住宅ローン新規貸出額が3年連続増加|フラット35(買取型)は26.8%増、固定金利をどう考える?
住宅ローンを選ぶとき、「変動金利はこれから上がるのだろうか」「固定金利にしておいたほうが安心なのだろうか」と迷う方は少なくありません。
住宅金融支援機構が2026年8月21日に公表した調査では、2025年度の個人向け住宅ローン新規貸出額は22兆8,520億円となり、前年度から4.2%増加しました。なかでも目を引くのが、全期間固定金利の「フラット35(買取型)」です。新規貸出額は9,973億円となり、前年度から26.8%増えました。
数字だけを見ると、「住宅ローンは変動金利から固定金利へ大きく動いているのでは」と感じるかもしれません。
ただ、ほかの調査と合わせて見ると、状況はもう少し複雑です。実際に住宅ローンを利用した人では変動金利が依然として中心である一方、これから借りる人の希望は変動・固定に分かれています。
今回は「フラット35が26.8%増えた」というニュースを入り口に、住宅ローンをこれから選ぶ方がどう受け止めればよいのかを見ていきます。
2025年度の住宅ローン新規貸出額は22兆8,520億円
住宅金融支援機構の調査によると、2025年度の個人向け住宅ローン新規貸出額は22兆8,520億円。前年度比4.2%増となり、3年連続で増加しました。
主な業態別の新規貸出額を見ると、次のようになっています。
| 区分 | 2025年度新規貸出額 | 前年度比 |
|---|---|---|
| 個人向け住宅ローン全体 | 22兆8,520億円 | +4.2% |
| 国内銀行 | 18兆1,724億円 | +3.9% |
| 信用金庫 | 1兆6,457億円 | +9.5% |
| 労働金庫 | 1兆5,351億円 | ▲1.4% |
| フラット35(買取型) | 9,973億円 | +26.8% |
国内銀行の貸出額が18兆円を超えており、住宅ローン市場全体では依然として大きな割合を占めています。そのなかで、フラット35(買取型)の伸び率が26.8%と際立った形です。
また、2025年度末の個人向け住宅ローン貸出残高は233兆5,302億円となり、前年度末から2.8%増加しました。住宅ローン市場全体の規模も引き続き拡大しています。
フラット35(買取型)は前年度比26.8%増
フラット35は、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利住宅ローンです。
資金を受け取る時点で返済終了までの借入金利が確定するため、その後、市場の金利が動いても借入金利そのものは変わりません。将来の住宅ローン返済額を見通しやすいことが、全期間固定金利ならではの特徴です。
2025年度のフラット35(買取型)の新規貸出額は9,973億円。前年度比26.8%増という大きな伸びになりました。
ただし、ここで注意したいのは、今回の貸出額調査では「なぜフラット35が増えたのか」まで分析しているわけではないことです。
金利上昇への不安から固定金利を検討する方がいることは考えられますが、「金利が上がったからフラット35が26.8%増えた」と直接結び付けることはできません。
一方で、住宅ローンを取り巻く金利環境が以前とは変わってきていることも確かです。日本銀行は2026年7月31日の金融政策決定会合で、無担保コールレート(オーバーナイト物)を1.0%程度で推移するよう促す方針を決定しました。
もちろん、日本銀行の金融政策が変われば、すべての住宅ローン金利が同じ幅・同じタイミングで動くわけではありません。それでも、住宅購入を考える際に「今の金利だけでなく、返済期間中に金利が変わった場合まで考えておきたい」と感じる場面は増えています。
フラット35が増えても、実際の利用はまだ変動金利が中心
フラット35の貸出額が大きく伸びた一方、実際に住宅ローンを利用した人の多くは、現在も変動金利を選んでいます。
住宅金融支援機構が2026年1月に実施した調査では、2025年4月から9月までに住宅ローンを利用して住宅を取得した1,237人の金利タイプは、次のとおりでした。
変動型は75.0%、固定期間選択型は14.9%、全期間固定型は10.1%です。
つまり、4人に3人ほどが変動型を利用していたことになります。
ただし、ここにも変化があります。
変動型は2025年4月調査から4.0ポイント減少しています。その一方で、固定期間選択型は2.7ポイント、全期間固定型は1.3ポイント増えました。
そのため、「住宅ローンは固定金利へ一気に移った」とまではいえませんが、変動型一辺倒だった状況から少しずつ変化が見え始めている、と受け止めることはできそうです。
これから借りる人の希望は変動・固定に分かれている
さらに興味深いのが、これから住宅ローンを借りようとしている人の回答です。
住宅金融支援機構が、今後5年以内に住宅ローンを利用して住宅を取得する計画がある1,500人を対象に行った2026年1月調査では、希望する金利タイプは次のように分かれました。
変動型37.0%、固定期間選択型32.1%、全期間固定型30.9%。
実際の利用者では変動型が75.0%を占めていたのに対し、利用予定者では三つの金利タイプがかなり近い割合になっています。
さらに、今後1年間の住宅ローン金利について「現状よりも上昇する」と回答した人は62.0%でした。
将来の金利を正確に予測できるという意味ではありません。ただ、これから住宅ローンを組む方のなかで、金利上昇を意識しながら商品を選ぼうとしている人が多いことは読み取れます。
同じ調査では、希望する金利タイプのメリット・デメリットについて、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」と答えた人の合計が61.3%でした。
