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中古戸建や中古住宅を見学していると、室内のきれいさに目が向きやすくなります。

クロスが張り替えられている。

キッチンや浴室が新しく見える。

床もきれいで、すぐに住めそうに感じる。

そのような物件を見ると、「これなら大丈夫そう」と思うこともあるはずです。

ただ、中古住宅では、内装の見た目だけでは分からない部分があります。

基礎にひび割れはないか。

外壁や屋根に劣化はないか。

雨漏りの跡はないか。

床下や小屋裏の状態はどうか。

給排水管まわりに不具合の兆候はないか。

こうした部分は、内見で数十分見ただけでは判断しにくいものです。

そこで検討したいのが、ホームインスペクションです。

ホームインスペクションは、住宅の状態を専門家の目で確認する調査です。中古住宅を購入する前に、建物の劣化状況や不具合の可能性を把握し、購入判断や修繕費の見通しを立てる材料になります。

ただし、ホームインスペクションをすれば、すべての不具合が見つかるわけではありません。

また、「ホームインスペクション」と「建物状況調査」は似た言葉ですが、制度上の位置づけや調査範囲に違いがあります。

この記事では、中古戸建を購入する前に知っておきたいホームインスペクションの基本、建物状況調査との違い、費用や依頼タイミング、確認時の注意点を整理します。

クラブツーリズム

中古住宅は、見た目だけでは分からないことがある

中古住宅の難しさは、表面上きれいに見えても、建物の状態が物件ごとに大きく違うことです。

同じ築20年の住宅でも、定期的に修繕されてきた家と、ほとんど手入れされていない家では状態が違います。

外壁塗装をしているか。

屋根のメンテナンスをしているか。

過去に雨漏りがあったか。

シロアリの被害や防蟻処理の履歴があるか。

床下や小屋裏に劣化の兆候がないか。

これらは、購入後の修繕費や住み心地にも関わります。

特にリフォーム済みの物件では、内装がきれいなぶん、建物の古さが見えにくくなることがあります。

壁紙や床材が新しくなっていても、基礎、屋根、外壁、床下、小屋裏、配管まで新品になっているとは限りません。

もちろん、リフォーム済み物件が悪いという話ではありません。

むしろ、きれいに整えられた物件は、入居後の手間を減らせる魅力があります。

大切なのは、「どこが新しくなっていて、どこが既存のままなのか」を確認することです。

ホームインスペクションは、その確認を助ける手段のひとつです。

ホームインスペクションとは、住宅の状態を専門家が確認する調査

ホームインスペクションとは、住宅診断や住宅検査とも呼ばれ、建築士などの専門家が住宅の状態を確認する調査です。

一般的には、目視や計測などにより、建物に劣化や不具合の兆候がないかを確認します。

中古住宅を購入する買主にとっては、購入前に建物の状態を把握するための材料になります。

たとえば、気に入った中古戸建があったとします。

間取りも価格もよく、立地も希望に合っている。

しかし、築年数が少し経っていて、雨漏りや床下の状態が気になる。

このようなとき、ホームインスペクションを行うことで、見える範囲・調査できる範囲の建物状態を確認できます。

調査結果をもとに、購入を前向きに進めるのか、修繕費を見込むのか、もう少し慎重に考えるのか、判断しやすくなります。

売主にとっても、建物の状態を事前に整理しておくことは、買主への説明や売却後のトラブル防止につながる場合があります。

ただし、ホームインスペクションは「合格・不合格」を決めるためのものではありません。

住宅の状態を知り、購入判断や修繕計画に役立てるための調査と考えるとよいでしょう。

建物状況調査とは?宅建業法上のインスペクション

ホームインスペクションとよく似た言葉に、「建物状況調査」があります。

建物状況調査は、宅地建物取引業法上の制度に位置づけられたインスペクションです。

宅建業法上の建物状況調査は、既存住宅状況調査技術者が、既存住宅状況調査方法基準に基づいて行う調査です。

既存住宅状況調査技術者とは、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了した建築士のことです。

2018年4月の宅建業法改正により、既存住宅の売買に関して、宅建業者には建物状況調査に関する説明や書面交付などの対応が求められるようになりました。

具体的には、媒介契約時に建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載すること、重要事項説明で建物状況調査の結果の概要などを説明すること、契約成立時に建物の状況について当事者が確認した事項を書面で交付することなどです。

