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2027年4月1日から、犯罪収益移転防止法施行規則の改正により、不動産売買などで行われる本人確認の方法が変更されます。

今回の改正では、対面でマイナンバーカードや運転免許証などを使用する場合、原則としてICチップの情報を読み取り、書類に記載された内容と照合する方法が導入されます。非対面での本人確認についても、一部の方法が廃止され、新しい基準に対応することになります。

これまで不動産会社から運転免許証などの提示を求められた経験がある方は、「今後はマイナンバーカードが必要になるのか」「本人確認のために新しく準備するものがあるのか」と気になるかもしれません。

改正後も運転免許証などは利用でき、ICチップ付きの本人確認書類を持っていない方に対応する方法も設けられています。

今回は、犯罪収益移転防止法施行規則の改正内容を確認しながら、不動産の購入・売却にどのような影響があるのか、具体的な本人確認方法や事前に確認しておきたいことを解説します。

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2027年4月1日から本人確認の方法が変わります

犯罪収益移転防止法は、犯罪によって得られた資金の移転や、マネー・ローンダリング(資金洗浄)などを防ぐための法律です。

金融機関をはじめ、不動産会社など一定の事業者に対しても、対象となる取引を行う際の本人確認や記録の作成・保存などを義務付けています。

近年は、本人確認書類の偽造・改ざんによるなりすましが問題となっており、本人確認方法の見直しが進められてきました。

2025年6月には非対面での本人確認方法を見直す施行規則の改正が公布され、続く2026年3月には対面での確認方法についても改正が行われています。

これらの改正は、いずれも2027年4月1日に施行される予定です。

主な変更点は、本人確認書類の券面を確認するだけの方法を見直し、ICチップ情報などを利用して書類の真正性を確かめる仕組みを強化することです。

ICチップには、氏名や住所、生年月日、顔写真などの情報が記録されています。書類の表面に記載された情報と照合することで、偽造された身分証明書を使ったなりすましを防ぐ狙いがあります。

また、非対面で従来利用されてきた、本人の顔と本人確認書類を撮影して画像を送信する方法なども廃止されます。

本人確認の仕組みが変わるため、不動産会社などの事業者側では、ICチップの読み取りに対応する機器やアプリの準備、確認手順の見直しが必要になります。

不動産の購入・売却でも本人確認が必要です

不動産会社が売買契約の際に本人確認を行うのは、契約書の作成や登記手続きのためだけではありません。

宅地建物取引業者は、犯罪収益移転防止法に定める「特定事業者」に該当しており、土地・建物の売買契約の締結や、その代理・媒介を行う取引では、法律に基づく「取引時確認」が必要になります。

例えば、個人が中古マンションを購入する場合や、所有している戸建を不動産会社の仲介によって売却する場合にも関係する制度です。

個人の取引時確認では、氏名・住所・生年月日といった本人を特定するための情報に加え、取引の目的や職業などを確認します。

このうち、今回見直されるのが、氏名・住所・生年月日を確認するための具体的な方法です。

これまでは、運転免許証などの顔写真付き本人確認書類の原本を提示し、不動産会社が券面の情報を確認する方法が認められていました。

しかし、2027年4月からは、ICチップ付きの顔写真付き本人確認書類を利用する場合、書類の提示に加えてICチップ情報の読み取りが基本となります。

不動産を購入する方だけでなく、売却する方も対象になるため、売買契約を予定している場合は、事前に利用可能な本人確認書類を確認しておくと安心です。

なお、住宅ローンを利用する際には、金融機関でも別途本人確認が行われます。不動産会社と金融機関では採用する確認方法が異なる場合があるため、それぞれの案内に沿って手続きを進めることになります。

対面での本人確認はICチップの読み取りが基本になります

今回の改正で大きく変わるのが、対面での本人確認です。

例えば、住宅の購入を検討している方が不動産会社を訪れ、運転免許証を提示する場面を考えてみましょう。

従来は、担当者が免許証の顔写真や氏名、住所などを目視で確認する方法が一般的でした。

改正後は、ICチップ付きの運転免許証を使用する場合、書類の提示に加え、ICチップに記録された情報を読み取る手順が必要になります。

主に利用できるICチップ付きの本人確認書類には、次のようなものがあります。

  • マイナンバーカード
  • 運転免許証
  • 在留カード
  • 特別永住者証明書
  • パスポート(旅券)

