自民党がマンション短期転売への課税強化を検討|千代田区の5年間転売禁止要請も解説
都市部のマンション価格が高騰するなか、自民党が投機的な短期転売に対する課税強化の検討を進めています。
2026年10月21日には、自民党の住宅土地・都市政策調査会が東京都千代田区の樋口高顕区長らからヒアリングを行い、マンション価格の高騰を抑えるための対策について意見を交わしました。
これに先立ち、国土交通省も2027年度(令和9年度)の税制改正に向けて、投機的な不動産取引を抑制する措置を要望しています。
今回の動きを理解するうえで、最初に区別しておきたいのが、売却益に対する「税制」と、売却そのものを制限する「転売制限」の違いです。
現行の税制では、個人が所有期間5年以下の不動産を売却した場合、原則として課税譲渡所得に39.63%の税率が適用されます。これは売却によって生じた利益に課税する仕組みであり、5年以内の売却を禁止する制度ではありません。
一方、東京都千代田区が2025年7月に不動産業界へ要請したのは、一定の再開発事業などで販売されるマンションについて、引渡し後原則5年間は転売できないよう、売買契約に特約を設けるというものです。
つまり、税制は「売却した場合にどれだけ課税されるか」、転売制限は「契約上、いつから売却できるか」に関わる仕組みです。
また、千代田区の要請は、区内のすべてのマンションを条例などで一律に転売禁止としたものではありません。実際の制限内容は、対象事業や売主事業者が設定する契約条件によって異なります。
さらに、不動産協会も2025年11月、売買契約から引渡しまでの売却活動を禁止する対策を公表しました。こちらは千代田区が求める引渡し後5年間の転売制限とは、対象となる期間が違います。
なお、不動産の売却に伴う税金は、所有期間だけでなく、取得費や譲渡費用、居住用財産の特例などによっても変わります。実際の税額計算や特例の適用については、税務署・税理士等の専門家にご確認ください。
今回は、自民党や国土交通省による課税強化に向けた動きと、千代田区がすでに行っている転売抑制の要請、不動産協会の対応、現行の譲渡所得税制について詳しく解説します。
- 自民党がマンション短期転売への課税強化を検討|2026年10月の動き
- なぜマンションの短期転売が問題になっているのか
- 千代田区が2025年7月にマンション転売の制限を要請した背景
- 千代田区の転売禁止はどのマンションが対象になるのか
- 千代田区が求める「引渡し後5年間の転売禁止」とは
- 同じ名義で複数の住戸を購入することも制限へ
- 不動産協会も転売抑制策を発表|千代田区の要請との違い
- マンションを5年以内に売却した場合の税金は現在どうなっているのか
- 課税強化が実施されるとマンション購入・売却はどう変わるのか
- マンションの購入・売却を検討する際に確認しておきたいこと
- マンション短期転売規制の今後の見通し
- 参考情報
- 辰巳地所のご紹介
- ご相談はこちら
自民党がマンション短期転売への課税強化を検討|2026年10月の動き
2026年10月21日、自民党の住宅土地・都市政策調査会は、都市部のマンション価格高騰への対策を検討するため、千代田区の樋口区長や有識者らからヒアリングを行いました。
会合では、働く世代が住宅を購入しやすい環境を整える必要性が指摘される一方、すでに不動産を所有している人への影響にも配慮すべきだという意見が出ています。
与党内では、所有期間が5年以下の不動産売却に対する税率を、現行の約40%から大幅に引き上げる案も浮上しています。
これに先立ち、国土交通省は2026年8月28日に公表した2027年度の税制改正要望で、「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」を掲げました。
その内容は、都心の大規模マンションを中心とした価格高騰について、実際に住むための購入ではない投機的な取引を抑制する方策を検討し、必要な措置を講じるというものです。
同年9月4日の記者会見では、金子恭之国土交通大臣が、税制上の措置を要望していることを説明し、与党税制調査会などで議論が行われることへの期待を示しました。
このように、国土交通省が税制改正を要望し、自民党を中心とした与党内で具体的な対策を検討する動きが進んでいます。
ただし、2026年10月23日時点で、課税強化の実施は決定していません。新たな税率や対象となる取引、施行時期なども未確定です。
今後の税制改正の議論を通じて、具体的な制度内容が検討されることになります。
なぜマンションの短期転売が問題になっているのか
マンション価格の上昇には、土地の取得費や建築資材、人件費の高騰、新築マンションの供給戸数など、さまざまな要因が関係しています。
その一方で、都市部では新築マンションを購入し、短期間で売却する取引が増えていることも指摘されてきました。
国土交通省は2026年9月15日、不動産登記情報を活用した新築マンションの取引に関する調査結果を公表しています。
この調査では、2024年における東京23区の専有面積40㎡以上の新築マンションについて、短期売買の割合が次のようになっていました。
