東京都で広がるアフォーダブル住宅|家賃・入居条件・申込方法を解説
東京都では、子育て世帯や新婚世帯などが、比較的手頃な家賃で暮らせる「アフォーダブル住宅」の供給を進めています。
2026年6月には、東京都住宅供給公社(JKK東京)が、対象となる公社住宅の家賃を20%減額する取り組みを開始しました。さらに、東京都と民間事業者が連携するファンドでも住宅供給が進み、10月28日には江戸川区で新たな入居者募集が始まっています。
家族が増えたり、子どもの成長に合わせて広い住宅を探したりする際、毎月の家賃は大きな悩みの一つです。通勤や通学に便利な地域に住みたいと思っても、希望する間取りと予算が合わないこともあるでしょう。
アフォーダブル住宅は、こうした世帯に新たな選択肢を提供する取り組みです。
ただし、JKK東京による住宅と、民間事業者が供給する住宅では、家賃の設定方法や入居条件、申込窓口が異なります。
この記事では、東京都のアフォーダブル住宅の仕組みから、家賃、入居条件、2026年10月時点の募集状況、申込方法まで詳しく紹介します。
東京都で進むアフォーダブル住宅の供給
アフォーダブル住宅とは、一般的に、周辺の住宅市場と比較して手頃な家賃や価格で利用できる住宅を指します。
東京都が進めているのは、子育て世帯などが家賃負担を抑えながら安心して暮らせる賃貸住宅の供給です。
都内では、住宅価格や家賃の上昇によって、希望する地域や広さの住宅を選びにくい世帯もあります。東京都は、民間事業者の資金や既存住宅を活用し、住まいの選択肢を増やす方針を掲げています。
現在、具体的な入居者募集が進んでいる主な取り組みは、次の2つです。
| 供給方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| JKK東京による公社住宅の活用 | 対象となる子育て世帯・新婚世帯の家賃を20%減額 |
| 官民連携ファンドによる供給 | 東京都と民間事業者が出資し、周辺相場より手頃な家賃で住宅を提供 |
JKK東京は既存の公社住宅を活用する一方、官民連携ファンドでは、運営事業者が取得したマンションや戸建住宅などを活用します。
東京都はこのほかにも、都市開発と合わせた住宅供給や空き家の活用、リノベーションまちづくりなど、複数の方法でアフォーダブル住宅の供給を進める方針です。
JKK東京のアフォーダブル住宅は家賃20%減額
東京都住宅供給公社(JKK東京)では、2026年6月からアフォーダブル住宅の入居者募集を開始しました。
子育て世帯や新婚世帯を対象に、指定された公社住宅の契約家賃を20%減額して提供する取り組みです。
2026年度から毎年度200戸、6年間で累計1,200戸の供給を計画しています。
家賃が20%安くなる仕組み
JKK東京では、割引前の契約家賃から20%を減額します。
例えば、月額家賃が15万円の住宅であれば、減額後の家賃は12万円です。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 割引前の月額家賃 | 150,000円 |
| 割引後の月額家賃 | 120,000円 |
| 毎月の軽減額 | 30,000円 |
| 1年間の軽減額 | 360,000円 |
※説明用の計算例です。実際の募集住宅の家賃ではありません。共益費などは含んでいません。
月額3万円、年間では36万円の負担軽減となるため、家計にとっても小さくない金額です。
対象となる住宅は、JKK東京の公社住宅のうち、専有面積45㎡以上または2居室以上で、原則としてエレベーターを備えた指定住戸です。
周辺に学校や公園があるなど、子育てに適した住環境も考慮されています。
家賃の減額期間は最長12年間
家賃20%減額の適用期間は、世帯の状況によって異なります。
| 対象世帯 | 減額期間 |
|---|---|
| 子育て世帯 | 最長12年間 |
| 新婚世帯 | 原則3年間 |
| 入居後に子どもが生まれた新婚世帯 | 要件を満たせば合計最長12年間 |
子育て世帯の場合、入居日から12年が経過する時期と、末子が18歳になる年度末を比較し、早い方まで減額が適用されます。
新婚世帯として入居した後に子どもが生まれた場合も、所定の要件を満たせば、子育て世帯として減額期間を延長できます。
ただし、減額期間が最長12年間であっても、12年間の入居が保証されるわけではありません。
JKK東京のアフォーダブル住宅は、3年間の定期建物賃貸借契約(定期借家契約)です。
契約期間の満了後も住み続けるには再契約が必要で、JKK東京の審査を受けることになります。再契約の基準を満たさなければ、契約を継続できません。
また、家賃の減額期間が終了した後も、所定の条件で再契約ができれば、割引前の契約家賃で居住を継続できます。
長期間住む予定の方は、家賃の減額期間だけでなく、再契約の条件についても確認しておきましょう。
JKK東京のアフォーダブル住宅の入居条件
JKK東京のアフォーダブル住宅には、対象世帯や収入、現在の居住地などについて申込条件が設けられています。
対象となる子育て世帯・新婚世帯
子育て世帯は、申込期間の最終日時点で18歳未満の子どもがいる世帯です。妊娠中の子どもも対象に含まれます。
新婚世帯は、原則として夫婦ともに40歳未満で、入籍後3年未満の夫婦のみの世帯が対象です。