いずれも、法令で定められた要件を満たす書類であることが前提です。パスポートについては発行時期によって住所の記載状況が異なり、追加の書類が必要になる場合もあります。

ICチップの読み取りは、専用の読取機器や、対応するスマートフォンのアプリなどを使って行います。

例えば、デジタル庁が提供する「マイナンバーカード対面確認アプリ」では、スマートフォンを使ってカードのICチップ情報を読み取り、券面の記載内容と照合できます。

ただし、このアプリは運転免許証の読み取りには対応していません。どの書類を利用できるかは、不動産会社が導入する機器や確認方法によって異なります。

また、マイナンバーカードを使った本人確認は、12桁の個人番号そのものを不動産会社に知らせるための手続きではありません。氏名や住所など、本人確認に必要な情報を確認するためのものです。

住所変更をしている場合にも、少し注意が必要です。

例えば、運転免許証の裏面に新しい住所が記載されている一方、ICチップには以前の住所が記録されている場合があります。

警察庁のQ&Aでは、このような場合について、券面に記載された新住所や、ICチップと券面の旧住所が一致することなどを確認する方法が示されています。

住所を変更したばかりの方は、本人確認書類の記載内容を事前に確認し、不動産会社へ伝えておくと手続きが進めやすくなります。

非対面での本人確認も方法が見直されます

不動産売買では、買主と売主が同じ場所に集まらず、郵送やオンラインを利用して手続きを進めることがあります。

例えば、市原市に所有する実家を売却したいものの、現在は県外に住んでいるというケースです。

売主が遠方にいる場合、これまでは本人確認書類の画像やコピーを利用する方法が採用されることもありました。

今回の改正では、こうした非対面での本人確認方法についても見直しが行われます。

特に、本人の顔と本人確認書類を撮影して画像を送信する従来の方法や、本人確認書類の写しと転送不要郵便を組み合わせる一部の方法などが廃止されます。

これは、画像や書類のコピーだけでは、精巧に偽造された本人確認書類を見分けることが難しいという課題に対応するものです。

一方、改正後も非対面で本人確認を行う方法は用意されています。

例えば、本人確認書類のICチップ情報を専用のソフトウェアで送信する方法や、公的個人認証による方法などが認められています。

また、住民票の写しなど、偽造・改ざん対策が施された一定の本人確認書類の原本を送付し、取引関係文書を転送不要郵便で送る方法も残されています。

ただし、利用できる書類や必要な手続きは確認方法ごとに定められています。本人確認書類のコピーを郵送すれば、従来と同じように手続きが完了するとは考えず、不動産会社に確認しておきたいところです。

遠方から不動産を売却する場合には、売買契約の進め方と併せて、本人確認の方法も早めに相談しておくとよいでしょう。

マイナンバーカードを持っていない場合はどうなる?

2027年4月からICチップを利用した本人確認が基本になると聞くと、マイナンバーカードを持っていない方は不安に感じるかもしれません。

しかし、今回の改正によって、すべての方にマイナンバーカードの取得が義務付けられるわけではありません。

ICチップ付きの運転免許証など、法令で認められた他の本人確認書類を使用する方法もあります。

また、ICチップ付きの本人確認書類を持っていない方については、書類の種類に応じた別の確認方法が設けられています。

例えば、住民票の写しなど、一定の偽造・改ざん対策が施された本人確認書類を提示し、記載された住所へ取引関係文書を転送不要郵便で送る方法が認められています。

ICチップを搭載していない顔写真付き本人確認書類についても、所定の条件を満たせば、郵送による確認を組み合わせることが可能です。

ただし、不動産会社には、法令で認められているすべての本人確認方法に対応する義務があるわけではありません。

そのため、マイナンバーカードを持っていない場合や、運転免許証以外の書類を使用したい場合には、事前に不動産会社へ確認することをおすすめします。

代理人や法人名義で取引する場合にも、確認が必要です。

例えば、高齢の親に代わって子どもが売買手続きを進める場合には、本人だけでなく、代理人についても法律に基づく確認が求められます。代理権限についても確認が必要になるため、委任状などの準備について早めに相談しておくと安心です。