| マンションの規模 | 短期売買の割合 |
|---|---|
| 大規模マンション | 9.0% |
| 大規模マンション以外 | 2.9% |
※大規模マンションは、1棟当たりの保存登記数が100件以上のもの。短期売買は、保存登記から1年以内に売買による移転登記が行われた取引を指します。
大規模マンションでは、それ以外のマンションと比べて短期売買の割合が高くなっています。
特に東京都心部では、購入希望者が多い物件を取得し、値上がり後の売却によって利益を得ようとする取引が懸念されています。
もっとも、短期間で売却された物件がすべて投機目的で取得されたとは判断できません。転勤や離婚、家庭の事情などによって、購入後間もなく売却するケースもあるためです。
また、国土交通省の調査では、国外に住所がある人による不動産取得についても分析していますが、国外居住者による取得と投機目的の取引は区別して考える必要があります。
マンション価格の高騰を抑えるには、実際の取引状況を把握したうえで、住宅供給や建築費なども含めた対策が求められます。
千代田区が2025年7月にマンション転売の制限を要請した背景
東京都千代田区は、マンションの投機的な取引に対して、早い段階から具体的な対応を求めてきた自治体です。
2025年7月18日、千代田区は一般社団法人不動産協会に対し、「千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請」を行いました。
区が問題視したのは、マンション価格の高騰だけではありません。
短期間での売却を目的とした購入が増えることで、実際に千代田区に住みたいと考えている方が住宅を取得しにくくなり、さらに賃貸住宅の家賃にも影響が及ぶことを懸念しています。
加えて、居住実態のない住戸が増えた場合、マンションの管理組合の運営にも支障が生じかねません。
分譲マンションでは、所有者が管理組合の一員となり、建物の維持管理や修繕計画などについて協議していく仕組みです。
所有者が頻繁に入れ替わったり、実際に居住していない所有者が増えたりすると、総会への参加や管理に関する意思決定にも影響が及びます。
こうした住環境への懸念も、千代田区が転売抑制を求めた背景にあります。
今回の要請では、マンションを販売する事業者に対して、次の2つの対応を求めました。
- 購入者が引渡しを受けてから原則5年間は転売できない特約を設けること
- 同じ建物内で、同一名義による複数住戸の購入を禁止すること
さらに千代田区は、国や東京都に対しても、短期間で転売した場合の譲渡所得税引上げなど、投機的な取引を抑える施策を求める方針を示しました。
2026年10月に国レベルで議論されている課税強化案は、こうした地方自治体の問題提起とも関連する動きです。
千代田区の転売禁止はどのマンションが対象になるのか
千代田区の要請を理解するうえで、特に確認しておきたいのが対象となるマンションの範囲です。
区が2025年7月18日に示した要請では、対象を「総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業及び市街地再開発事業」において販売するマンションとしています。
また、これらの事業については、要請時点でこれから許認可等を受ける事業であることも明記されました。
つまり、千代田区内にあるすべてのマンションを対象にした要請ではありません。
総合設計制度は、一定の条件を満たす建築計画について、公開空地の確保などと引き換えに、容積率や建物の高さに関する制限を緩和する制度です。
一方、市街地再開発事業は、土地や建物を一体的に利用しながら、老朽化した建物の更新や道路・広場などの整備を進める事業を指します。
こうした制度を活用して建設されるマンションは、都市計画や地域のまちづくりとも密接に関わっています。
千代田区は、一定の公共性を伴う再開発等事業で供給される住宅について、実際に居住する人への供給を促したいという考えから、転売を抑制する仕組みを求めています。
そのため、すでに完成している中古マンションや、一般的な建築計画で販売される新築マンションについて、今回の要請を理由に一律の転売制限が設けられるものではありません。
また、対象となる再開発等事業であっても、個々の販売物件でどのような制限が設けられるかは、売主事業者の販売条件によって確認する必要があります。
マンションの購入を検討する際は、所在地だけで判断せず、事業の内容や売買契約書に定められた条件まで確認しておくと安心です。
千代田区が求める「引渡し後5年間の転売禁止」とは
千代田区の要請で最も注目されているのが、購入者がマンションの引渡しを受けてから、原則5年間は転売できないようにする特約です。
通常、不動産を購入して所有権を取得した人は、その不動産を使用したり、売却したりすることができます。
これに対して千代田区は、一定の再開発等事業で販売されるマンションについて、売買契約に転売制限の特約を設けるよう求めました。
例えば、新築マンションを購入して引渡しを受けた後、価格が上昇したことを理由に翌年すぐ売却するような取引を抑えることが目的です。
