借地権付き物件は買って大丈夫?所有権との違い・住宅ローン・確認ポイントを解説
借地権付き物件は、なぜ所有権より安く見えるのか
不動産サイトで物件を探していると、周辺の物件より価格が抑えられている戸建やマンションを見かけることがあります。
築年数や広さ、駅距離に大きな差がないのに価格が安い。
そのような物件では、土地権利の欄に「借地権」と書かれていることがあります。
借地権付き物件とは、土地を所有せず、土地を借りる権利をもとに建物を所有する物件です。
所有権の物件では、土地と建物の両方を取得します。
一方、借地権付き物件では、建物は買主の所有物になりますが、土地は地主さんの所有です。買主は、土地を利用する権利を引き継ぎ、その土地の上にある建物を所有します。
土地所有権を取得しないため、所有権の物件と比べて販売価格が抑えられるケースがあります。
ただし、物件価格だけで判断するのは危険です。
借地権付き物件では、地代、更新料、譲渡承諾料、建替承諾料、住宅ローンの利用可否、将来売却時の流通性まで確認する必要があります。
反対に、借地権付き物件だから必ず避けるべき、というわけでもありません。
権利内容や契約条件が整理されており、住宅ローンや将来売却の見通しも確認できる物件であれば、予算や立地を重視する方にとって選択肢になります。
大切なのは、所有権の物件と同じ感覚で見ないことです。
そもそも借地権とは何か
借地権は「建物を所有するために土地を使う権利」
借地借家法上の借地権とは、建物を所有する目的で設定された地上権または土地の賃借権をいいます。
少し言い換えると、他人の土地を借りて、その土地の上に自分の建物を所有するための権利です。
ここで大事なのは、「建物を所有する目的」という点です。
たとえば、月極駐車場として土地を借りる場合や、資材置場として土地を借りる場合は、住宅購入でいう借地権とは性質が異なります。
住宅購入で問題になる借地権は、建物を所有するための土地利用権です。
不動産広告では、土地権利の欄に次のような表示が出ます。
- 所有権
- 借地権
- 地上権
- 賃借権
- 旧法借地権
- 普通借地権
- 定期借地権
この欄は、物件価格や間取りと同じくらい大切です。
借地権と表示されている物件は、土地を所有する物件ではありません。
まずは、「建物は買うが、土地は借りる」という仕組みを理解しましょう。
所有権との違い
所有権の物件では、土地と建物を自分の財産として所有します。
建築基準法、都市計画法、条例、近隣関係などの制約は受けますが、土地所有者として利用できます。
一方、借地権付き物件では、土地そのものは地主さんの所有です。
買主が取得するのは、土地を借りて建物を所有する権利です。
そのため、所有権の物件とは次の点が異なります。
- 地代を支払う
- 借地契約の期間がある
- 契約更新の条件を確認する必要がある
- 売却時に地主さんの承諾が必要になることがある
- 建替えや増改築で地主さんの承諾が必要になることがある
- 更新料、譲渡承諾料、建替承諾料が発生することがある
- 住宅ローン審査で、借地契約や地主承諾を確認されやすい
土地の固定資産税・都市計画税は、土地所有者である地主さんに課税されます。
ただし、借地人は地代を支払います。建物を所有すれば、建物の固定資産税も買主側にかかります。
そのため、「土地の税金がかからないから得」と単純にはいえません。
地代、更新料、承諾料、住宅ローン、将来売却まで含めて判断する必要があります。
地上権と賃借権の違い
借地権には、大きく分けて「地上権」と「賃借権」があります。
どちらも他人の土地を利用する権利ですが、住宅ローンや売却の場面では扱いが大きく変わります。
地上権は、土地を直接利用できる物権
地上権は、他人の土地に建物などを所有するため、その土地を使用できる権利です。
法律上、地上権は物権です。
物権とは、物に対して直接支配できる権利をいいます。
地上権は、契約内容に別の定めがない限り、地主さんの承諾がなくても譲渡や転貸ができる権利とされています。
また、地上権そのものに抵当権を設定できるため、住宅ローンの担保としても比較的整理しやすい権利です。
マンションの敷地権として地上権が使われているケースもあります。
ただし、地上権であれば無条件に安心というわけではありません。
登記の有無、地代、残存期間、管理規約、担保設定、住宅ローンの取り扱いは、物件ごとに確認が必要です。
賃借権は、住宅ローンのハードルが高くなりやすい
