればよい、という話では済みません。
残っている借入金を一括で返済するよう求められれば、資金繰りは一気に厳しくなります。
売却してもローンを完済できない場合、手元資金で不足分を補う必要が出ることもあります。
さらに、不適正利用として扱われれば、警察への通報、関係事業者への通報、損害賠償請求などにつながる可能性もあります。
収益物件を住宅ローンで買うような提案は、買主にとって非常に大きなリスクがあります。
収益物件は投資用ローン・事業用ローンで検討する
オーナーチェンジマンション、賃貸中戸建、一棟アパートなどを購入する場合は、不動産投資ローン、アパートローン、事業用ローン、不動産担保ローンなどで検討することになります。
これらの融資では、住宅ローンとは審査の見方が異なります。
買主の年収や自己資金。
既存借入。
物件の収益性。
賃貸借契約の内容。
築年数や担保評価。
家賃収入の安定性。
管理状況。
空室や修繕が発生した場合の返済余力。
このような点を踏まえて審査されます。
住宅ローンより金利が高くなったり、自己資金を多く求められたりする場合もあります。
そのため、表面利回りだけで判断せず、融資条件を踏まえた実質的な収支を確認することが大切です。
住宅ローン利用を前提に勧誘される収益物件には注意
収益物件の販売で、住宅ローン利用を前提に話が進む場合は、特に注意が必要です。
本来、収益物件であれば、投資用ローンや事業用ローンとして正面から融資相談をするべきです。
それにもかかわらず、自己居住用の住宅ローンを使う前提で説明される場合、取引全体に大きな問題がある可能性があります。
「住宅ローンを使えば金利が低いから得」
「自己居住用として申し込めば通る」
「入居者が退去したら住めばよい」
「金融機関には余計なことを言わなくていい」
このような言葉だけで判断しないようにしましょう。
収益物件の購入では、登記や賃貸借契約だけでなく、融資の目的が正しいかどうかも重要です。
無理に住宅ローンを使おうとするのではなく、最初から収益物件として、金融機関へ正確に説明したうえで資金計画を立てることが大切です。
三為契約の収益物件で決済前に確認したいこと
三為契約の収益物件では、決済前の確認が特に大切です。
通常の売買より関係者が多く、さらに入居者や管理会社も関わるためです。
誰から誰へ所有権移転登記されるのか
まず確認したいのは、所有権移転登記の流れです。
現在の登記名義人はAさん。
売主として契約するのはB社。
最終的に購入するのはCさん。
この場合、決済日にAさんからCさんへ直接所有権移転登記されるのかを確認します。
そのために必要な書類、Aさんの本人確認、登記意思の確認、抵当権抹消の有無なども重要です。
司法書士が登記の流れを確認しているか
三為契約では、司法書士の確認が欠かせません。
司法書士は、登記名義人の本人確認、登記意思、登記原因証明情報、登記識別情報、印鑑証明書、抵当権抹消書類などを確認します。
買主としては、次のように確認するとよいでしょう。
今回の登記は、誰から誰へ移転する形ですか。
司法書士は、三為契約による直接移転登記として確認していますか。
決済当日に所有権移転登記の申請ができる準備は整っていますか。
抵当権の抹消がある場合、同時に手続きできますか。
不動産会社や仲介会社が、これらをわかりやすく説明できるかどうかも判断材料になります。
売買代金の流れと抵当権抹消の有無
三為契約では、売買代金の流れも確認が必要です。
買主Cさんが支払う代金のうち、Aさんへ支払われる部分、B社の利益となる部分、抵当権抹消に使われる部分などがある場合、決済当日の資金の流れが複雑になります。
特に、Aさんの住宅ローンや事業用借入が残っていて抵当権が付いている場合、決済と同時に抵当権を抹消できるかが重要です。
抵当権が抹消されなければ、買主は安心して所有権を取得できません。
決済前に、金融機関、司法書士、仲介会社が連携しているかを確認しておきましょう。
賃料・管理費・修繕積立金の精算
オーナーチェンジマンションでは、決済日を境に家賃や管理費、修繕積立金を精算することがあります。
家賃は前払いなのか、後払いなのか。
決済月の家賃は誰が受け取るのか。
管理費・修繕積立金はいつまで売主負担か。
固定資産税・都市計画税はどのように精算するのか。
敷金は買主に引き継がれるのか。
賃貸管理会社への管理手数料はどうなるのか。
収益物件では、こうした細かな精算が購入後の収支に影響します。
契約前または決済前に、精算書の内容を確認しておきましょう。
売主側から見た三為契約の注意点
この記事は主に買主向けですが、売主側にも注意点があります。