固定か変動かで迷うのは、決して珍しいことではありません。住宅ローンは返済期間が長く、金利だけでなく家族構成や収入、これからの支出まで関係するため、単純な比較では答えを出しにくい商品だからです。
「固定か変動か」は金利の高低だけでは決めにくい
変動金利と全期間固定金利には、それぞれ異なる特徴があります。
変動金利は、借入時点の金利を比較すると全期間固定型より低く設定されている場合があります。そのため、当初の返済負担を抑えやすいことに魅力を感じる方もいるでしょう。
その一方で、将来の適用金利が変わる可能性があります。住宅ローンを長期間返済していくなかで金利が上昇すれば、返済負担が増えることも考えておかなければなりません。
全期間固定金利は、借入時に返済終了までの金利が決まります。将来の金利上昇によって借入金利が変わらないため、住宅ローンにかかる支出を見通しやすくなります。
一方、借入時点の金利だけを見れば変動型より高くなることもあり、「固定なら必ず得」「変動なら必ず不利」という話ではありません。
たとえば、これから教育費が増える家庭では、毎月の住宅ローン返済額をできるだけ予測しやすくしておきたいと考えるかもしれません。
反対に、借入額を抑えていて家計に十分な余裕があり、金利がある程度上昇しても返済を続けられるのであれば、変動金利を選択肢として検討する考え方もあります。
大切なのは、「どちらの金利が将来安くなるか」を当てることよりも、金利が想定とは違う方向へ動いた場合に、家計がどの程度まで耐えられるかを見ることです。
フラット35は金利だけでなく物件の条件も確認したい
フラット35を検討するときは、金利や返済額だけではなく、購入する住宅についても確認が必要です。
フラット35では、住宅金融支援機構が対象住宅について技術基準を定めています。新築住宅だけでなく中古住宅にも利用できますが、購入予定の物件が利用条件を満たすかどうかを確認しなければなりません。
中古住宅を検討している方にとっても、フラット35は無関係ではありません。
2025年度のフラット35利用者調査では、中古戸建と中古マンションを合わせた中古住宅の利用割合は35.9%となりました。注文住宅が32.7%、分譲住宅が31.4%で、中古住宅の割合が最も高くなったのは2004年度の調査開始以来初めてです。
新築だから使える、中古だから使えないという単純な区分ではなく、実際に検討している物件ごとに確認することが大切です。
「この物件でフラット35を利用できるのか」「民間金融機関の住宅ローンとどちらが自分に合っているのか」と迷った場合には、物件の条件と資金計画を一緒に見ていく必要があります。
住宅ローンは「借りられる額」より返し続けられる額から考える
フラット35(買取型)の新規貸出額が前年度比26.8%増えたことは、住宅ローン市場を見るうえで注目したい動きです。
ただ、実際の住宅ローン利用者では変動金利が75.0%を占めています。一方、これから借りる予定の人の希望は、変動型37.0%、固定期間選択型32.1%、全期間固定型30.9%と分かれています。
これらの数字からも、「今は固定金利を選ぶ時代」「まだ変動金利を選んでおけばよい」と一つの答えにまとめることは難しいでしょう。
住宅ローンを考えるときは、購入できる上限額だけを見るのではなく、その返済を20年、30年と続けたときの生活をイメージすることが大切です。
住宅を購入したあとにも、固定資産税や修繕費、教育費、車の買い替え、老後に向けた貯蓄など、さまざまな支出があります。
今の毎月返済額なら払えるというだけでなく、変動金利を選ぶのであれば金利が上昇した場合、固定金利を選ぶのであれば当初から少し高めの返済額になった場合、それぞれ家計にどの程度の余裕が残るのかを考えてみると、住宅ローンを選びやすくなります。
金利の先行きを正確に当てることはできません。だからこそ、予想どおりにならなかった場合にも無理なく暮らしを続けられる資金計画を考えることが、住宅購入では大切ではないでしょうか。
参考情報
確認日:2026年8月25日
住宅金融支援機構「業態別の住宅ローン新規貸出額及び貸出残高の推移」
URL:https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/zandaka.html
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果<住宅ローン利用者調査(2026年1月調査)>」
URL:https://www.jhf.go.jp/files/topics/4955_ext_99_0.pdf
住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果<住宅ローン利用予定者調査(2026年1月調査)>」
URL:https://www.jhf.go.jp/files/topics/4955_ext_99_1.pdf
住宅金融支援機構「フラット35」
URL:https://www.flat35.com/loan/lineup/flat35/
住宅金融支援機構「2025年度フラット35利用者調査」
URL:https://www.jhf.go.jp/about/research/loan/flat35/index.html
日本銀行「当面の金融政策運営について(2026年7月31日)」
URL:https://www.boj.or.jp/mopo/mpmdeci/mpr_2026/k260731a.pdf
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