賃借権は、地主さんとの土地賃貸借契約に基づいて土地を使う権利です。
借地権付き戸建でよく見かけるのは、この賃借権です。
賃借権では、売却、建替え、増改築、抵当権設定などの場面で、地主さんの承諾が必要になりやすくなります。
承諾の要否や条件は、法律、契約内容、取引内容によって変わります。
住宅ローンの面でも、賃借権は地上権より慎重に見られるのが実務の感覚です。
土地そのものに買主の所有権がなく、賃借権の譲渡や担保設定に地主さんの承諾が関係するため、金融機関としては担保評価や回収可能性を判断しにくくなります。
つまり、借地権付き物件の住宅ローンでは、地上権と賃借権を同じように考えない方がよいです。
特に一般的な賃借権の借地では、次の点が住宅ローン審査のハードルになります。
- 地主さんの承諾を取得できるか
- 抵当権設定や担保処分に支障がないか
- 借地契約の残存期間が十分か
- 地代や承諾料が過大でないか
- 借地契約書や更新覚書が整っているか
- 将来売却時にも買主が住宅ローンを使えるか
- 金融機関の借地権取扱基準に合うか
賃借権の物件では、次の項目を必ず確認しましょう。
- 土地賃貸借契約書の有無
- 借地期間
- 更新条件
- 地代
- 地代の改定条件
- 譲渡承諾料
- 建替承諾料
- 増改築の制限
- 住宅ローン利用時の地主承諾
- 借地権や建物の登記状況
賃借権の物件は、建物の状態だけを見ても判断できません。
土地を借りる契約内容と、金融機関が住宅ローンを扱えるかどうかをセットで確認する必要があります。
旧法借地権・普通借地権・定期借地権の違い
借地権付き物件で分かりにくいのが、旧法借地権、普通借地権、定期借地権の違いです。
広告上の言葉だけで判断せず、借地契約の開始時期、契約内容、更新条件を確認しましょう。
旧法借地権とは、平成4年8月1日より前に設定された借地権
旧法借地権とは、平成4年8月1日に現在の借地借家法が施行される前から存在する借地権を指します。
より正確には、借地借家法の施行前に設定された借地権で、経過措置により、存続期間や更新などについて旧借地法のルールが引き続き関係する借地権です。
不動産広告や重要事項説明では、このような借地権を「旧法借地権」と表示します。
旧法借地権は、借地人側の権利が比較的強いと説明されることがあります。
契約が更新されながら、長期間続いてきた借地も少なくありません。
ただし、旧法借地権だから安心、という判断はできません。
古い契約では、契約書が残っていない、更新覚書が整理されていない、地代の改定経緯が分かりにくい、といった問題が出やすくなります。
購入前に確認したいのは、次の内容です。
- 借地契約が始まった時期
- 現在有効な契約書の有無
- 更新覚書の有無
- 現在の借地期間
- 地代の金額
- 地代の支払状況
- 更新料の有無
- 譲渡承諾料の有無
- 建替えや増改築の扱い
- 建物登記の状況
- 地主さんとの連絡体制
旧法借地権は、権利として長く続いていることがあります。
一方で、書類や過去の合意内容が整理されていないと、売買や住宅ローンで確認に時間がかかります。
「旧法借地権」と表示されている物件では、契約開始時期と現在の契約内容を必ず確認しましょう。
普通借地権は、更新を前提にした現在の借地権
普通借地権は、現在の借地借家法に基づく借地権の一つです。
普通借地権では、契約期間が満了しても、借地人が更新を求める場合、地主さんが更新を拒絶するには正当事由が必要です。
そのため、定期借地権と比べると、長く住み続ける前提を立てやすい借地権といえます。
現在の借地借家法では、普通借地権の存続期間は30年以上とされています。
契約で期間を定めない場合は30年です。更新後の期間についても、法律上のルールが定められています。
ただし、普通借地権であっても、住宅ローンは簡単ではありません。
特に賃借権の場合、地主さんの承諾、契約書類の整備状況、担保設定の可否によって、金融機関の判断が大きく変わります。
確認すべき内容は次のとおりです。
- 借地期間
- 更新時期
- 更新料
- 地代
- 地代改定の条件
- 譲渡承諾料
- 建替承諾料
- 増改築の制限
- 住宅ローン利用時の地主承諾
- 将来売却時の手続き
普通借地権は、定期借地権と比べると更新を前提に考えやすい借地権です。
ただし、地代や承諾料の内容、住宅ローンの取り扱いによって、購入後の負担や売却のしやすさは変わります。
