一戸建ての修繕費は平均554万円|2026年調査で分かった維持費の実態
一戸建てを購入するとき、物件価格や住宅ローンの返済額は気になるものの、将来の修繕費まで具体的に考えている方は、それほど多くないかもしれません。
新築時にはきれいだった住まいも、長く暮らしているうちに外壁や屋根、給湯器などの修繕が必要になります。とはいえ、「何年くらいで修繕するのか」「どの程度の費用を用意しておけばよいのか」は、なかなかイメージしにくいものです。
アットホーム株式会社が2026年9月15日に公表した「一戸建て修繕の実態調査2026」によると、新築一戸建てを購入して30年以上住んでいる人が、これまでに支払った住宅修繕費は累計平均554.0万円でした。
さらに、修繕費を毎月積み立てていない人は91.1%に上り、費用の高騰や資材不足によって修繕計画に影響を受けた人も約3人に1人という結果になっています。
今回は、この調査で明らかになった一戸建ての修繕費やメンテナンスの実態を紹介するとともに、これから住宅を購入する方が考えておきたい維持費や資金計画について解説します。
一戸建ての修繕費は累計平均554.0万円|2026年調査の結果
アットホームが実施した今回の調査は、全国で新築一戸建てを購入し、30年以上住んでいる1,098人を対象としたものです。
2026年7月10日から11日にかけてインターネットで実施され、これまでの修繕費や修繕した場所、工事を依頼した会社の選び方などについて質問しています。
調査対象となった住宅の平均築年数は37.9年。長期間にわたって一戸建てに住み続けてきた人の実際の経験を知ることができる調査です。
これまでに住宅修繕にかけた費用の合計は、平均554.0万円でした。
建物構造別では、木造住宅が平均506.8万円、鉄筋・鉄骨造が平均666.4万円となっています。
ただし、建物の構造だけで修繕費が決まるわけではありません。建物の大きさや仕様、設備の種類、修繕した回数や内容によっても金額は変わります。
また、554.0万円は30年間に必要な修繕費の予測額ではなく、30年以上住んでいる回答者がこれまでに支払った費用の累計平均です。
今から新築一戸建てを購入する場合に、必ず同じ金額がかかるという意味でもありません。
それでも、住宅を長く所有するうえで、修繕費が決して小さな支出ではないことを知る参考になります。
最も多く修繕されていたのは外壁|屋根や住宅設備にも費用がかかる
調査では、これまでに修繕したことがある場所についても質問しています。
最も多かったのは「外壁」で、回答者の69.1%が修繕を経験していました。続いてトイレ、給湯器、屋根という結果です。
主な修繕場所と費用は、次のとおりです。
| 修繕場所 | 修繕経験者の割合 | 累計修繕費の平均 |
|---|---|---|
| 外壁 | 69.1% | 177.6万円 |
| トイレ | 63.8% | 37.1万円 |
| 給湯器 | 61.1% | 46.5万円 |
| 屋根 | 59.8% | 124.4万円 |
| お風呂 | 49.7% | 98.2万円 |
| キッチン | 39.2% | 98.9万円 |
※修繕経験者の割合は調査回答者全体に対する割合です。修繕費は各場所を修繕した人の累計平均であり、1回の工事費用ではありません。
外壁や屋根は、住宅を雨風や日差しから守る役割を担っています。日常生活で目に入りにくい部分もありますが、建物を長く使うためには、その状態を定期的に確かめておきたいところです。
一方、トイレや給湯器などの住宅設備は、毎日の暮らしに直結します。
例えば、給湯器に不具合が生じれば、お湯が使えなくなることもあります。外壁工事のように事前に計画しやすい修繕だけでなく、設備の故障によって急な出費が必要になる場合もあるでしょう。
今回の調査では、初めて修繕したときの平均築年数も示されています。
外壁と給湯器は17.6年、屋根は20.1年、トイレは21.2年でした。
これらは実際に修繕を経験した人の平均であり、すべての住宅で同じ時期に工事が必要になるわけではありません。建物の状態や設備の使用状況、メーカーが案内する点検・交換の目安なども踏まえた判断が必要です。
住宅のメンテナンスを考えるときは、単に築年数だけで判断するのではなく、それぞれの場所の状態を確認することが大切です。
修繕費を積み立てていない人は91.1%|費用はどう工面している?