5年間の起算点は売買契約日ではなく、購入者がマンションの引渡しを受けた日です。
新築マンションでは、売買契約から建物の完成・引渡しまで1年以上かかるケースもあります。そのため、契約日と引渡日を区別して考える必要があります。
また、国税庁が定める短期譲渡所得と長期譲渡所得の区分は、売却した年の1月1日時点の所有期間によって判断します。千代田区が要請した引渡し後5年間の転売制限とは、期間の数え方も異なります。
ここで注意したいのは、千代田区が条例や法律によって一律に5年間の転売を禁止したのではなく、不動産協会を通じて事業者に契約上の特約を求めたという点です。
売主事業者が実際にどのような特約を設けるかによって、購入者が負う契約上の義務も変わります。
また、購入後に転勤や病気、離婚、家族構成の変化などによって、どうしても売却しなければならなくなる場合も考えられます。
転売制限の特約がある物件を購入する際は、こうした事情が生じた場合の対応についても、あらかじめ確認しておきたいところです。
具体的には、売主事業者の承諾によって売却できる仕組みがあるのか、やむを得ない事情による例外が設けられているのか、特約に違反した場合にはどのような責任が生じるのか、といった点が確認事項になります。
特に、住宅ローンを利用して購入する方にとって、将来の売却に制限が設けられることは、住み替えや返済計画にも関係する問題です。
不動産協会も、所有権が購入者に移転した後は、事業者が転売禁止特約の履行を確保することに限界があると説明しています。
引渡し前であれば契約違反による契約解除などが問題になり得ますが、所有権移転後は事業者側で対応できる手段が限られます。
そのため、引渡し後の転売制限については、実際にどのような契約内容となっているかが大きな意味を持ちます。
特約の有無だけでなく、制限期間、例外条件、違反時の取扱いまで、売買契約を締結する前に確認しておきたいところです。
同じ名義で複数の住戸を購入することも制限へ
千代田区が求めたもう一つの対策が、同一建物内で同一名義による複数住戸の購入を禁止することです。
例えば、一人の購入者が同じ新築マンションで複数の部屋を取得し、その後の値上がりを待って売却するような取引を抑える狙いがあります。
購入希望者が多いマンションでは、特定の購入者が複数の住戸を取得することで、実際に居住するために購入したい方の選択肢が狭まる可能性もあります。
こうした状況を踏まえ、千代田区は転売禁止特約と併せて、購入戸数そのものを制限するよう求めました。
ただし、この要請も前述の再開発等事業で販売されるマンションを対象としたものです。
また、不動産協会が後に公表した対策では、購入戸数の上限について、必ずしも1戸に限定せず、物件の特性に応じて複数住戸まで認める運用も想定されています。
実際に購入できる戸数や申込条件については、各マンションの販売概要や売主事業者の案内を確認する必要があります。
不動産協会も転売抑制策を発表|千代田区の要請との違い
千代田区からの要請を受けた一般社団法人不動産協会は、2025年11月25日、分譲マンションの投機的な短期転売を抑えるための取り組みを公表しました。
協会が示した対策は、大きく3つあります。
まず、購入できる住戸数や販売期ごとに登録できる住戸数に上限を設けることです。
次に、購入申込時の名義と、売買契約、引渡し、所有権の登記に用いる名義を一致させるなど、名義の管理を厳格化する方針を示しました。
さらに、売買契約を締結してからマンションの引渡しを受けるまでの期間について、売却活動を禁止する措置も打ち出しています。
これらは一般公募による販売物件を対象とした対策で、具体的な対象エリアや物件、導入時期、購入戸数の上限などは、それぞれの事業者が判断します。
発表時点では、住友不動産、東急不動産、東京建物、野村不動産、阪急阪神不動産、三井不動産、三菱地所、森ビルの8社が、各社の判断で対策を導入することを決定していました。
ここで改めて確認したいのが、千代田区の要請と不動産協会が公表した対策の違いです。
| 項目 | 千代田区の要請 | 不動産協会の対策 |
|---|---|---|
| 転売に関する制限 | 引渡し後原則5年間の転売禁止特約 | 売買契約から引渡しまでの売却活動禁止 |
| 購入戸数 | 同一建物内で同一名義による複数住戸購入を禁止 | 物件に応じて購入・登録戸数に上限を設定 |
| 対象 | 今後許認可等を受ける一定の再開発等事業 | 一般公募の販売物件を対象に各社が判断 |
| 実施方法 | 不動産協会への要請 | 会員企業がそれぞれ導入・運用 |
千代田区が引渡し後の転売を制限するよう求めたのに対して、不動産協会は主に引渡し前の取引段階に着目しています。
その理由の一つが、購入者に所有権が移転した後では、マンションを販売した事業者が転売を制限する手段に限界があるためです。
不動産協会は、財産権への配慮や契約の実効性も踏まえ、販売事業者が対応できる範囲で転売抑制を進める方針を示しました。
なお、協会に加盟するすべての事業者が、全物件に同じ条件を設けるという内容ではありません。
新築マンションを購入する際は、引渡し後の転売制限なのか、引渡し前の売却活動禁止なのか、あるいは両方に関係する条件があるのかを確認しておくとよいでしょう。