「更新できるか」だけでなく、「金融機関が扱える物件か」「将来の買主もローンを組めるか」まで確認することが大切です。
定期借地権は、期間満了で終了する借地権
定期借地権は、契約期間が満了すると更新されず、終了する借地権です。
代表的なものに、一般定期借地権があります。
一般定期借地権は、存続期間を50年以上として設定する借地権です。
一般定期借地権では、契約の更新がなく、期間満了後に土地を返還する仕組みになります。
契約内容によっては、建物を取り壊して更地で返還することが前提です。
定期借地権付きマンションや定期借地権付き戸建は、所有権の物件より販売価格が抑えられていることがあります。
ただし、残存期間が短くなるほど、住宅ローンや将来売却に影響します。
購入時点では残存期間が長くても、10年後、20年後に売却する時点では残存期間が短くなります。
次の買主が住宅ローンを組める期間も短くなるため、購入できる人が限られやすくなります。
定期借地権付き物件では、次の項目を確認しましょう。
- 借地権の残存期間
- 契約満了日
- 期間満了後の土地返還方法
- 建物解体費用の負担者
- 更地返還の有無
- 解体準備金や積立金
- 地代
- 売却時の承諾手続き
- 住宅ローンの借入期間
- 将来売却時の流通性
定期借地権は、出口がはっきりしている借地権です。
その分、購入時には「いつまで住むのか」「将来売却するのか」「相続で引き継ぐ可能性があるのか」を具体的に考える必要があります。
借地権付き物件のメリット
借地権付き物件には注意点がありますが、メリットもあります。
メリットを理解したうえで、費用や契約条件とあわせて判断しましょう。
購入価格を抑えやすい
借地権付き物件の大きな特徴は、所有権の物件より購入価格を抑えやすい点です。
土地所有権を取得しないため、同じエリアの所有権物件と比べて価格差が出ることがあります。
同じ予算でも、借地権付き物件なら次の条件を優先できることがあります。
- 駅に近い
- 建物が広い
- リフォーム内容が良い
- 築年数が比較的新しい
- 生活利便性の高いエリアを選べる
予算に限りがある中で、立地や建物状態を重視したい方にとって、借地権付き物件は検討候補になります。
ただし、購入価格だけで比較してはいけません。
地代、更新料、承諾料、管理費、修繕積立金、将来の解体費用などを含めた総額で比較しましょう。
土地の固定資産税・都市計画税を直接負担しない
借地権付き物件では、土地は地主さんの所有です。
そのため、土地の固定資産税・都市計画税は土地所有者に課税されます。
買主が所有するのは建物です。
建物の固定資産税は、建物所有者である買主側にかかります。
土地の税金を直接負担しない点は、所有権物件との違いです。
ただし、借地人は地代を支払います。土地の税負担が地代に反映されることもあります。
資金計画では、次の費用をまとめて確認しましょう。
- 住宅ローン返済額
- 地代
- 建物の固定資産税
- 管理費、マンションの場合
- 修繕積立金、マンションの場合
- 更新料
- 譲渡承諾料
- 建替承諾料
- 解体準備金、定期借地権の場合
月々の住宅ローン返済額だけを見ると無理がなくても、地代や管理費を加えると負担感が変わります。
借地権付き物件では、「購入価格」より「住み続けるための総費用」を見ることが大切です。
借地権付き物件で注意したい費用
借地権付き物件では、所有権物件にはない費用が発生します。
特に注意したいのは、地代、更新料、譲渡承諾料、建替承諾料です。
地代
地代は、土地を借りる対価として地主さんへ支払う費用です。
支払い方法は、毎月払い、年払いなど契約によって異なります。
金額は、土地の場所、面積、契約内容、過去の経緯によって変わります。
確認すべき項目は次のとおりです。
- 現在の地代
- 支払い方法
- 地代の改定条件
- 過去の地代改定の有無
- 地代の滞納がないか
- 地主さんとの支払い方法の取り決め
- 地代が周辺相場と比べて不自然に高くないか、低くないか
地代が低い場合でも、将来改定される可能性があります。
地代が高い場合は、住宅ローン返済と合わせた毎月負担が重くなります。
借地権付き物件を検討する際は、住宅ローン返済額と地代を合算して、毎月の住居費を確認しましょう。
更新料
更新料は、借地契約を更新するときに支払う費用です。
更新料の有無や金額は、契約書の内容や過去の取り決めによって変わります。
借地契約書に明記されている場合もあれば、過去の更新時に覚書が作成されている場合もあります。
