2026年版|賃貸の仲介手数料はいくら?上限・相場・初期費用で確認したいポイント
賃貸住宅を借りるとき、初期費用の明細を見て「思ったより高い」と感じる方は少なくありません。
敷金、礼金、前家賃、保証会社保証料、火災保険料、鍵交換費、退去時クリーニング費用など、さまざまな費用が並ぶ中で、特に目に入りやすいのが「仲介手数料」です。
仲介手数料が「家賃1ヶ月分+税」と書かれていると、
「これは普通なの?」
「0.5ヶ月分ではないの?」
「無料の物件もあるのに、なぜこの物件はかかるの?」
と疑問に思うこともあるでしょう。
賃貸の仲介手数料には、法律に基づく上限があります。
ただし、実際の初期費用明細では、0.5ヶ月分、1ヶ月分、無料など、さまざまな表示が見られます。
この記事では、賃貸の仲介手数料の上限、実務上の相場、無料・半額になる理由、初期費用全体で確認したいポイントをわかりやすく解説します。
はじめに|賃貸の初期費用で「仲介手数料」が気になる方へ
賃貸住宅を借りるとき、毎月の家賃だけでなく、契約時にまとまった初期費用が必要になります。
たとえば、家賃8万円の部屋を借りる場合でも、初期費用は家賃の4ヶ月分から6ヶ月分程度になることがあります。
その中で、仲介手数料が家賃1ヶ月分+税となると、それだけで大きな金額です。
「できれば安くしたい」と考えるのは自然なことです。
ただ、仲介手数料は、単に不動産会社が上乗せしている費用ではありません。
物件紹介、内見、申込、入居審査、重要事項説明、契約書類の準備など、賃貸借契約を成立させるための業務に対する報酬です。
一方で、宅地建物取引業者が受け取れる報酬には上限があります。
そのため、借りる側としては、「いくらまで請求される可能性があるのか」「承諾の有無はどう関係するのか」「初期費用全体で見て妥当か」を確認しておくことが大切です。
賃貸の仲介手数料とは
賃貸の仲介手数料とは、不動産会社が貸主と借主の間に入り、賃貸借契約の成立をサポートしたことに対して受け取る報酬です。
借主側から見ると、不動産会社は次のような業務を行います。
・希望条件に合う物件の紹介
・内見日程の調整
・申込手続きの案内
・入居審査に関する連絡
・保証会社や管理会社とのやり取り
・重要事項説明
・契約書類の準備
・契約金の案内
・鍵の引渡しに向けた調整
もちろん、すべての物件で業務内容がまったく同じとは限りません。
オンライン内見や電子契約が進み、以前より手続きが簡略化されている部分もあります。
それでも、物件を探すところから契約成立までには、確認・説明・調整が多く発生します。
仲介手数料は、その仲介業務に対する報酬です。
仲介手数料の上限はどう決まっている?