マンションを5年以内に売却した場合の税金は現在どうなっているのか
自民党がマンションの短期転売に対する課税強化を検討していますが、現行の税制でも、不動産の所有期間によって売却益に対する税率が異なります。
個人が土地や建物を売却した場合の譲渡所得は、所有期間に応じて短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分されます。
| 所有期間 | 区分 | 税率 |
|---|---|---|
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 39.63% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 20.315% |
※所得税・復興特別所得税・住民税を合計した原則税率です。
短期譲渡所得では、長期譲渡所得と比べて高い税率が適用されます。
ただし、税率がかかるのはマンションの売却価格全体ではありません。
課税対象となる譲渡所得は、原則として売却代金から取得費や譲渡費用を差し引き、適用できる特別控除などを反映して計算します。
取得費には購入代金や購入時の仲介手数料などが含まれますが、建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引く必要があります。
売却時の仲介手数料などは、譲渡費用として計上できる場合があります。
また、自宅として使用していたマンションを売却する場合には、要件を満たすことで居住用財産の3,000万円特別控除などを利用できる可能性もあります。
こうした特例は、居住実態や過去の適用状況、他の税制優遇との関係なども確認したうえで判断する必要があります。
個別の税額計算や特例を利用できるかどうかについては、税務署・税理士等の専門家にご相談ください。 不動産会社による売却価格の査定とは別に、税務上の確認を行っておくと、売却後の資金計画も立てやすくなります。
もう一つ注意したいのが、所有期間の判定方法です。
譲渡所得税の短期・長期の区分は、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかによって判断します。
例えば、2021年10月に取得したマンションを2026年10月に売却した場合、実際には取得から5年程度が経過しています。
しかし、2026年1月1日時点では所有期間が5年以下となるため、原則として短期譲渡所得に該当します。
同じ物件でも、2027年に売却した場合には、2027年1月1日時点で所有期間が5年を超えるため、長期譲渡所得の対象になります。
このように、税務上の所有期間の判定と、千代田区が要請した引渡し後5年間の転売制限では、期間の考え方が異なります。
なお、上記の税率は個人の不動産譲渡所得に関するものです。法人が所有する不動産の売却については、法人税など別の課税関係があるため、同じ税率で計算することはできません。
取得日や譲渡日の判定、必要経費の範囲、法人による売却など、税務上の詳しい取扱いについても、税務署・税理士等への確認が必要です。
課税強化が実施されるとマンション購入・売却はどう変わるのか
今後、自民党などが検討している短期売買への課税強化が実施された場合、短期間での売却によって利益を得ようとする取引には、税負担の増加が影響する可能性があります。
現行税制では、所有期間が5年以下の個人の不動産売却に対して、原則39.63%の税率が適用されています。
仮にこの税率が引き上げられれば、同じ課税譲渡所得でも税引後に残る金額が少なくなります。
そのため、購入後すぐに転売することを前提とした取引には、一定の抑制効果が期待されています。
一方、住宅は投資目的だけで売買されるものではありません。
実際に住むために購入したマンションでも、転勤や家庭の事情によって、短期間で売却せざるを得ない場合があります。
こうした取引まで過度な負担が生じないようにすることも、今後の制度設計における論点の一つです。
また、不動産会社など法人が行う短期売買への対応、すでに所有している不動産の取扱い、税制改正の適用開始時期などについても、具体的な検討が必要になります。
2026年10月23日時点では、新たな税率や対象者、適用される不動産の範囲は確定していません。
今後の改正内容によって税務上の取扱いが変わる可能性もあるため、実際に売却する際は、その時点の制度に基づいて確認することが必要です。
また、課税強化によって短期転売が減少したとしても、そのことだけでマンション価格が大幅に下落すると判断するのは早計です。
新築マンションの価格には土地代や建築費、供給戸数、購入需要なども影響するため、税制改正が市場全体にどのような影響を及ぼすかについては、今後の動向を見ていく必要があります。
マンションの購入・売却を検討する際に確認しておきたいこと
マンションの短期転売規制が話題になると、これから購入する方は、将来売却する際に制限を受けるのではないかと心配になるかもしれません。
