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警察庁は2026年7月31日、令和8年上半期(1月~6月)における特殊詐欺の認知・検挙状況を公表しました。

半年間の特殊詐欺の被害額は1,816.2億円に達し、前年同期と比べて51.7%増加。1日当たりに換算すると、約10億円もの被害が発生している計算です。

特に被害が目立つのは、SNSを通じて投資を勧める「SNS型投資詐欺」と、警察官を装って金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」です。さらに、SNSやマッチングアプリで知り合った相手との信頼関係を悪用する「SNS型ロマンス詐欺」も深刻な被害を生んでいます。

こうした詐欺は、知らない番号からの電話だけで始まるものではありません。普段利用しているSNSの広告や、何気なく交わしたメッセージが被害の入口になることもあります。

この記事では、警察庁の公表資料を基に、2026年上半期の特殊詐欺被害の状況と主な手口を解説します。あわせて、不審な連絡を受けたときの確認方法や、被害に遭った場合の相談先も紹介します。

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2026年上半期の特殊詐欺被害は1,816.2億円

警察庁が公表した2026年上半期の特殊詐欺認知件数は22,031件、被害総額は1,816.2億円でした。

前年同期と比較すると、認知件数は3,408件増加し、増加率は18.3%。被害額は618.8億円増え、51.7%もの増加となっています。

被害額の伸びが認知件数の増加率を大きく上回っている点が、今回の統計で注目したいところです。

警察庁によると、詐欺が成立した事件1件当たりの被害額は平均840万円。特にSNS型投資詐欺やニセ警察詐欺では高額の被害が発生しており、全体の被害額を押し上げる要因となっています。

主な手口別の被害額は、次のとおりです。

手口被害額前年同期との差
SNS型投資詐欺797.9億円+444.9億円
ニセ警察詐欺507.9億円+108.9億円
SNS型ロマンス詐欺246.6億円+6.3億円
架空料金請求詐欺74.6億円+6.1億円
オレオレ詐欺68.9億円+5.5億円
その他120.3億円+47.0億円
合計1,816.2億円+618.8億円

SNS型投資詐欺、ニセ警察詐欺、SNS型ロマンス詐欺の3つを合わせた被害額は1,552.4億円。特殊詐欺全体の約85.5%を占めています。

なお、警察庁は2026年から特殊詐欺の手口分類を変更し、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺を特殊詐欺に含めるとともに、ニセ警察詐欺を独立した手口として位置付けました。

今回紹介する前年同期比は、警察庁が公表した比較値です。過去の統計を参照する際は、集計対象の違いに注意する必要があります。

また、2026年10月2日に公表された8月末時点の暫定値では、特殊詐欺の認知件数は29,687件、被害総額は2,360.7億円となっています。今回の記事で詳しく取り上げる1,816.2億円は、あくまで2026年上半期の被害額です。

図:「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」(画像出典:警察庁特殊詐欺対策ページ)

SNS型投資詐欺の被害額は797.9億円に

2026年上半期に最も被害額が大きかったのは、SNS型投資詐欺です。

認知件数は5,893件で、前年同期より3,020件増加。被害額は797.9億円に達し、前年同期の約2.3倍となりました。

詐欺が成立した事件1件当たりの被害額も平均1,362.5万円と高額です。

SNS型投資詐欺の特徴は、最初から不審な投資話を持ちかけるのではなく、著名人の名前や投資に関する情報を利用して信用させる点にあります。

例えば、SNSで投資に関する広告を見かけ、興味を持ってアクセスすると、投資家やそのアシスタントを名乗る人物から連絡が届きます。

その後、LINEなどのグループに招待され、投資情報や成功体験を共有するやり取りが始まります。グループ内では、ほかの参加者が利益を得ているように見せかけ、投資への期待を高めるのです。