仲介手数料は、不動産会社が自由にいくらでも請求できるものではありません。
宅地建物取引業法第46条では、宅地建物取引業者が受け取る報酬について、国土交通大臣が定める額を超えて受け取ってはならないとされています。
賃貸借取引の仲介手数料も、この報酬額のルールに基づいて上限が定められています。
貸主・借主双方から受け取れる合計額の上限
賃貸借取引では、不動産会社が貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計額について、上限があります。
原則として、貸主・借主双方から受け取れる仲介手数料の合計額は、税込で「1ヶ月分の賃料×1.1倍以内」とされています。
たとえば、月額賃料が8万円の場合、貸主と借主の双方から受け取れる仲介手数料の合計は、税込で8万8,000円以内という考え方です。
ここでいう「合計額」という点が大切です。
借主から1ヶ月分+税を受け取り、さらに貸主からも同じように受け取れる、という意味ではありません。
居住用建物では0.55ヶ月分が原則になる
居住用建物の賃貸借では、さらに一方の依頼者から受け取れる仲介手数料についてもルールがあります。
居住用建物の場合、依頼者の一方から受け取れる仲介手数料は、税込で「1ヶ月分の賃料×0.55倍以内」が原則です。
たとえば、月額賃料が8万円の場合、借主一方から受け取れる仲介手数料は、原則として税込4万4,000円以内ということになります。
このため、「居住用賃貸の仲介手数料は0.5ヶ月分が原則」と説明されることがあります。
ただし、実務では「家賃1ヶ月分+税」と表示されている物件も多くあります。
ここには、次の「承諾」が関係します。
承諾がある場合に1ヶ月分になることがある
居住用建物でも、仲介の依頼を受けるにあたり、依頼者の承諾を得ている場合は、借主から1ヶ月分相当の仲介手数料が請求されるケースがあります。
たとえば、借主が仲介手数料1ヶ月分+税を支払うことを承諾している場合です。
ただし、この場合でも、貸主・借主双方から受け取れる合計額の上限を超えてよいわけではありません。
そのため、初期費用明細で「仲介手数料1ヶ月分+税」となっている場合は、契約前にその内容を確認し、納得したうえで進めることが大切です。
「1ヶ月分だから必ず違法」と決めつけるのも、「書いてあるから何でもよい」と考えるのも、どちらも少し乱暴です。
承諾の有無、金額、説明内容を確認しましょう。
実務上の相場は0.5ヶ月分〜1ヶ月分+税が多い
賃貸の仲介手数料は、実務上、家賃0.5ヶ月分+税から1ヶ月分+税の範囲で表示されることが多くあります。
物件や不動産会社によっては、仲介手数料無料、半額、定額などの表示も見られます。
「家賃1ヶ月分+税」と書かれているケース
初期費用明細や物件広告に「仲介手数料:賃料1ヶ月分+税」と書かれていることがあります。
この場合、借主がその金額を承諾する前提で案内されていることがあります。
確認したいのは、次の点です。
・仲介手数料の金額はいくらか
・計算の基準は賃料のみか
・共益費や管理費が含まれていないか
・契約前に説明を受けているか
・初期費用総額はいくらか
家賃1ヶ月分+税だからといって、すぐに問題があるとは限りません。
ただし、金額が大きい費用なので、明細の段階でしっかり確認しておきましょう。
「0.5ヶ月分+税」「無料」と書かれているケース
一方で、仲介手数料が0.5ヶ月分+税、または無料と表示されている物件もあります。
このような物件は、借主側の初期費用を抑えやすい場合があります。
ただし、仲介手数料が安いからといって、必ず総額が安くなるとは限りません。
たとえば、礼金が高い、保証会社保証料が高い、室内消毒費や24時間サポート費用などの付帯費用が多い場合、初期費用全体ではそれほど安くならないこともあります。
仲介手数料だけで判断せず、初期費用の総額で比較することが大切です。
共益費・管理費は計算に含まれるのか
仲介手数料の計算では、一般的に「賃料」が基準になります。
共益費や管理費は、月々の支払いとしては家賃と一緒に支払うことが多いものの、仲介手数料の計算上は別に扱われることが多い項目です。
ただし、物件広告や初期費用明細の表示では、賃料、共益費、管理費、その他月額費用が並んで記載されています。
そのため、仲介手数料が何を基準に計算されているのかは、契約前に確認しましょう。
「仲介手数料は賃料の何ヶ月分ですか」
「共益費や管理費は計算に含まれていますか」
「税込でいくらになりますか」
このように聞くと、明細の内容を確認しやすくなります。
仲介手数料は何のために支払う費用?