確認したいのは次の点です。
- 更新料の有無
- 更新料の計算方法
- 次回更新時期
- 過去に更新料を支払った実績
- 更新覚書の有無
- 更新時に地代改定があるか
更新料は、毎月の費用ではありません。
しかし、更新時にまとまった支払いになることがあります。
購入前に次回更新時期を確認し、資金計画に入れておく必要があります。
譲渡承諾料
譲渡承諾料は、借地権付き建物を第三者に売却するとき、地主さんの承諾を得るために支払う費用です。
賃借権の借地権では、売却時に地主さんの承諾が必要になるのが一般的です。
承諾料の金額や計算方法は、契約書や個別協議によって決まります。
購入時に譲渡承諾料を確認しておかないと、将来売却するときの手取り額が想定より少なくなることがあります。
確認すべき項目は次のとおりです。
- 譲渡承諾料の有無
- 金額または計算方法
- 売主負担か買主負担か
- 承諾取得にかかる期間
- 過去の譲渡承諾の実績
- 承諾書の形式
将来の売却を考えるなら、譲渡承諾料は重要な確認項目です。
建替承諾料・増改築承諾料
借地上の建物を建て替える場合、地主さんの承諾が必要になることがあります。
その際に発生する費用が建替承諾料です。
また、大規模な増改築を行う場合にも、承諾が必要になることがあります。
古い戸建を購入して将来建て替えたい方は、購入前に次の項目を確認しましょう。
- 建替えができるか
- 建替承諾料の有無
- 増改築の制限
- 建物の構造や用途に制限があるか
- 再建築時の建築基準法上の問題
- 地主さんの承諾手続き
- 承諾書の取得可否
借地権付き戸建では、「古くなったら建て替えればよい」と簡単には考えられません。
契約上の承諾と、建築基準法上の再建築可否を分けて確認する必要があります。
定期借地権では解体費用や積立金も確認する
定期借地権付き物件では、契約期間満了後の土地返還が大きなポイントです。
戸建の場合、建物を解体して更地で返還する内容になっていることがあります。
その場合、将来の解体費用を誰が負担するのか確認が必要です。
マンションの場合は、解体準備金や解体積立金が設定されていることがあります。
管理費、修繕積立金、地代とは別に、どのような費用が必要になるか確認しましょう。
定期借地権付きマンションでは、次の項目を見ておく必要があります。
- 借地期間の満了日
- 残存期間
- 解体準備金
- 解体費用の負担方法
- 地代
- 管理費
- 修繕積立金
- 管理規約
- 売却時の承諾手続き
定期借地権付き物件は、購入時の価格だけでなく、期間満了時の処理まで確認して検討しましょう。
借地権付き物件と住宅ローン
借地権付き物件で、多くの方が気にするのが住宅ローンです。
ここは少し慎重に見た方がよい部分です。
制度上、借地権付き物件でも住宅ローンの対象になるケースはあります。フラット35でも、敷地が借地の場合について一定の取り扱いが示されています。
ただし、実務上は「借地権でもローンを使える場合がある」と軽く考えない方がよいです。
特に、地上権ではなく賃借権の借地では、金融機関の審査ハードルがかなり高くなりやすいのが現状です。
土地所有権を取得しないこと、地主さんの承諾が関係すること、担保設定や将来の担保処分が複雑になることから、所有権物件より慎重に判断されます。
地上権と賃借権では、住宅ローンの見られ方が違う
借地権付き物件の住宅ローンでは、まず地上権か賃借権かを確認します。
地上権の場合、地上権そのものに抵当権を設定できます。
金融機関としても、担保設定の考え方を整理しやすいため、賃借権と比べると検討しやすい傾向があります。
一方、賃借権の場合は事情が変わります。
賃借権は地主さんとの契約に基づく権利です。
借地権付き建物を売却する場合、地主さんの譲渡承諾が必要になるのが一般的です。住宅ローンを利用する際にも、金融機関から地主さんの承諾書を求められることがあります。
金融機関は、貸したお金を回収できるか、担保として問題ないかを確認します。
賃借権の借地では、地主さんの承諾、借地契約の内容、残存期間、地代、承諾料、建物の担保評価などを細かく見ます。
そのため、地上権を除く借地権付き物件では、住宅ローンのハードルが高いと考えておいた方が現実的です。
借地権だから一律に住宅ローン不可ではない
借地権付き物件は、住宅ローンが必ず使えないわけではありません。
フラット35では、敷地が借地の場合でも、一定の要件を満たせば融資対象になります。