今回の千代田区の要請や不動産協会の対策を踏まえると、新築マンションを購入する際には、価格や間取り、立地に加えて、売買契約上の転売制限にも目を向けておきたいところです。
特に新築マンションでは、購入申込時に確認書を提出することもあり、そこに購入目的や名義、売却活動の制限などが記載される場合があります。
売買契約書や重要事項説明書にどのような条件が設けられているかについても、契約前に確認しておく必要があります。
将来、転勤などによって住み替えが必要になったとき、売却に関する特約がどのように扱われるかは、購入時に把握しておきたい事項です。
すでにマンションを所有している方については、過去の売買契約書を確認し、転売制限に関する特約が設けられているかを確認することが出発点になります。
契約条件に不明な点があれば、売主事業者や仲介を担当した不動産会社に問い合わせてみるとよいでしょう。
また、売却を予定している場合には、譲渡所得税の確認も欠かせません。
購入時の売買契約書、購入代金の支払記録、仲介手数料などの領収書、リフォーム費用に関する資料などは、譲渡所得の計算に利用することがあります。
取得から相当の年月が経過している物件では、購入時の資料が見つからないケースもあるため、早めに確認しておくと手続きを進めやすくなります。
税務署や税理士に相談する際は、こうした資料を用意したうえで、所有期間の判定、取得費・譲渡費用の計算、居住用財産の特例の適用などについて確認すると、具体的な相談につながります。
税金に関する最終的な判断は、個別の取引内容や適用される法令に基づいて行う必要があります。税務上の詳細については、税務署・税理士等の専門家にご相談ください。
さらに、転売制限の特約に関する法的な問題や、契約違反時の取扱いについては、必要に応じて弁護士などの専門家に確認することが適切です。
不動産は購入後も長期間にわたって所有する資産です。将来の住み替えや売却についても考えながら、納得できる条件で契約を進めたいものです。
マンション短期転売規制の今後の見通し
マンションの投機的な短期転売を抑える動きは、地方自治体から不動産業界、さらに国の税制改正の議論へと広がっています。
千代田区は2025年7月、一定の再開発等事業で販売されるマンションについて、引渡し後原則5年間の転売禁止特約などを設けるよう不動産協会に要請しました。
同年11月には不動産協会が、購入戸数の制限や契約・登記名義の厳格化、引渡しまでの売却活動禁止といった対策を発表しています。
そして2026年には、国土交通省が新築マンションの価格高騰への対応を税制改正要望に盛り込み、自民党を中心とした与党内でも短期売買への課税強化が議論されるようになりました。
ただし、千代田区による要請、不動産協会による販売段階の対策、国が検討する税制改正は、それぞれ内容が異なります。
今後は、短期転売を抑制するための仕組みと、実際に居住するために住宅を購入する方の利益をどのように両立させるかが焦点になると考えられます。
すでにマンションを所有している方や、これから購入を検討する方にとっては、規制の対象や契約条件を正しく理解することが大切です。
また、売却に伴う税負担については、所有期間や取得費、各種特例によって大きく変わります。
報道されている課税強化案だけをもとに売却時期を判断するのではなく、現行制度と今後の改正内容を確認し、具体的な税額や特例の適用については税務署・税理士等の専門家に相談しながら検討することをおすすめします。
参考情報
確認日:2026年10月23日
千代田区|千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請について(2025年7月18日)https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/koho/pressrelease/r7/r707/20250718-2.html
一般社団法人不動産協会|分譲マンションの投機的短期転売問題にかかる取組みについて(2025年11月25日)
https://www.fdk.or.jp/k_etc/pdf/tankitenbai_2511.pdf
国土交通省|不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表(2026年9月15日)https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo05_hh_000001_00276.html
国土交通省|令和9年度国土交通省税制改正要望事項(2026年8月)https://www.mlit.go.jp/page/content/002018722.pdf
国税庁|No.3211 短期譲渡所得の税額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
国税庁|No.3208 長期譲渡所得の税額の計算https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
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