マンションを購入する場合は、管理費とは別に修繕積立金を毎月支払うケースが一般的です。
一方、一戸建てでは、分譲マンションのように管理組合が修繕積立金を集める仕組みは通常ありません。修繕の時期や工事内容、費用の準備は、基本的に所有者自身で考えていくことになります。
今回の調査で、自宅の修繕費を毎月積み立てているか尋ねたところ、「いいえ」と答えた人は91.1%でした。
つまり、回答者の約9割が、修繕費を毎月決まった形では積み立てていないことになります。
さらに、積み立てていない人に修繕費をどこから捻出したか、または捻出する予定かを聞いたところ、最も多かったのは「日常の生活費の中から捻出」で45.9%でした。
ほかにも、投資・資産の売却や退職金などを充てた、あるいは充てる予定とする回答が見られます。
もちろん、毎月積み立てていなくても、十分な預貯金があり、必要な修繕費を無理なく支払える家庭もあるでしょう。
ただ、住宅ローンの返済や教育費、日常生活の支出が重なる時期に、まとまった修繕費が発生すると、家計への負担が大きくなる可能性があります。
例えば、外壁や屋根の工事に加えて給湯器の交換が必要になれば、一度に複数の支出が重なることも考えられます。
住宅購入後の暮らしを考える際には、毎月のローン返済額だけでなく、こうした将来の支出にも少し余裕を持たせておくと安心です。
積立額に一律の正解があるわけではありません。家計の状況や建物の仕様、今後の修繕予定などを踏まえながら、無理なく続けられる備え方を考えたいところです。
修繕費の高騰や資材不足で工事を見送る人も
近年は、住宅の建築費だけでなく、リフォームや修繕にかかる費用も気になるところです。
今回の調査では、昨今の住宅修繕費の相場について「非常に高いと感じる」と答えた人が43.7%、「やや高いと感じる」が34.4%となりました。
両者を合わせると78.1%。回答者のおよそ8割が、現在の修繕費の相場を高いと感じています。
また、修繕費の高騰や資材不足によって、修繕のタイミングや工事内容に影響があった人は33.2%でした。
影響を受けた人にその内容を尋ねたところ、最も多かったのは「見送った」で46.3%。次いで「内容・グレードを下げた」が32.3%、「予定していたスケジュールが遅れた」が26.6%となっています。
工事をしたいと思っていても、見積金額が想定より高かったり、設備や資材の手配に時間がかかったりして、予定を変更せざるを得ない場合があることがうかがえます。
ただし、修繕を先延ばしにしてよいかどうかは、建物の状態によって異なります。
例えば、見た目を整えるための工事であれば時期を調整できる場合がありますが、雨漏りや配管からの漏水などは、対応が遅れることで被害が広がるおそれもあります。
費用が心配なときほど、すべての工事を一度に行う必要があるのか、先に対応すべき場所はどこなのか、専門業者と相談しながら判断することが望ましいでしょう。
住宅購入時に知っておきたかったのは、修繕費の相場と補助金制度
今回の調査で興味深いのが、住宅購入時に不動産会社から受けた説明に関する結果です。
新築一戸建てを購入した際、修繕について不動産会社から説明を受けたか尋ねたところ、81.7%が「いいえ」と回答しました。
さらに、説明を受けていなかった人に、どのようなことを知りたかったか質問したところ、次の結果となっています。
最も多かったのは「補助金制度について」と「修繕費用の目安・相場について」で、いずれも26.2%でした。
続いて「建物の経年劣化について」が23.3%、「設備の経年劣化について」が22.5%となっています。
今回の調査対象は、すでに30年以上住んでいる人たちです。そのため、この数字だけで現在の住宅購入時の説明状況を判断することはできません。
それでも、住宅を長く所有してきた人が振り返ったとき、購入前に修繕費や建物の劣化について知っておきたかったと感じている点は、これから住宅を購入する方にも参考になるでしょう。
住宅購入では、物件価格や住宅ローンの返済額、固定資産税などを確認する機会があります。
そこに、外壁や屋根のメンテナンス、住宅設備の交換、将来のリフォームといった視点も加えることで、購入後の暮らしをより具体的に考えられます。