仲介手数料を確認するとき、「高いか安いか」だけに目が向きがちです。
ただ、仲介手数料は、賃貸借契約の成立に向けたさまざまな業務の対価です。
物件紹介・内見・申込手続き
不動産会社は、借主の希望条件を聞き、条件に合う物件を紹介します。
また、内見日程を調整し、現地案内を行うこともあります。
気に入った物件が見つかった後は、申込書の記入、必要書類の案内、管理会社への申込連絡などを進めます。
人気物件では、申込のタイミングや必要書類の準備が遅れると、他の申込が入ってしまうこともあります。
このような調整も、仲介業務の一部です。
入居審査・保証会社とのやり取り
賃貸住宅では、申込後に入居審査があります。
貸主や管理会社、保証会社が、申込内容を確認します。
不動産会社は、必要書類の提出、審査状況の確認、追加書類の案内、条件変更があった場合の連絡などを行います。
保証会社を利用する場合は、保証料や更新料、緊急連絡先、連帯保証人の有無なども確認が必要です。
借主にとっては見えにくい部分ですが、契約前には細かなやり取りが発生しています。
重要事項説明・契約書類の準備
賃貸借契約の前には、宅地建物取引士による重要事項説明があります。
重要事項説明では、物件の権利関係、設備、契約条件、解約、更新、原状回復、禁止事項など、借りる前に知っておくべき内容が説明されます。
契約書類の準備や契約金の案内、鍵の引渡しに向けた調整も必要です。
仲介手数料は、こうした契約成立までの一連の業務に対する報酬です。
そのため、単に「物件を紹介しただけの費用」と考えるより、契約手続きを支える費用として理解すると、見え方が少し変わります。
仲介手数料が無料・半額になることがある理由
賃貸物件の中には、仲介手数料無料や半額のものがあります。
同じ賃貸物件なのに、なぜ仲介手数料に違いが出るのでしょうか。
貸主物件は仲介手数料がかからない場合がある
不動産会社が貸主として直接募集している物件では、仲介が入らないため、借主から仲介手数料がかからない場合があります。
このような物件では、物件広告に「貸主」「仲介手数料不要」などと表示されることがあります。
ただし、仲介手数料がかからない場合でも、敷金、礼金、保証会社保証料、火災保険料、鍵交換費など、その他の初期費用は別に必要になることがあります。
貸主物件だから必ず総額が安い、というわけではありません。
貸主が広告料を負担している物件もある
賃貸物件では、貸主側が広告料、いわゆるADを負担している場合があります。
このような物件では、不動産会社が貸主側から報酬を受け取れるため、借主側の仲介手数料を無料や半額にできるケースがあります。
ただし、広告料の有無や金額は物件ごとに異なります。
借主側から見える情報だけではわからないことも多いため、「なぜ無料なのか」を細かく追いかけるより、初期費用全体と契約条件を確認する方が実務的です。
キャンペーンや自社集客で抑えている会社もある
不動産会社によっては、キャンペーンや自社集客の工夫により、仲介手数料を抑えている場合もあります。
インターネット集客や業務効率化により、借主側の手数料を半額・無料にする会社もあります。
ただし、仲介手数料が安い場合でも、サポート内容、契約条件、初期費用の内訳は確認した方が安心です。
安さだけでなく、説明がわかりやすいか、質問にきちんと答えてくれるか、契約前に不明点を確認できるかも大切です。
仲介手数料だけで判断しない方がよい理由
賃貸住宅を探すとき、仲介手数料無料や半額は魅力的に見えます。
初期費用を抑えたい方にとって、数万円単位の違いは大きいものです。
ただし、仲介手数料だけで物件を選ぶと、他の費用や契約条件を見落としてしまうことがあります。
敷金・礼金・保証料・鍵交換費も含めて見る
賃貸契約の初期費用には、仲介手数料以外にも多くの項目があります。
たとえば、次のような費用です。
・敷金
・礼金
・前家賃
・日割り家賃
・共益費、管理費
・保証会社保証料
・火災保険料
・鍵交換費
・室内消毒費
・24時間サポート費用
・退去時クリーニング費用
仲介手数料が無料でも、礼金が高ければ初期費用全体は高くなることがあります。
反対に、仲介手数料が1ヶ月分かかっても、敷金・礼金が抑えられていれば、総額では大きな差がない場合もあります。
比較するときは、「仲介手数料がいくらか」だけでなく、「契約時に合計いくら必要か」を見ることが大切です。
