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「分電盤を点検します」

突然こんな電話がかかってきたら、どう対応すればよいのでしょうか。

電力会社を名乗っていたり、「このままでは漏電する」「火事になるかもしれない」と言われたりすると、自宅の安全に関わる話だけに、そのまま点検をお願いした方がよいのではと不安になるかもしれません。

実際、分電盤の点検をきっかけに交換工事を勧められ、その場で契約してしまったという相談が各地で増えています。

国民生活センターは2026年9月16日、分電盤の点検商法に関する相談が引き続き増加し、地域的にも広がっているとして、あらためて注意を呼びかけました。

一方で、家庭の電気設備には法令に基づく定期的な調査もあります。

大切なのは、「点検の話が来たらすべて断る」ということではなく、正規の点検と、その場で工事契約を迫る勧誘を混同しないことです。

ここでは、突然の電話や訪問を受けたときに、慌てず確認したいポイントを見ていきます。

国民生活センター「分電盤の点検商法にご注意ください」

※画像出典:独立行政法人国民生活センター 公式サイト

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分電盤の点検商法に関する相談が2025年度に6,545件

PIO-NETにみる分電盤の点検商法に関する年度別相談件数

※画像出典:独立行政法人国民生活センター 公式サイト

国民生活センターに寄せられた分電盤の点検商法に関する相談は、ここ数年で大きく増えています。

年度別の相談件数は次のようになっています。

年度相談件数
2022年度14件
2023年度39件
2024年度1,290件
2025年度6,545件
2026年度2,223件※

※2026年7月31日までの登録分。

2025年度は2024年度の約5倍です。さらに2026年度も、7月31日までですでに2,223件が登録されています。

2024年度までは南関東で目立っていた相談が、2025年度には北関東や九州北部を含め各地で増え、地域的な広がりも確認されています。

分電盤は、普段の生活では頻繁に触れる設備ではありません。

「古くなっています」「漏電するかもしれません」と突然言われても、本当に交換が必要なのか、その金額が妥当なのかをその場で判断するのは難しいものです。

だからこそ、不安を感じたときほど、すぐに結論を出さないことが大切になります。

2025年度は70歳以上が8割超|家族も知っておきたい

2025年度の相談を契約当事者の年代別に見ると、70歳以上が8割を超えています。

ただし、これは「高齢者だから判断できない」という話ではありません。

自宅で一人のときに突然電話があり、「電気設備に問題がある」「火事になるおそれがある」と伝えられれば、年齢にかかわらず心配になるでしょう。

とくに、長く暮らしている住宅では、

「確かに分電盤も古くなっているかもしれない」

と思い当たることがあるかもしれません。

離れて暮らす親がいる場合には、本人だけに注意を求めるよりも、家族の間で簡単なルールを決めておく方法があります。

たとえば、

「点検や設備交換の電話が来ても、その場で工事を頼まない」

「契約の話になったら、一度家族へ連絡する」

という程度でも構いません。

いざ電話や訪問を受けたとき、「一度確認する」という選択肢を思い出しやすくなります。

「電力会社です」「市役所から依頼されています」と言われても一度確認を

国民生活センターには、実在する電力会社や行政機関との関係があるように思わせる相談も寄せられています。

2026年9月の公表資料では、「電力会社のものですが分電盤の点検に伺います」と電話を受けた70歳代の女性の事例が紹介されています。

点検後に「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」「漏電したら大変なことになる」と交換を勧められ、約14万円の契約をしました。その後、契約中の電力会社へ確認すると、関係のない業者だったことが分かったという内容です。

このほかにも、電力会社を名乗る業者、市役所から依頼されたという業者、点検後に分電盤交換費用を現金で支払ったものの契約書を受け取っていないケースなどが報告されています。

会社名や行政機関の名前を聞くと、つい安心してしまうことがあります。

しかし、名乗った名称だけで相手との関係を確認することはできません。

少しでも気になる場合には、相手が伝えてきた電話番号へそのまま折り返すのではなく、自分で契約先の電力会社などの連絡先を確認して問い合わせる方が安心です。

家庭の電気設備には法定点検がある|営業との違いを知っておく

ここで注意したいのは、家庭の電気設備に関する点検そのものが不審なわけではないという点です。

一般家庭などの電気設備については、法令に基づく定期調査があり、原則として4年に1回以上行われます。調査項目には、分電盤の外観や絶縁状態などの確認も含まれています。

経済産業省の注意喚起では、家庭の分電盤等について、電力会社等が法令に基づいて4年に1回以上の頻度で点検し、点検日時は事前に書面で案内すると説明されています。

また、点検日時を電話で知らせることはなく、訪問した点検作業員がその場で設備交換の契約を持ち掛けることもないと案内しています。

ここが、判断するときの大きなポイントです。

「分電盤の点検がある」ということ自体は不自然ではありません。

一方で、突然の電話から訪問につながり、その場で「交換しなければ危険です」と工事契約を勧められた場合には、正規の法定点検と同じものだと思い込まず、一度確認した方がよいでしょう。