不動産会社から「第三者のためにする契約で買い取りたい」「最終買主へ直接登記したい」と説明を受けた場合、売主も取引の流れを理解しておく必要があります。
最終買主が誰になるのかを確認する
売主Aさんから見ると、契約の相手はB社であっても、最終的な登記名義人はCさんになることがあります。
この流れを理解していないと、決済当日に戸惑うことがあります。
自分は誰と契約するのか。
最終的に誰へ所有権を移すのか。
入居者への貸主変更通知は誰名義で行うのか。
売却後の問い合わせ窓口は誰になるのか。
売主側も、事前に確認しておくと安心です。
代金の受け取りと抵当権抹消の流れを確認する
売主にとって最も大切なのは、売買代金を確実に受け取れるかどうかです。
三為契約では、買主Cさんからの資金で、Aさんへの支払い、B社の利益、抵当権抹消費用などが処理される場合があります。
自分は誰から代金を受け取るのか。
着金確認後に登記書類を渡す流れになっているのか。
抵当権抹消が必要な場合、金融機関との調整はできているのか。
司法書士は取引全体を確認しているのか。
売主側も、契約前に確認しておきたいところです。
賃貸中物件では入居者への通知や管理の引継ぎも必要
収益物件を売却する場合、入居者や管理会社への引継ぎも必要です。
貸主変更通知。
賃料振込先の変更。
敷金・保証金の引継ぎ。
管理会社との契約終了または引継ぎ。
保証会社への届出。
火災保険や設備保証の確認。
売買契約が成立して終わりではなく、入居者との関係もきちんと引き継ぐ必要があります。
ここが曖昧だと、売却後に家賃の入金や入居者対応で混乱することがあります。
市原市・千葉市で収益物件を検討するときの実務ポイント
市原市・千葉市で収益物件を検討する場合、三為契約かどうかだけでなく、物件そのものの収益性と管理状況も確認する必要があります。
表面利回りだけで判断しない
収益物件では、表面利回りが高く見える物件があります。
しかし、表面利回りは、年間家賃収入を物件価格で割った単純な数字です。
実際には、管理費、修繕積立金、固定資産税、賃貸管理手数料、火災保険料、原状回復費、空室リスク、滞納リスクなどがあります。
オーナーチェンジマンションでは、現在の入居者が退去した後、同じ賃料で再募集できるとは限りません。
三為契約の仕組みだけでなく、収支の中身も確認しましょう。
賃貸需要・築年数・管理状況を確認する
市原市・千葉市では、エリアによって賃貸需要の性格が異なります。
駅距離、通勤利便性、駐車場の有無、築年数、間取り、管理状況によって、収益性は大きく変わります。
区分マンションであれば、管理組合の状態、修繕積立金の額、大規模修繕の履歴、滞納の有無も確認したいところです。
一棟アパートであれば、外壁・屋根・共用部・給排水管・入居率・滞納状況が重要になります。
賃貸中だから安心、利回りが高いから安心、という判断は少し危険です。
買った後に自分が貸主になるという意識で、管理状況を確認しましょう。
住宅ローンではなく、投資用融資を前提に収支を確認する
収益物件は、住宅ローン前提で考えるものではありません。
特にオーナーチェンジ物件は、買主が自己居住する物件ではありません。
不動産投資ローンや事業用ローンで検討する場合、住宅ローンより金利が高くなったり、自己資金を多く求められたりすることがあります。
そのため、物件価格から考えるのではなく、融資条件から逆算することが大切です。
いくら借りられるのか。
金利はどのくらいか。
返済期間は何年か。
毎月返済額はいくらか。
家賃収入から経費と返済を差し引いて手元に残るのか。
退去や修繕が発生しても耐えられるのか。
ここまで確認してから購入判断をしたほうが、無理のない不動産投資につながります。
三為契約だから危ない、とは限らない。ただし説明不足なら立ち止まる
三為契約による直接移転登記は、不動産実務で使われることがある取引形態です。
そのため、三為契約というだけで危ない取引と決めつける必要はありません。
一方で、収益物件の三為契約は、一般の買主にとってわかりにくい部分が多いです。
登記名義人と売主が違う。
賃貸借契約を引き継ぐ。
敷金や家賃の精算がある。
管理会社や保証会社との関係がある。
住宅ローンは利用できず、投資用ローンや事業用ローンでの検討が必要になる。
こうした要素が重なるため、説明不足のまま契約するのは避けたいところです。
次のような場合は、一度立ち止まって確認しましょう。
登記名義人と売主の関係を説明してもらえない。
誰から誰へ所有権移転登記されるのかがはっきりしない。
賃貸借契約や敷金の承継が曖昧。
収益物件なのに、住宅ローン利用を前提に話が進んでいる。
司法書士の確認状況がわからない。
利回りだけを強調され、管理状況や滞納状況の説明がない。