住まいは購入して終わりではありません。長く暮らすことを前提に、気になる点を購入前に確認しておきたいものです。
新築戸建・中古戸建を購入する前に考えておきたい修繕費
一戸建ての修繕費について考える際、新築住宅と中古住宅では確認したい内容が少し異なります。
新築戸建を購入する場合は、建物の保証内容や定期点検の仕組み、今後のメンテナンス計画などを確認しておくとよいでしょう。
新築だからといって、将来にわたって修繕費がかからないわけではありません。
外壁材や屋根材、給湯器などの設備には、それぞれ異なる特徴があります。住宅の仕様によって、必要となる点検やメンテナンスの内容も変わってきます。
特に、長期優良住宅の認定を受けた住宅では、認定された維持保全計画に基づく点検・補修や、その記録の作成・保存が求められます。
購入時には、施工会社や売主がどのような点検やアフターサービスを行っているのか、その範囲と条件を確認しておくと安心です。
一方、中古戸建では、これまでにどのような修繕が行われてきたかが大切な判断材料になります。
例えば、築20年の中古戸建であっても、外壁や屋根のメンテナンスがすでに行われている住宅と、長期間修繕されていない住宅では、購入後に必要となる費用が異なる可能性があります。
内装がきれいにリフォームされていても、屋根や外壁、給排水設備まで更新されているとは限りません。
購入を検討する際には、リフォーム済みという表示だけで判断せず、実際にどのような工事が行われたのか、工事履歴や建物の状態を確認しておきたいところです。
国土交通省も、新築時の図面や建築確認に関する書類、点検結果、リフォームの記録などを「住宅履歴情報」として位置づけ、その活用を案内しています。
こうした情報が残されていれば、建物の状況を把握する手掛かりになります。
必要に応じて、建築士などの専門家による建物状況調査(ホームインスペクション)を検討することも選択肢の一つです。ただし、調査には対象範囲や確認できる内容に限界があるため、すべての不具合を把握できるわけではありません。
新築・中古のどちらを選ぶ場合でも、住宅ローンの返済だけで家計をいっぱいにするのではなく、将来の修繕費も見据えた資金計画を考えておくことが大切です。
修繕工事を依頼するときは、見積内容と業者の対応を確認
住宅の修繕は、頻繁に経験するものではありません。
特に外壁や屋根の工事は、一般の方には工事内容や費用の妥当性が分かりにくく、どの会社に依頼すればよいのか迷うこともあるでしょう。
今回の調査では、自宅を修繕する際、不動産会社や施工会社に見積もりを依頼した人は59.4%でした。
見積もりを依頼した会社数は平均1.8社。複数社に見積もりを依頼する人がいる一方、必ずしも多くの会社を比較しているわけではないことが分かります。
工事を依頼した会社の決め手として最も多かったのは、「対応が丁寧・誠実だったから」で30.1%でした。
次いで「知人からの紹介があったから」が23.8%、「購入時にやり取りした会社だったから」が20.1%となっています。
修繕工事では、金額だけでなく、担当者が工事内容を分かりやすく説明してくれるか、質問にきちんと答えてくれるかといった点も、依頼先を選ぶ判断材料になっているようです。
実際に見積書を比較する場合には、合計金額だけでなく、工事の範囲や使用する材料、施工方法、追加費用が生じる条件なども確認しておくとよいでしょう。
同じ外壁塗装という名称でも、下地補修や付帯部分の工事が含まれているかによって、見積内容が異なる場合があります。
また、工事が必要な理由について納得できない場合は、すぐに契約せず、別の会社にも相談する方法があります。
国民生活センターでは、突然訪問して屋根などの不具合を指摘し、工事契約を勧める点検商法について注意を呼びかけています。
必要な修繕まで避ける必要はありませんが、不安をあおられて契約を急がされる場合には、慎重に対応したいところです。
なお、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが運営する「住まいるダイヤル」では、リフォーム工事の契約前の見積書について相談できるサービスも設けられています。対象となる工事や利用条件があるため、必要に応じて確認するとよいでしょう。
住宅の修繕やリフォームで利用できる補助制度はある?