法人名義で不動産を購入・売却する場合には、法人の名称や所在地のほか、実際に取引を担当する代表者等についても確認が行われます。

こうした取引では、個人同士の売買とは必要書類や確認手順が異なるため、事前の打ち合わせが役立ちます。

不動産の購入・売却前に確認しておきたいこと

今回の改正によって、不動産を購入・売却する方が特別な機器を用意しなければならないということではありません。

ICチップの読み取りに必要な機器やアプリは、本人確認を実施する不動産会社などが、採用する方法に応じて準備するものです。

お客様の側では、契約前に利用できる本人確認書類を確認し、必要な書類をそろえておくことが基本になります。

例えば、新築戸建の購入を予定している方であれば、不動産会社へ事前に本人確認書類の種類を伝えておくとよいでしょう。

運転免許証を使う場合には、有効期限や住所の記載内容も確認しておきたいところです。

中古マンションの売却を予定している方も同様です。特に、登記上の住所と現在の住所が異なる場合には、本人確認とは別に、所有権移転登記などで住所の変更を確認する書類が必要になることもあります。

本人確認のための書類と、登記手続きで必要になる書類は目的が異なるため、それぞれを確認しておくと準備がスムーズです。

また、遠方からの売却などで郵送による本人確認を予定している場合には、書類の準備に加え、郵便物の送付や受け取りに必要な日数も考慮する必要があります。

売買契約の直前になって必要書類が不足していることに気付くと、手続きの日程に影響する可能性もあります。購入・売却の相談を始める段階で、本人確認の方法についても確認しておくと安心です。

なお、2027年4月の施行前に適切な取引時確認を済ませた顧客については、警察庁のQ&Aで、一定の条件の下で既存の確認記録を利用できることが示されています。

制度の施行を理由に、過去に本人確認を受けた方全員が改めて手続きを行うものではありません。再確認の要否は、過去の確認状況や今回の取引内容を踏まえて判断されます。

本人確認方法の変更について知っておきたいこと

2027年4月1日から施行される犯罪収益移転防止法施行規則の改正では、対面・非対面の両方で本人確認方法が見直されます。

対面では、マイナンバーカードや運転免許証など、ICチップ付きの顔写真付き本人確認書類を提示する場合に、ICチップ情報の読み取りが基本となります。

非対面についても、本人確認書類の画像送信などによる従来の一部の方法が廃止され、ICチップ情報や公的個人認証を利用する確認方法などが中心になります。

一方、マイナンバーカード以外の書類を使う方法や、ICチップ付き書類がない方に対応する方法も用意されています。

不動産売買では、本人確認のほかにも、物件調査、売買契約、住宅ローン、登記手続きなど、さまざまな確認や準備が必要になります。

今回の制度変更についても、事前に不動産会社と確認方法を相談しておけば、落ち着いて手続きを進められるはずです。

本人確認の強化は、なりすましや偽造書類による不正な取引を防ぎ、安全な不動産取引につなげるための取組です。

これから不動産の購入・売却を予定している方は、2027年4月から本人確認の方法が変わることを知っておき、契約時には不動産会社の案内に沿って準備を進めてください。

参考情報

確認日:2026年10月14日

警察庁「犯罪収益移転防止に関する年次報告書(令和7年)」
URL:https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/data/jafic_2025.pdf

警察庁「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の改正に係るQ&A」
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/260306qa.pdf

国土交通省「不動産業におけるマネー・ローンダリング対策(犯罪収益移転防止法)」
URL:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000025.html

国土交通省「不動産業におけるマネーロンダリング対策の徹底について【犯収法に基づく本人確認方法の変更等について】」
URL:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/002006056.pdf

デジタル庁「マイナンバーカード対面確認アプリ」
URL:https://services.digital.go.jp/mynumbercard-check-app/

e-Gov法令検索「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」
URL:https://laws.e-gov.go.jp/law/420M60000F5A001

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      千葉県市原市出身/在住。法政大学文学部史学科卒。 賃貸仲介を経て、2015年より不動産売買仲介に従事しています。 城南・城西エリア、横浜市、川崎市、熱海市、湯河原町を中心に一都三県で、約400件の購入・売却のお手伝いをさせていただきました。購入・売却・住宅ローンなど、不動産に関するご相談に、わかりやすく丁寧にお応えします。
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