ここで大切なのは、建物状況調査が「建物の状態を把握するための制度上の調査」であるという点です。

建物状況調査を実施したからといって、建物のすべてが保証されるわけではありません。

瑕疵の有無を最終的に判定するものでもありません。

調査できる範囲には限りがあり、調査できなかった部分はその旨が報告書に記載されます。

建物状況調査とホームインスペクションの違い

建物状況調査とホームインスペクションは、どちらも中古住宅の状態を確認する調査として使われます。

ただし、まったく同じものとして考えると誤解が生じます。

建物状況調査は、宅建業法上の制度に位置づけられた調査です。

既存住宅状況調査技術者が、決められた調査方法基準に基づいて実施します。

一方、一般的に使われるホームインスペクションは、事業者や調査プランによって内容が異なることがあります。

基本的な目視調査を中心にするものもあれば、床下や小屋裏への進入調査、赤外線調査、設備調査、耐震診断などをオプションで用意しているものもあります。

整理すると、次のようなイメージです。

  • 建物状況調査:宅建業法上の制度に位置づけられた調査
  • ホームインスペクション:住宅診断全般を指す一般的な呼び方
  • 建物状況調査は、調査者や調査方法に一定の制度上の枠組みがある
  • ホームインスペクションは、事業者やプランによって調査範囲が変わる
  • どちらも、すべての不具合を発見・保証するものではない

どちらがよい、悪いという話ではありません。

購入しようとしている物件で何を確認したいのか。

調査範囲はどこまでか。

報告書には何が書かれるのか。

床下や小屋裏まで見るのか。

費用はいくらか。

こうした点を確認したうえで、目的に合う調査を選ぶことが大切です。

調査で確認されやすい主な項目

ホームインスペクションや建物状況調査で確認されやすい項目は、調査の種類やプランによって異なります。

中古戸建でよく確認対象になるのは、次のような部分です。

  • 基礎
  • 外壁
  • 屋根
  • 小屋裏
  • 床下
  • 雨漏りや漏水の跡
  • 床の傾き
  • 建具やサッシまわり
  • バルコニー
  • 給排水管まわり
  • シロアリ被害の兆候
  • 構造耐力上主要な部分
  • 雨水の浸入を防止する部分

外まわりでは、外壁のひび割れ、基礎のひび、屋根の劣化、バルコニーの防水状態などを確認します。

室内では、床の傾き、建具の開閉、天井や壁の雨染み、サッシまわりの状態などを見ることがあります。

床下や小屋裏に入れる場合は、土台、柱、断熱材、雨漏り跡、シロアリ被害の兆候などを確認できる場合があります。

ただし、床下や小屋裏への進入調査は、基本調査に含まれないこともあります。

点検口がない、狭くて入れない、荷物があって確認できないなど、物件の状況によって調査できない部分もあります。

調査を依頼するときは、「どこまで見てもらえるのか」を事前に確認しておくことが大切です。

調査で分かること・分からないこと

ホームインスペクションを検討するときは、調査で分かることと、分からないことを分けて考える必要があります。

調査で分かりやすいのは、目視や計測で確認できる範囲の劣化事象や不具合の兆候です。

たとえば、外壁のひび割れ、基礎のひび、雨漏り跡、床の傾き、建具の開閉不良、バルコニーの劣化、床下の見える範囲の状態などです。

これらは、購入判断や修繕費の見通しを立てるうえで参考になります。

一方で、調査では分からないこともあります。

たとえば、次のようなものです。

  • 壁や天井の内部に隠れている不具合
  • 地中にある配管や地盤の詳細な状態
  • 家具や仕上げ材で隠れている部分
  • 将来発生する故障や劣化
  • すべての雨漏りリスク
  • すべてのシロアリ被害
  • 法令適合性の詳細な判定
  • 建物の品質保証
  • 瑕疵の有無の最終判断