さらに、専用の投資サイトやアプリで利益が増えているように表示し、追加の入金を求める手口も確認されています。

ところが、実際に出金しようとすると、手数料や税金、保証金などの名目で新たな支払いを要求され、最終的に相手と連絡が取れなくなってしまいます。

警察庁の統計では、SNS型投資詐欺の最初の接触手段として、バナー広告などが2,330件と最も多く、全体の約4割を占めました。

また、被害時の連絡手段ではLINEが5,658件と、認知件数の96.0%を占めています。

ここで注意したいのは、普段から利用しているSNSの広告や、知名度の高い人物の写真を使った投稿であっても、それだけで投資先の信頼性を判断できないことです。

投資に関心を持ち、情報を集めること自体は自然な行動です。新NISAなどをきっかけに、資産運用について調べ始めた方もいると思います。

ただし、広告から別のSNSへ誘導され、会ったことのない相手の指示で指定口座に振り込むよう求められた場合には、慎重な確認が必要です。

投資先の会社が実在するか、金融庁に登録された事業者かを調べ、相手が案内するサイトや連絡先だけを頼りにしないことが被害防止につながります。

ニセ警察詐欺の被害額は507.9億円

SNS型投資詐欺に次いで被害額が大きかったのが、ニセ警察詐欺です。

2026年上半期の認知件数は4,466件で、前年同期より296件減少しました。一方、被害額は108.9億円増加し、507.9億円となっています。

認知件数が減っているにもかかわらず、被害額は約27.3%増加しているのです。

詐欺が成立した事件1件当たりの被害額は平均1,163.9万円に上ります。

ニセ警察詐欺では、犯人が警察官を名乗り、「あなた名義の口座が犯罪に使われている」「事件の捜査対象になっている」などと告げ、相手を不安にさせます。

その後、SNSやビデオ通話へ誘導し、偽物の警察手帳や逮捕状を見せることもあります。

突然、警察から犯罪への関与を疑われたと伝えられれば、誰でも動揺するものです。身に覚えがなければ、早く疑いを晴らしたいと考えるかもしれません。

犯人は、そうした心理を利用します。

「資金を調査する必要がある」「口座のお金を確認する」などと説明し、指定口座への送金を求めるのが典型的な手口です。

警察庁によると、ニセ警察詐欺の最初の接触手段は電話が9割以上を占めています。

さらに、実在する警察署などの電話番号を、着信画面に偽装表示させる手口も確認されています。

見覚えのある警察署の番号が表示されたとしても、それだけで相手が本物の警察官だと判断するのは危険です。

警察庁は、警察官がメッセージアプリで連絡したり、警察手帳や逮捕状の画像を送ったりすることはないと注意を呼びかけています。

また、捜査を理由にメールや電話で金銭を要求することもありません。

不審な電話を受けたら、いったん通話を終了し、自分で調べた警察署の代表番号や警察相談専用電話「#9110」で確認してください。

相手から教えられた番号に折り返すことは避けましょう。

なお、近年は振込だけでなく、金地金を購入させて犯人側へ渡させる手口も確認されています。預貯金だけでなく、さまざまな形で財産を狙う詐欺として注意が必要です。

SNS型ロマンス詐欺も246.6億円の被害

SNS型ロマンス詐欺の被害額も深刻です。

2026年上半期の認知件数は2,509件、被害額は246.6億円。前年同期と比べて認知件数は5件、被害額は6.3億円増加しました。

SNS型ロマンス詐欺では、SNSやマッチングアプリを通じて知り合った相手と、メッセージなどで交流を重ねるうちに、恋愛感情や親近感を抱くようになります。

その関係を利用し、投資や結婚費用、仕事上の資金などを理由に金銭を要求するのが主な手口です。

警察庁が紹介している事例には、将来一緒に暮らすための資金を増やそうと投資を勧められ、多額の金銭をだまし取られたケースがあります。

最初は日常的な会話が中心でも、親しくなってから投資や送金の話が始まることがあるため、早い段階で不審な点に気付くのは簡単ではありません。

警察庁の統計では、SNS型ロマンス詐欺の最初の接触手段はダイレクトメッセージが約9割を占めています。

また、最初に接触したツールとしては、マッチングアプリが認知件数・被害額ともに最多でした。

被害は40代から60代に多く、70代の被害も増加傾向にあります。

こうした詐欺で気を付けたいのは、相手の写真やプロフィール、丁寧なメッセージだけでは、本人確認が十分にできないという点です。

警察庁も、SNSに公開された写真や生成AIなどを悪用したなりすましに注意を呼びかけています。

実際に会ったことのない相手から、投資資金や渡航費、手数料などの送金を求められた場合は、一度やり取りを止め、第三者へ相談することをおすすめします。

相手との関係を大切に感じているときほど、お金の話を切り離して考えることが、自分自身の財産を守る助けになります。

特殊詐欺の被害は幅広い年代に広がっている

特殊詐欺と聞くと、高齢者を狙った電話による犯罪を思い浮かべる方も多いかもしれません。

実際、2026年上半期の特殊詐欺全体では、60代が認知件数・被害額ともに最多でした。

被害額で見ると、50代以上が全体の約8割を占めています。

しかし、手口によって被害者の年代には違いがあります。

SNS型投資詐欺では、認知件数が最も多いのは50代で、次いで60代となっています。20代から50代までの被害も多く、この年代が認知件数の約6割、被害額の約4割を占めました。

一方、ニセ警察詐欺では70代が認知件数・被害額ともに最多です。

SNS型ロマンス詐欺は40代から60代の被害が中心となっており、普段からスマートフォンやSNSを利用している世代にも注意が求められます。

また、被害のきっかけも年代や手口によって異なります。

知らない番号からの電話で始まるケースもあれば、投資広告、SNSの投稿、マッチングアプリでの交流など、日常生活の中で接点が生まれるケースもあります。

詐欺を防ぐためには、特定の年代だけが注意するのではなく、それぞれが利用しているサービスや連絡手段に応じた対策を考えることが大切です。

家族で詐欺について話す際にも、「知らない電話に出ないように」という注意だけでなく、SNSの投資広告や突然届くメッセージにも話題を広げておくとよいでしょう。

詐欺被害を防ぐために確認しておきたいこと

特殊詐欺の手口は多様化していますが、警察庁が公表している事例には、いくつか共通する特徴があります。

その一つが、相手を信用させた後に、金銭の支払いや送金を求める流れです。

SNS型投資詐欺では、著名人の名前や投資実績を利用して信用させます。ニセ警察詐欺では、警察官という立場を装って不安を与え、SNS型ロマンス詐欺では、親密な関係を築いてから金銭の話を持ちかけます。