また、所定のパートナーシップ制度による証明を受けた方も、年齢や証明取得後の期間などの条件を満たすことで申し込めます。
なお、新婚世帯としての申し込みでは、婚約者や内縁関係にある方などは対象外となります。
年収1,200万円未満などの要件
対象世帯に該当することに加え、次の条件などを満たす必要があります。
| 項目 | 主な条件 |
|---|---|
| 居住期間 | 申込者本人が東京都内に継続して1年以上居住 |
| 収入上限 | 16歳以上の入居者・同居者全員の総収入合計が1,200万円未満 |
| 月収基準 | JKK東京が定める一般賃貸住宅の月収基準を満たす |
| 持家 | 原則として申込者・同居予定者が持家を所有していない |
| 保証 | 保証会社の利用または所定の連帯保証人が必要 |
収入条件は、最新の課税証明書などに基づいて判定されます。
また、総収入が1,200万円未満であっても、それだけで申込資格を満たすわけではなく、家賃の支払い能力を確認する月収基準もあります。この月収基準は、割引後の家賃をもとに判断されます。
持家については、売却予定の住宅や遠方に所有する住宅など、一定の事情がある場合には申し込みが認められています。
外国籍の方には在留資格などの追加要件もあるため、申込前に公式案内を確認してください。
なお、現在千葉県・神奈川県・埼玉県などに住んでいる方は、都内に継続して1年以上居住しているという要件に注意が必要です。
東京都外から転居を検討している場合は、後述する官民連携ファンドの募集条件も確認するとよいでしょう。
官民連携ファンドでもアフォーダブル住宅の供給が進む
東京都では、JKK東京の取り組みに加えて、民間事業者と連携した住宅供給も進めています。
2026年2月には、国内初となる「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」を創設しました。
東京都が合計100億円を出資し、民間からの資金と合わせて総額200億円以上のファンド規模を目指す取り組みです。
このファンドでは、民間事業者が住宅を取得・運営し、子育て世帯などに周辺相場より手頃な家賃で提供します。
2026年5月29日には、株式会社ヤモリ・三菱UFJ信託銀行株式会社と、野村不動産株式会社・野村不動産投資顧問株式会社が運営する2つのファンドで、入居者募集が始まりました。
さらに10月28日には、別のファンドでも募集が開始されています。
ファンド全体では、約350戸のアフォーダブル住宅の供給が見込まれています。
2026年10月、江戸川区で新たな入居者募集
2026年10月28日、東京都は官民連携ファンドによる新たなアフォーダブル住宅の入居者募集開始を発表しました。
今回の住宅を供給するのは、株式会社LivEQuality大家さん、株式会社りそな不動産投資顧問、株式会社マックスリアルティーが運営するファンドです。
対象となるのは、東京都江戸川区の中古マンションで、初回は2戸を募集します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都江戸川区 |
| 最寄り駅 | 東京メトロ東西線「西葛西」駅徒歩16分 |
| 物件種別 | 中古マンション |
| 初回募集戸数 | 2戸 |
| 住戸面積 | 51㎡ |
| 家賃 | 月額67,000〜69,000円(共益費込) |
| 主な対象 | 世帯年収600万円未満の子育て世帯等 |
| 選定方法 | 選考・審査(都民優先) |
今回の初回募集住戸は、周辺の市場家賃の約60%に相当する水準で提供されます。
例えば、同程度の住宅の市場家賃が月額11万5,000円であれば、約6万9,000円に相当する水準です。ただし、この金額は制度を説明するための計算例であり、実際の周辺相場を示すものではありません。
なお、市場家賃の約60%という水準は、今回の初回募集住戸に関するものです。
同ファンド全体では、市場家賃の平均75%程度でアフォーダブル住宅を供給する計画となっています。
今回のマンションでは、既存入居者の退去によって空室が生じた際に順次アフォーダブル住宅へ切り替え、合計23戸を供給する予定です。
ファンドによって家賃や入居条件は異なる
官民連携ファンドでは、各運営事業者が住宅を供給するため、家賃の設定や収入条件、申込方法などが物件ごとに異なります。
JKK東京の家賃20%減額や世帯総収入1,200万円未満という条件を、そのまま当てはめることはできません。
また、江戸川区の募集では東京都民を優先する選定方法が公表されています。東京都外からの応募を検討する場合は、個別の募集要件を運営事業者に確認する必要があります。
アフォーダブル住宅の募集状況と申込方法
アフォーダブル住宅は、供給する事業者によって申込窓口や選考方法が異なります。
JKK東京では抽せん方式を採用していますが、官民連携ファンドでは各運営事業者が定める方法で入居者を選定します。
JKK東京は毎月募集を実施
JKK東京では、対象となる指定住戸を毎月20戸程度募集しています。
2026年10月の募集は、10月23日から26日まで実施され、すでに受付を終了しました。
申し込みは専用のWebフォームから行い、郵送での申し込みは受け付けていません。
抽せんによって入居予定者が決まり、当せんした方は住民票や課税証明書などを提出して入居審査を受けます。