調査は、見える範囲・調査できる範囲の状態を確認するものです。

そのため、「ホームインスペクションをしたから絶対に安心」とは言えません。

ただし、調査しなければ分からなかった劣化や不具合の兆候に気づけることがあります。

購入前に建物の状態を知ることで、冷静に判断しやすくなるのが大きなメリットです。

費用の目安と、追加調査が必要になるケース

ホームインスペクションの費用は、物件の種類、面積、調査範囲、調査会社、オプションの有無によって変わります。

一般的には、基本的な目視調査で数万円程度から、床下や小屋裏の進入調査、詳細な報告書、設備調査などを加えると十数万円程度になることもあります。

費用だけで判断するのではなく、調査範囲を確認することが大切です。

安い調査でも、目的に合っていれば十分な場合があります。

一方で、床下や小屋裏が気になる物件なのに、そこを見ない調査だけでは不安が残ることもあります。

追加調査が必要になるケースとしては、次のようなものがあります。

  • 床下の状態を詳しく確認したい
  • 小屋裏の雨漏り跡や断熱材の状態を確認したい
  • シロアリ被害の可能性が気になる
  • 耐震診断も検討したい
  • 給排水設備の状態が気になる
  • 赤外線調査などを希望したい
  • リフォーム費用の目安も知りたい

ただし、ホームインスペクションと耐震診断、リフォーム見積もり、設備点検は、それぞれ目的が違います。

一度の調査ですべて分かるわけではありません。

何を知りたいのかを整理したうえで、調査会社や仲介会社に相談するとよいでしょう。

依頼するタイミングは、できれば売買契約前

ホームインスペクションを依頼するタイミングは、できれば売買契約前が望ましいです。

契約前に建物の状態を確認できれば、購入するかどうか、修繕費をどの程度見込むか、契約条件をどう考えるかの材料になります。

ただし、実際にはいくつか調整が必要です。

まず、売主の承諾が必要です。

買主が勝手に床下や小屋裏を調査することはできません。

売主や仲介会社と日程を調整し、どの範囲まで調査できるか確認する必要があります。

また、人気物件では、契約までのスケジュールが短いこともあります。

ホームインスペクションを希望する場合は、購入申込みの前後で早めに相談しておく方がよいでしょう。

契約後に調査するケースもあります。

その場合でも、売買契約書の内容、住宅ローン特約、契約不適合責任、引渡しまでのスケジュールなどを確認したうえで進める必要があります。

調査結果によって、必ず契約を白紙にできるわけではありません。

調査は、契約条件を確認したり、修繕計画を立てたりするための材料と考えるのが現実的です。

物件状況報告書・付帯設備表とあわせて確認する

中古住宅を購入するときは、ホームインスペクションだけで判断するのではなく、他の書類とあわせて確認することが大切です。

特に見ておきたいのが、物件状況報告書と付帯設備表です。

物件状況報告書は、売主が知っている物件の状態を買主へ伝える書類です。

雨漏り、シロアリ、給排水管、境界、越境、近隣トラブル、過去の浸水など、物件全体の状況を確認するために使われます。

付帯設備表は、設備の有無や故障状況を確認する書類です。

給湯器、エアコン、照明、キッチン設備、浴室設備、インターホンなど、引渡し時に残る設備や不具合の有無を整理します。

ホームインスペクションは、第三者の目で建物の現況を確認する手段です。

つまり、それぞれ役割が違います。

  • 物件状況報告書:売主が知っている物件の状態
  • 付帯設備表:設備の有無や故障状況
  • ホームインスペクション:専門家による現況確認
  • 重要事項説明書:法令・権利・取引条件などの説明
  • 売買契約書:契約条件や責任範囲の確認

これらを組み合わせることで、中古住宅の状態をより具体的に把握できます。

どれか一つだけで十分と考えず、それぞれの役割を分けて確認すると安心です。

中古マンションでもホームインスペクションは使える?