いずれも、相手とのやり取りを重ねることで判断が難しくなる点に注意したいところです。

SNSの投資広告を見たとき

広告に著名人の写真や名前が掲載されていても、本人が関与しているとは判断できません。

投資先の事業者名や登録状況を確認するとともに、広告から案内された投資サイトやアプリについても、信頼できる情報源で調べてください。

特に、個人名義の口座への振込を指示されたり、出金のために追加の手数料を要求されたりした場合は、送金を止めて相談しましょう。

警察官を名乗る電話があったとき

相手が警察署名や担当者名を名乗っても、その場で金銭の振込や個人情報の提供に応じる必要はありません。

いったん電話を切り、警察署の公式な連絡先へ自分から確認する方法が有効です。

ビデオ通話で警察手帳や逮捕状を示された場合も、相手の指示に従わず、警察へ相談してください。

SNSで知り合った相手からお金の話が出たとき

長期間やり取りをしている相手でも、金銭を送る前には慎重に確認したいものです。

投資のための資金、渡航費、結婚に必要な費用など、名目を問わず、直接会ったことのない相手から送金を求められた場合は注意が必要です。

相手との関係に迷いがある場合も、送金を急ぐ必要はありません。

また、すでに一度お金を振り込んでしまった場合、「ここでやめたら、それまでのお金が無駄になる」と感じるかもしれません。

しかし、追加の支払いによって被害が拡大するケースも確認されています。出金や返金のために新たな手数料を求められても、支払う前に警察へ相談してください。

不審な連絡を受けたとき・送金してしまったときの相談先

特殊詐欺の疑いがあると感じたときは、被害が確定していなくても相談できます。

例えば、「投資の話を持ちかけられているが、本当に信用してよいのか分からない」「警察官を名乗る人物から電話があった」「SNSで知り合った相手に送金を求められている」といった段階でも、相談をためらう必要はありません。

警察庁は、不審な連絡を受けた場合の相談先として、警察相談専用電話「#9110」を案内しています。

また、消費生活に関する契約や金銭トラブルについては、消費者ホットライン「188」から、最寄りの消費生活センターなどに相談できます。

  • 警察相談専用電話「#9110」:詐欺の疑いがある連絡や不審な勧誘など、緊急性のない警察への相談
  • 消費者ホットライン「188」:消費者トラブルに関する相談
  • 警察への緊急通報「110」:犯罪が進行している場合など、緊急の対応が必要なとき

すでに銀行口座へ振り込んでしまった場合は、できるだけ早く警察と振込先の金融機関へ連絡してください。

振込先の口座情報、送金日時、金額、相手の連絡先などを控えておくと、相談時の説明に役立ちます。

SNSのメッセージや投資サイトの画面、振込履歴なども、削除せずに保存しておきましょう。

相手と連絡が取れなくなった場合でも、手元に残っている情報が被害状況の確認に役立つ可能性があります。

なお、振込先口座の状況や送金方法によって、その後の対応は異なります。被害金の回復を保証できるものではありませんが、早い段階で関係機関へ連絡することが大切です。

まとめ|数字の大きさだけでなく詐欺の入口を知る

2026年上半期の特殊詐欺被害額は1,816.2億円に達し、前年同期から大幅に増加しました。

特にSNS型投資詐欺、ニセ警察詐欺、SNS型ロマンス詐欺による被害が大きく、従来の電話による詐欺に加えて、SNSやマッチングアプリを通じた犯罪への注意が必要になっています。

今回の統計から見えてくるのは、詐欺の入口が私たちの日常生活のさまざまな場面に広がっているということです。

投資に関する広告を見たり、SNSで新しい知り合いができたり、警察官を名乗る人物から連絡を受けたりすることは、誰にでも起こり得ます。

そのような場面で金銭の支払いを求められたとき、相手の説明をそのまま受け入れず、別の方法で事実を確認することが被害を防ぐ一歩となります。

また、少しでも不審に感じた場合は、一人で判断を続けず、警察や消費生活センターへ相談してください。

自分自身だけでなく、家族や身近な人とも最近の手口を共有しておくことで、不審な勧誘に気付くきっかけが増えるはずです。

参考情報

確認日:2026年10月16日

警察庁「令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/newtopics/260731/01.html

警察庁「【資料1】令和8年上半期における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」
https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/assets/img/newtopics/detail/260731/01/01.pdf

警察庁「SNS型投資詐欺」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/investment/

警察庁「ニセ警察詐欺に注意!」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/241218/02.html

警察庁「SNS型ロマンス詐欺」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/case/sns-romance/romance/

警察庁「令和8年8月末における特殊詐欺の認知・検挙状況等について(暫定値)」https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/261002/01.html

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