「仲介手数料無料」でも総額が安いとは限らない
仲介手数料無料という表示はわかりやすく、目を引きます。
ただ、無料という言葉だけで判断するのは少し危険です。
たとえば、別名目の費用が多く設定されている場合があります。
室内消毒費、抗菌施工費、24時間サポート、事務手数料など、物件によってさまざまな費用が初期費用に入ることがあります。
もちろん、必要なサービスもあります。
ただし、加入が必須なのか任意なのか、金額は妥当なのか、何のための費用なのかは確認した方がよいでしょう。
不明な費用は契約前に確認する
初期費用明細を見て、意味がわからない費用があれば、契約前に確認しましょう。
聞き方は難しくありません。
「この費用は何のためのものですか」
「必須ですか、任意ですか」
「契約書のどこに記載されますか」
「退去時にも費用がかかりますか」
「更新時にも必要ですか」
このように確認すると、費用の意味が整理しやすくなります。
賃貸契約では、契約後に「聞いていなかった」と感じると不安が大きくなります。
わからない費用は、申込前・契約前の段階で確認しておくと安心です。
2024年改正で空き家等の報酬特例も設けられています
仲介手数料については、2024年7月1日から、空き家等に関する報酬特例も設けられています。
これは、空き家等の流通を進めるために、一定の物件について、不動産会社が受け取れる報酬の上限に特例を設けるものです。
長期の空家等では貸主側報酬に特例がある
賃貸借取引では、長期の空家等について、貸主から受け取れる仲介手数料の上限に特例があります。
対象になるのは、現に長期間使用されていない、または将来にわたり使用の見込みがない宅地建物などです。
たとえば、長期間空室になっている戸建の空き家や分譲マンションの空き室などが想定されています。
この特例は、空き家等の仲介業務にかかる負担を踏まえて、不動産会社が貸主側から受け取れる報酬について見直したものです。
借主が自由に上乗せ請求されるという意味ではない
この特例について、借主側が誤解しやすい点があります。
空き家等の報酬特例があるからといって、借主に自由に上乗せして仲介手数料を請求できるという意味ではありません。
特例の中心は、長期の空家等について貸主側から受け取れる報酬の上限に関するものです。
借主が支払う仲介手数料については、通常の賃貸借取引のルールや承諾の有無を確認する必要があります。
もし初期費用明細に見慣れない費用が入っている場合は、「この費用は何に基づくものですか」と確認しましょう。
賃貸から購入を考えるときも、初期費用の確認が大切です
賃貸の仲介手数料を調べている方の中には、将来的に住宅購入も考えている方がいるかもしれません。
賃貸と購入では、契約の仕組みも費用の種類も異なります。
ただ、「月々の支払いだけでなく、初期費用全体を見る」という点は共通しています。
賃貸では、仲介手数料、敷金、礼金、保証会社保証料、火災保険料、鍵交換費、退去時クリーニング費用などを確認します。
住宅購入では、物件価格だけでなく、仲介手数料、登記費用、住宅ローン費用、火災保険料、固定資産税等の精算金、管理費・修繕積立金、リフォーム費用などを確認します。
特に住宅購入では、住宅ローンの毎月返済額だけを見ると、賃貸家賃と比較しやすく感じます。
しかし、購入時には諸費用がかかり、購入後も固定資産税や修繕費などが発生します。
一方で、物件によっては、購入時の仲介手数料を抑えられる場合もあります。
賃貸でも購入でも、「何の費用を、いつ、誰に支払うのか」を確認することが、安心して住まいを選ぶための第一歩です。
参考情報
確認日:2026年6月14日
・国土交通省「消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」
・国土交通省「宅地建物取引業法関係」
・国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
・e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」第46条
・国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラム」
・国民生活センター「賃貸住宅の契約に関する相談情報」
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