対象となる借地権は、普通借地権、定期借地権、建物譲渡特約付借地権です。
借入期間の扱いは、借地権の種類によって異なります。
普通借地権の場合は、通常の借入期間と同様の扱いです。
一方、定期借地権または建物譲渡特約付借地権の場合は、通常の借入期間と借地権の残存期間を比較し、短い年数が上限になります。
つまり、定期借地権では、残存期間が住宅ローンの借入期間に直接影響します。
民間金融機関でも、借地権付き物件の取り扱いは金融機関ごとに異なります。
ただ、一般的な所有権物件と同じ感覚で審査が進むわけではありません。
特に賃借権の借地では、次の理由で審査が厳しくなりやすいです。
- 土地所有権に担保設定できない
- 地主さんの承諾が必要になる
- 抵当権設定や担保処分の考え方が複雑になる
- 借地契約の残存期間が審査に影響する
- 地代や承諾料が返済負担に影響する
- 将来売却時の買主も住宅ローンを使いにくい可能性がある
- 金融機関によって借地権の取り扱い方針が異なる
借地権付き物件を検討する場合は、購入申込の前に、物件資料をそろえて金融機関へ確認することが大切です。
金融機関が確認する主なポイント
借地権付き物件の住宅ローンでは、金融機関は担保としての扱いを確認します。
所有権の物件であれば、土地と建物に担保を設定するのが一般的です。
借地権付き物件では、土地は地主さんの所有です。そのため、借地権や建物にどのように担保を設定できるかが問題になります。
金融機関が確認する主な項目は次のとおりです。
- 借地権の種類
- 地上権か賃借権か
- 普通借地権か定期借地権か
- 借地契約の残存期間
- 地代
- 地代の支払状況
- 土地賃貸借契約書の内容
- 地主さんの承諾書
- 抵当権設定の可否
- 建物の登記
- 借地権の登記
- 底地の登記内容
- 建物の築年数、構造、状態
- 将来売却時の流通性
賃借権の場合、地主さんの承諾書が審査の大きなポイントになります。
承諾書を取得できない場合、住宅ローン審査が前に進みにくくなります。
また、定期借地権では残存期間が重要です。
希望する借入期間より残存期間が短い場合、借入期間が制限されます。
借地権付き物件では、室内の状態や価格だけでなく、金融機関が担保として見られるかを早い段階で確認しましょう。
事前審査前に確認したい書類
借地権付き物件で住宅ローンを検討する場合は、事前審査の前にできるだけ資料をそろえましょう。
確認したい主な書類は次のとおりです。
- 土地賃貸借契約書
- 借地契約の更新覚書
- 地代の支払状況が分かる資料
- 建物の登記事項証明書
- 底地の登記事項証明書
- 公図
- 地積測量図
- 地主承諾書の取得可否
- 譲渡承諾料に関する資料
- 建替承諾料に関する資料
- 管理規約、マンションの場合
- 重要事項調査報告書、マンションの場合
- 解体準備金や地代に関する資料、定期借地権の場合
これらの資料が不足していると、金融機関の審査に時間がかかります。
売買契約後に確認不足が分かると、住宅ローン特約や契約手続きにも影響します。
借地権付き物件では、気に入った段階で早めに資料を集めることが大切です。
将来売却するときに困らないための見方
借地権付き物件を購入するときは、将来売却する場面も考えておきましょう。
自分が購入時に気になった点は、将来の買主も気にします。
次の買主が住宅ローンを使えるか
将来売却するとき、次の買主が住宅ローンを使いやすい物件かどうかは大きなポイントです。
次のような物件は、買主が限られやすくなります。
- 借地契約の残存期間が短い
- 地代が高い
- 更新料や承諾料が分かりにくい
- 地主さんの承諾取得に時間がかかる
- 住宅ローンを扱う金融機関が限られる
- 建替えや増改築の条件が厳しい
- 定期借地権の満了時期が近い
借地権付き物件でも売却はできます。
ただし、所有権の物件より説明すべき内容が多く、買主側の住宅ローンも慎重に見られやすくなります。
購入時には、将来の買主に説明できる契約内容かどうかを確認しましょう。
建替え・相続まで考える
借地権付き物件を長く所有する予定がある場合は、建替えや相続も考えておく必要があります。
古い戸建を購入して将来建て替える予定があるなら、建替承諾の条件を確認しましょう。
相続で親族に引き継ぐ可能性があるなら、借地契約の名義変更や地主さんとの連絡体制も確認しておきたいところです。
確認したい項目は次のとおりです。
- 建替えができるか
- 建替承諾料