今後の募集住戸や受付期間は、JKK東京のアフォーダブル住宅専用ページで案内されます。
JKK東京 アフォーダブル住宅専用ダイヤル
- 電話番号:03-3498-9005
- 受付時間:9時30分〜17時
- 定休日:日曜日・祝日
江戸川区の住宅は2026年11月11日まで申込受付
2026年10月28日に募集が始まった江戸川区のアフォーダブル住宅では、次の日程が公表されています。
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 募集開始 | 2026年10月28日 |
| オンライン説明会① | 2026年11月4日 19時〜20時 |
| オンライン説明会② | 2026年11月7日 10時〜11時 |
| 申込締切 | 2026年11月11日 23時59分 |
申し込みにあたっては、オンライン説明会への参加が必要です。
説明会への参加後、オンラインでの選考申し込み、選考・審査などを経て入居者が決定されます。
募集の詳細は、運営事業者が開設した「TOKYOアフォーダブル住宅」の専用サイトで案内されています。
なお、今回紹介した日程は2026年10月30日時点の情報です。受付期間や申込条件が変更される場合もあるため、実際に申し込む際には最新の公式案内をご確認ください。
アフォーダブル住宅に入居する前に確認したいこと
アフォーダブル住宅は家賃負担を軽減できる魅力がありますが、入居を検討する際には、契約条件や初期費用も確認しておきたいところです。
JKK東京では、敷金は原則として割引前の契約家賃2か月分です。保証会社を利用する場合には敷金0円となるプランも用意されています。
一方、共益費や駐車場使用料は家賃20%減額の対象外となります。
官民連携ファンドの住宅についても、敷金や保証料などの費用、契約期間、再契約の条件を個別に確認する必要があります。
特に注意したいのが、将来の家賃と契約期間です。
JKK東京では、子育て世帯の減額期間が最長12年間ですが、契約は3年間の定期借家契約となります。官民連携ファンドの住宅も、物件ごとに定められた契約条件を確認しましょう。
家賃が安いことに加え、子どもの通学環境や通勤時間、買い物の利便性、住戸の広さなども、長く暮らすうえでは大切な要素です。
家族の生活に合った住まいかどうかを、総合的に考えて選ぶことが望ましいでしょう。
まとめ|東京都のアフォーダブル住宅は今後も供給拡大へ
東京都では、子育て世帯などが家賃負担を抑えて暮らせるアフォーダブル住宅の供給が進んでいます。
JKK東京は、既存の公社住宅を活用し、対象となる子育て世帯・新婚世帯の家賃を20%減額する仕組みを導入しました。
一方、官民連携ファンドでは、民間事業者が住宅を供給しています。2026年10月には、江戸川区で月額67,000〜69,000円(共益費込)の住宅募集が開始されました。
両者は入居条件や家賃設定、申込方法が異なるため、ご自身の世帯に合う募集を探すことになります。
今後も東京都内で新たな住宅の供給が予定されており、住まいの選択肢が広がることが期待されます。
家賃負担を抑えながら東京都内で暮らしたいと考えている方は、JKK東京や各運営事業者の募集情報を確認してみてはいかがでしょうか。
なお、賃貸住宅の家賃上昇について詳しく知りたい方は、関連記事「家賃上昇リスクに備えるには?賃貸を続ける不安と自宅購入で考えたい住居費対策」もご覧ください。
参考情報
確認日:2026年10月30日
東京都住宅政策本部「都における『アフォーダブル住宅』について」
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/information/topics/r8/02/20260206100
東京都住宅供給公社「JKK東京が募集するアフォーダブル住宅」
https://www.to-kousya.or.jp/chintai/affordable/index.html
東京都住宅供給公社「JKK住宅を活用したアフォーダブル住宅の入居者募集開始」
https://www.to-kousya.or.jp/k_news/r8_5_29press.html
東京都産業労働局「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」
https://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.lg.jp/gfct/initiatives/green-finance/affordable-fund
東京都「官民連携ファンドによるアフォーダブル住宅の入居者募集開始について」(2026年10月28日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/ja/information/press/2026/10/2026102805
株式会社LivEQuality大家さん「リブクオリティTOKYOアフォーダブル住宅 第一号物件の入居者募集を開始」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000122624.html
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