修繕費の負担を考えるうえで、補助金や支援制度の存在も気になるところです。
2026年には、住宅の省エネルギー化を支援する「住宅省エネ2026キャンペーン」が実施されており、既存住宅のリフォームも対象となる補助事業が設けられています。
主な事業には、「みらいエコ住宅2026事業」「先進的窓リノベ2026事業」「給湯省エネ2026事業」などがあります。
例えば、対象となる窓の断熱改修や高効率給湯器への交換では、一定の条件を満たすことによって補助を受けられる場合があります。
ただし、住宅の修繕工事であれば何でも補助金を利用できるわけではありません。
一般的な外壁塗装や屋根の修繕を行うだけでは、これらの制度の補助対象にならない場合があります。また、制度ごとに対象住宅や工事内容、申請方法などの条件も異なります。
補助金には予算や申請期限が設けられているため、工事を検討する時点で受付状況を確認する必要があります。
住宅の所在地によっては、自治体独自の支援制度が用意されている場合もありますので、千葉市や市原市など、住まいのある自治体の情報も確認するとよいでしょう。
補助金を利用できるかどうかだけで工事を決めるのではなく、まずは住宅の状態を把握し、必要な工事と費用を考えることが基本になります。
まとめ|住宅購入は将来の修繕費も含めて考えたい
アットホームが公表した「一戸建て修繕の実態調査2026」では、新築一戸建てを購入して30年以上住んでいる人の修繕費が、累計平均554.0万円という結果になりました。
外壁や屋根だけでなく、トイレや給湯器などの住宅設備にも修繕費がかかっており、長く住み続けるには、さまざまな場所のメンテナンスが必要になることが分かります。
また、修繕費を毎月積み立てていない人が91.1%に上ったことも、今回の調査で注目したい点です。
もちろん、すべての住宅で同じ金額が必要になるわけではなく、修繕の時期や内容も建物によって異なります。今回の平均額だけを見て、過度に心配する必要はないでしょう。
大切なのは、住宅を購入する段階から、将来の維持費についても少しずつ考えておくことです。
住宅ローンの返済額に加えて、固定資産税や火災保険、住宅設備の交換費用なども踏まえることで、購入後の暮らしをより具体的にイメージできます。
新築戸建でも中古戸建でも、購入時の価格だけに目を向けるのではなく、長く無理なく住み続けられるかどうか。
そんな視点を持って住まいを選ぶことが、将来の安心につながるのではないでしょうか。
参考情報
確認日:2026年10月11日
アットホーム株式会社「一戸建て修繕の実態調査2026」
URL:https://www.athome.co.jp/corporate/news/data/questionnaire/kodate-shuuzen-202609/
国土交通省「住宅履歴情報とは」
URL:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk4_000001.html
一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームガイドブック(令和8年度版)」
URL:https://www.j-reform.com/publish/book_guidebook.html
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「リフォームの見積書に関する相談」
URL:https://www.chord.or.jp/reform/index.html
独立行政法人国民生活センター「訪問販売によるリフォーム工事・点検商法」
URL:https://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/reformtenken.html
住宅省エネ2026キャンペーン公式サイト「キャンペーンについて(リフォーム)」
URL:https://jutaku-shoene2026.mlit.go.jp/about/reform.html
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