- 増改築の制限
- 名義変更料
- 相続時の手続き
- 地代改定の条件
- 更新料
- 契約書の保管状況
- 地主さんとの連絡方法
古い借地契約では、過去の合意内容が書面で残っていないことがあります。
その場合は、売主、不動産会社、地主さん、必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家と確認しながら進めることになります。
千葉市・市原市で借地権付き物件を検討する場合
千葉市・市原市周辺でも、借地権付きの戸建やマンションが売りに出ることがあります。
駅周辺や古くから住宅地として形成されている地域では、土地権利が所有権ではなく借地権になっている物件を見かけることがあります。
借地権付き物件を検討する場合は、所有権の物件と同じように価格だけで比較しないことが大切です。
次の順番で確認すると、判断しやすくなります。
- 土地権利の種類を確認する
- 地上権か賃借権か確認する
- 旧法借地権、普通借地権、定期借地権のどれか確認する
- 借地契約書を確認する
- 地代、更新料、承諾料を確認する
- 住宅ローンを利用できるか確認する
- 将来売却できる条件か確認する
- 所有権物件と総費用で比較する
借地権付き戸建では、地主さんとの契約内容、建替え、増改築、譲渡承諾、地代、更新料が重要です。
借地権付きマンションでは、管理規約、借地期間、地代、解体準備金、管理組合の運営状況も確認しましょう。
市原市・千葉市で住宅を探している方の中には、駅距離や価格の面から、借地権付き物件が候補に入る方もいると思います。
その場合は、最初から除外する必要はありません。
ただし、所有権の物件より確認項目が増えます。特に住宅ローンを利用する場合、地上権を除く借地権では審査がかなり慎重に進むと考えておいた方がよいでしょう。
物件資料、契約書、登記情報、地主さんの承諾、住宅ローンの見通しをそろえて判断することが大切です。
借地権付き物件は、価格だけで判断しないことが大切
借地権付き物件は、所有権の物件より価格が抑えられていることがあります。
そのため、予算内で希望エリアの物件を探している方にとって、魅力的に見えることがあります。
ただし、借地権付き物件では、土地を所有するわけではありません。
地代、契約期間、更新料、承諾料、住宅ローン、将来売却、建替え、相続まで含めて確認する必要があります。
確認すべきポイントは次のとおりです。
- 借地権の種類
- 地上権か賃借権か
- 旧法借地権、普通借地権、定期借地権の違い
- 借地期間
- 残存期間
- 地代
- 更新料
- 譲渡承諾料
- 建替承諾料
- 住宅ローンの利用可否
- 地主さんの承諾
- 将来売却のしやすさ
- 建替えや相続時の手続き
借地権付き物件は、仕組みを理解して検討すれば、選択肢になります。
一方で、確認不足のまま購入すると、住宅ローン、売却、建替えの場面で困ることがあります。
特に住宅ローンは、所有権物件と比べてハードルが上がります。
地上権であれば比較的整理しやすいケースもありますが、賃借権の借地では、金融機関、地主さん、契約内容の確認が欠かせません。
気になる借地権付き物件がある場合は、販売図面だけで判断せず、借地契約の内容まで確認しましょう。
物件価格、地代、住宅ローン、将来の出口をセットで見て、無理のない購入計画を立てることが大切です。
参考情報
確認日:2026年6月12日
- e-Gov法令検索「借地借家法」
- 国土交通省「定期借地権の解説」
- 住宅金融支援機構/フラット35「敷地が借地の場合」
- 住宅金融支援機構/フラット35「敷地が借地の場合でも融資の対象になりますか」
- 国税庁「地上権、土地の賃借権、使用貸借権の区分」
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借地権付き物件については、所有権の物件より確認項目が多くなります。
土地賃貸借契約の内容、地代、更新料、承諾料、住宅ローンの利用可否、将来売却時の見通しなどを整理しながら、購入判断をサポートします。
特に住宅ローンを利用する場合、借地権の種類によって難易度が変わります。
地上権であれば比較的整理しやすいケースもありますが、賃借権の借地では、金融機関が慎重に判断することが多く、地主さんの承諾や契約内容の確認が欠かせません。
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