不動産投資は、購入して終わりではありません。
買った後に貸主として物件を持ち続けることになります。
だからこそ、契約前の確認が大切です。
まとめ|収益物件では「登記・賃貸借・融資」をセットで確認しよう
中間省略登記・三為契約という言葉は、一般の買主にとってわかりにくいものです。
特にオーナーチェンジマンションや一棟アパートなどの収益物件では、登記だけでなく、賃貸借契約、敷金、家賃精算、管理会社、融資まで関わってきます。
旧来型の中間省略登記は、実際にはAからB、BからCへ所有権が移っているのに、Bへの登記を省く形です。
一方、三為契約では、契約内容としてBが所有権を取得せず、AからCへ直接所有権が移転するように構成することがあります。
三為契約だから危ない、とは限りません。
ただし、説明があいまいなまま契約する必要もありません。
収益物件を検討するときは、次の点を確認しましょう。
現在の登記名義人は誰か。
売主は誰か。
誰から自分へ所有権が移転するのか。
賃貸借契約はどう引き継ぐのか。
敷金や日割賃料はどう精算するのか。
契約不適合責任は誰が負うのか。
司法書士が登記の流れを確認しているのか。
収益物件として、投資用ローン・事業用ローンで正しく検討しているか。
収益物件を自己居住用の住宅ローンで購入することはできません。
投資目的を隠して住宅ローンを申し込む行為は、ローン契約違反にとどまらず、詐欺罪として責任を問われる可能性があります。
また、不適正利用が判明した場合、金融機関や住宅金融支援機構などから残債務の一括返済を求められる可能性があります。
収益物件では、表面利回りや販売価格だけで判断しないことが大切です。
登記、賃貸借、融資、管理状況をセットで確認し、無理のない判断をしていきましょう。
7. 参考情報
確認日:2026年6月17日
- e-Gov法令検索「民法」
- e-Gov法令検索「不動産登記法」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
- e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」
- 公益財団法人 不動産流通推進センター「『第三者のためにする契約』方式を利用した『無名契約』による所有権移転と瑕疵担保責任の有無」
- 一般財団法人 不動産適正取引推進機構 RETIO「『他人物売買の禁止』に係る施行規則の一部改正といわゆる『中間省略登記』」
- 住宅金融支援機構「【フラット35】の不適正利用に巻き込まれないために」
- 住宅金融支援機構「【フラット35】を不適正に利用し、投資用物件を取得させようとする悪質な勧誘にご注意ください。」
- 金融庁「投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果について」
辰巳地所のご紹介

辰巳地所では、市原市・千葉市を中心に、千葉県内および一都三県の不動産購入・売却をサポートしています。
オーナーチェンジマンション、賃貸中戸建、一棟アパートなどの収益物件を検討する際には、物件価格や利回りだけでなく、登記名義人、売主、賃貸借契約、敷金、管理状況、融資条件まで確認することが大切です。
登記簿上の所有者と売主が違う物件でも、取引の仕組みが整理されていれば検討できる場合があります。一方で、説明があいまいなまま契約を進めるのは避けたいところです。
また、収益物件を自己居住用の住宅ローンで購入することはできません。投資目的を隠して住宅ローンを申し込む行為は、ローン契約違反や一括返済請求だけでなく、詐欺罪として責任を問われる可能性があります。
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購入については、新築戸建・リノベーションマンション・リフォーム済戸建を中心に、売主様から当社へ仲介手数料が支払われる物件であれば、買主様の仲介手数料は無料です。
SUUMO・アットホーム・HOME’Sなどで見つけた物件についても、当社で取り扱い可能な場合があります。物件URLをお送りいただければ、仲介手数料無料の対象になるか、諸費用の目安も含めて確認します。
住宅ローンについても、住宅ローンアドバイザー・FPの視点から、無理のない資金計画を一緒に整理します。ただし、オーナーチェンジ物件などの収益物件は、自己居住用の住宅ローンではなく、不動産投資ローン・事業用ローン等での検討が必要です。
売却については、仲介手数料を相場の半額を基本にご相談いただけます。ただし、物件価格や取引条件によって個別確認が必要です。
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