「法律で15年と決まっている」と言われたら、その場で判断しない

国民生活センターに寄せられた相談では、「分電盤は15年で交換することが法律で決められている」と説明されたケースが以前から確認されています。

2025年の注意喚起では、このような説明を「うその説明」の一例として問題点に挙げています。

今回の2026年9月の事例でも、「分電盤の耐用年数は法律で15年と決まっている」と言われ、交換契約に至ったケースが紹介されました。

ここで気をつけたいのは、「15年を過ぎていれば交換する必要はない」という反対方向の決めつけもしないことです。

電気設備は実際に劣化することがありますし、設備の状態によって交換が必要になる場合もあります。

問題なのは、

「法律で決まっているから、今この場で交換しなければならない」

という説明だけで急いで契約してしまうことです。

交換の必要性が気になるのであれば、設備メーカーや契約先の電力会社、信頼できる電気工事業者などへあらためて確認する時間を取ってもよいでしょう。

点検後に交換を勧められても、その場では契約しない

自宅で点検を受けたあと、

「このままでは漏電する」

「火事になる可能性がある」

「今日なら安く工事できる」

などと言われると、契約を断りにくくなることがあります。

まして、「危険」と指摘された設備をそのまま使い続けることには不安を感じるものです。

それでも、国民生活センターは、点検した業者とはその場で契約しないよう呼びかけています。

経済産業省も、突然点検を持ち掛ける業者へ安易に点検を依頼せず、点検を受けた場合でも、その場では契約せず十分に比較・検討するよう案内しています。

本当に交換が必要なのか心配であれば、一度業者に帰ってもらったうえで別の事業者にも確認できます。

工事を依頼するのであれば、作業内容や使用する設備、金額などを確認し、可能であれば複数の見積もりを比較する方法もあります。

設備の安全性と、目の前にいる業者と今すぐ契約する必要があるかどうかは、分けて考えることが大切です。

契約してしまった場合はクーリング・オフできることもある

「すでに契約してしまったから、もうどうしようもない」

と考える必要はありません。

自宅への訪問による契約などが特定商取引法上の訪問販売に該当する場合には、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、原則として書面または電磁的記録によってクーリング・オフできる制度があります。

また、訪問販売では、事業者が契約時に販売価格や支払方法、クーリング・オフに関する事項、事業者の名称・住所・電話番号などを記載した書面を交付するルールも設けられています。

ただし、契約の経緯や取引形態によって適用関係が異なることがあります。

「分電盤の交換契約なら必ずクーリング・オフできる」と一律に判断するのではなく、契約してしまって不安がある場合には、できるだけ早く消費生活センターなどへ相談する方が安心です。

8日を過ぎている場合でも、契約時の説明や勧誘方法などによって検討できることがあります。自分だけで「もう遅い」と判断せず、まず状況を伝えてみてください。

不安なときは消費者ホットライン188へ

国民生活センターは、分電盤の点検商法について、不安や不明な点があれば消費生活センター等へ相談するよう案内しています。

全国共通の消費者ホットライン「188(いやや!)」へ電話すると、居住地域の消費生活センターなどにつながります。

相談するときは、手元に残っている資料を捨てずに取っておきましょう。

契約書や見積書、名刺、チラシだけでなく、電話番号が分かる着信履歴やSMS、メールなども、どのような経緯で契約したのかを説明するときの材料になります。

千葉県でも、分電盤の訪問販売に関する相談が増加しています。

令和7年度の千葉県の消費生活相談では、「電気設備」の苦情相談が前年度の293件から741件へ増え、主な内容として分電盤の訪問販売が挙げられています。

自分だけの珍しいトラブルだと思わず、不安を感じた段階で相談してよい内容です。

高齢の家族がいるなら「その場で決めない」を共有しておく

分電盤のような住宅設備について「危険な状態です」と言われれば、誰でも気になるものです。

とくに長年住んでいる家では、

「確かに古くなっているから、交換した方がよいのかもしれない」

と考えるのも自然でしょう。

だからこそ、対策は複雑にしなくても構いません。

高齢の家族と離れて暮らしている場合には、

「点検や工事の話が来ても、その場では決めない」

という一つのルールを共有しておくだけでも、急な勧誘を受けたときの支えになります。

電話を切ったあとで家族に相談する。

契約している電力会社へ自分で確認する。

必要なら別の電気工事業者にも見てもらう。

少し時間を置いても、本当に必要な工事であれば検討することはできます。

住まいを長く安心して使うためには、必要な点検や修理を避けるのではなく、不安を感じたときほど、その場で急いで決めないことが大切です。

参考情報

確認日:2026年10月3日

独立行政法人 国民生活センター「分電盤の点検商法にご注意ください-相談が各地に広がり増加しています-」
URL:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260916_2.html

独立行政法人 国民生活センター「『分電盤の点検に行きます』の電話から始まる勧誘に注意-2024年度に急増しています-」
URL:https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20250115_1.html

経済産業省「電気設備の点検等を装った訪問者に御注意ください」
URL:https://www.meti.go.jp/press/2024/01/20250115001/20250115001.html

経済産業省「一般用電気工作物の定期調査の方法に関する基本的な要件及び標準的な調査項目について」
URL:https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/law/files/teikichousa.pdf

消費者庁「特定商取引法ガイド|訪問販売」
URL:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/doortodoorsales/

千葉県「令和8年度『高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン』の実施について」
URL:https://www.pref.chiba.lg.jp/customer/press/2026/koreishacampaigh.html

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    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談に、わかりやすく丁寧にお応えします。
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