ホームインスペクションというと、中古戸建のイメージが強いかもしれません。

しかし、中古マンションでも、専有部分を中心にホームインスペクションを検討することはあります。

ただし、マンションでは戸建とは違う注意点があります。

マンションには、専有部分と共用部分があります。

室内の壁紙や床、キッチン、浴室、トイレなどは専有部分として確認しやすい一方で、玄関ドア、窓サッシ、バルコニー、共用配管、躯体部分などは、管理規約や共用部分の扱いが関係することがあります。

また、調査のために共用部分へ立ち入る場合や、屋上・配管スペースなどを見る場合には、管理組合の承諾や管理会社との調整が必要になることがあります。

中古マンションで確認したいのは、たとえば次のような点です。

  • 専有部分の給排水まわり
  • 上階からの漏水履歴
  • 下階への漏水履歴
  • リフォーム履歴
  • 管理規約上の制限
  • 専有部分と共用部分の境目
  • 室内の傾きや建具の不具合
  • 浴室・キッチン・トイレまわりの状態

リノベーションマンションの場合、室内はきれいでも、共用部分や管理状況は別に確認する必要があります。

ホームインスペクション、管理に係る重要事項調査報告書、管理規約、長期修繕計画、物件状況報告書をあわせて見ることが大切です。

千葉市・市原市で中古戸建を検討する方へ

千葉市・市原市周辺で中古戸建を検討する場合も、ホームインスペクションは有力な選択肢になります。

この地域では、新築戸建だけでなく、中古戸建、リフォーム済戸建、リノベーションマンションなど、さまざまな物件があります。

市原市では、郊外の戸建、敷地の広い住宅、築年数の経った住宅、浄化槽付き住宅などもあります。

千葉市では、駅近の中古マンションから、郊外の戸建、リフォーム済み住宅まで幅広い選択肢があります。

海に近いエリア、低地、台地、古くからの住宅地、新しい分譲地では、確認したいポイントも変わります。

たとえば、海に近いエリアでは外部金物や外壁の劣化が気になることがあります。

低地や河川に近いエリアでは、過去の浸水や排水状況、ハザードマップも確認したいところです。

築年数の経った戸建では、屋根、外壁、床下、給排水管、シロアリ、防蟻処理の履歴などを見ておくと安心です。

浄化槽付き住宅では、浄化槽の維持管理や点検履歴、排水経路も確認対象になります。

リフォーム済戸建では、見た目がきれいでも、すべての部分が新しくなっているわけではありません。

どこを交換して、どこが既存のままなのかを確認することが大切です。

ホームインスペクションは、そうした確認のきっかけになります。

購入前に建物の状態を知っておくことで、住宅ローンだけでなく、入居後の修繕費やメンテナンス費用も含めた資金計画を立てやすくなります。

まとめ|ホームインスペクションは「買う・買わない」を決める材料のひとつ

ホームインスペクションは、中古戸建や中古住宅の購入前に、建物の状態を専門家が確認する調査です。

建物状況調査は、宅建業法上の制度に位置づけられたインスペクションであり、既存住宅状況調査技術者が基準に基づいて実施します。

一方、一般的なホームインスペクションは、事業者やプランによって調査範囲が異なります。

どちらを利用する場合でも、調査で分かることと分からないことを理解しておくことが大切です。

ホームインスペクションを行えば、すべての不具合が見つかるわけではありません。

将来の故障を保証するものでもありません。

それでも、見た目だけでは分からない劣化や不具合の兆候を確認し、購入判断や修繕費の見通しを立てる材料になります。

中古住宅を検討する際は、ホームインスペクションだけでなく、物件状況報告書、付帯設備表、重要事項説明書、売買契約書をあわせて確認しましょう。

そして、気になる点があれば、契約前に仲介会社へ相談することが大切です。

中古住宅は、一つひとつ状態が違います。

だからこそ、建物の状態を丁寧に確認し、自分たちの暮らしと資金計画に合うかどうかを落ち着いて判断していきましょう。参考情報

確認日:2026年6月15日

  • 国土交通省「インスペクション(既存住宅の点検・調査)」
  • 国土交通省「既存住宅状況調査技術者講習制度について」
  • 住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅状況調査(建物状況調査)とは?」
  • 住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅状況調査(建物状況調査)よくあるご質問」
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

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市原市・千葉市周辺で中古戸建・中古マンションの購入や売却を検討されている方は、物件の見た目だけでなく、建物の状態や契約書類まで含めて、一緒に確認していきましょう。

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    高場智浩
    千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談を、わかりやすく丁寧にサポートいたします。