市原市で土地を売却するには?境界・測量・解体・分筆の注意点を解説
市原市に所有している土地を売却したいと思っても、「境界が分からないけれど売れるのだろうか」「測量は先に済ませた方がよいのか」と迷う方もいらっしゃると思います。
古い住宅が建っている土地であれば、建物を解体して更地にするべきか、そのまま売却するべきかも悩ましいところです。
また、広い土地を分筆して売却したい場合や、自宅の庭の一部だけを売りたい場合には、通常の土地売却とは異なる注意点があります。
特に気を付けたいのが、古家の解体による固定資産税・都市計画税の変化や、土地を分筆して販売する場合の宅地建物取引業法との関係です。
自宅の敷地の一部を売却する場合には、残った建物の建ぺい率や容積率が建築基準法に適合しているかも確認しなければなりません。
ただし、土地を売却する前に、所有者自身ですべての調査や手続きを済ませる必要はありません。土地の状況を確認したうえで、必要な測量や解体を判断する方法もあります。
この記事では、市原市で土地の売却を検討している方に向けて、境界・測量の基本から、古家の解体、更地渡し、分筆売却に関する法律や税金の注意点まで、不動産売買の実務に沿って解説します。
なお、宅建業法上の免許の要否や、税制上の特例の適用可否は、個々の事情によって判断されます。具体的な計画を進める際には、関係行政機関や弁護士、税理士などの専門家にも確認してください。
市原市で土地を売却する前に確認したいこと
土地を売却する際、最初に確認したいのは所有地の現在の状態です。
同じ面積の土地であっても、前面道路の幅員、道路との接し方、敷地の形状、建築できる建物の種類などによって、買主の利用方法は変わります。
例えば、整った形状の住宅用地と、道路に接する部分が狭い旗竿地では、住宅を建築する際の計画に違いが生じます。土地に高低差がある場合には、擁壁の状態や造成工事の必要性も確認したいところです。
市原市には、五井・八幡宿・姉崎などの市街地から郊外の住宅地、市街化調整区域、農地まで、さまざまな土地があります。売却にあたっては、所在地ごとの都市計画や土地利用の制限を調べる必要があります。
所有者が最初に用意しておくと役立つのは、登記識別情報通知や権利証、土地の購入時の売買契約書、測量図、境界確認書、固定資産税の納税通知書などです。
もっとも、古くから所有している土地や相続した土地では、当時の資料が見つからないことも珍しくありません。
資料がそろっていなくても、不動産会社による査定や現地調査を始めることは可能です。
先に測量や解体を依頼するのではなく、土地の状態と売却条件を確認し、必要な作業を判断することをおすすめします。
土地の境界はどこまで確認する必要がある?
土地の売却では、隣接地との境界がどこにあるかを確認します。
現地に境界標が残っていれば、その位置を確認するところから始められます。ただし、境界標だけで判断するのではなく、登記資料や過去の測量図などとの照合も必要です。
長い年月が経過した土地では、境界標が見つからなかったり、ブロック塀やフェンスの位置が実際の境界と異なっていたりする場合もあります。
特に、昔から所有している土地や相続した土地では、所有者自身も正確な境界を把握していないことがあります。
土地の境界を確認する際には、主に次のような資料を使用します。
| 資料 | 確認できる主な内容 |
|---|---|
| 登記事項証明書 | 所在、地番、地目、登記地積、所有者など |
| 公図 | 土地の位置関係や区画の概略 |
| 地積測量図 | 測量による土地の形状、寸法、地積など |
| 境界確認書 | 隣接地所有者等との境界確認の内容 |
| 現地の境界標 | 境界を示す標識の位置 |
なお、公図は土地の位置関係を調べる資料ですが、それだけで境界の正確な位置を確定できるものではありません。
また、地積測量図も作成年代や測量の方法によって精度が異なります。
「筆界」と「所有権界」の違いにも注意が必要です。
筆界とは、登記上の土地を区画する公法上の境界を指します。一方、所有権界は、土地の所有権が及ぶ範囲の境界です。
両者が一致しない場合もあるため、境界について疑問が生じたときは、土地家屋調査士などの専門家に確認する必要があります。
さらに、隣接地との間にブロック塀やフェンスがある場合には、どちらの所有物なのか、境界を越えて設置されていないかも確認しておきたいところです。
樹木の枝や雨樋、建物の一部が隣地へ越境している場合も、売買条件に関係します。
境界が不明な土地でも売却の相談はできますが、その状態を買主にどのように説明し、どこまで確認して引き渡すのかについては、契約前に明確にしておく必要があります。
土地売却に確定測量は必要?現況測量との違い
土地を売却する際に、必ず確定測量をしなければならないという法律上の一律の義務はありません。
ただし、売却する土地の状況や買主の希望によっては、測量を求められることがあります。
測量にはいくつかの方法がありますが、土地売却の場面でよく使われるのが「現況測量」と「確定測量」です。
現況測量は、現地の境界標や構造物などをもとに、土地の形状や面積を把握するための測量です。隣接地所有者との正式な境界確認を伴わない場合もあります。
一方、確定測量は、隣接地所有者との境界確認や、必要に応じた道路・水路などの管理者との協議を経て、土地の境界を明らかにするために行います。
売却時には、境界確認書や確定測量図などが取引資料として利用されます。
例えば、住宅を建築する目的で土地を購入する買主は、建築可能な敷地面積や境界の位置を正確に把握したいと考えます。
そのため、測量図が古い土地や境界標が見つからない土地では、売主に確定測量を依頼することがあります。
一方、現況のまま引き渡すことを前提に取引条件を定め、改めて確定測量を行わずに売却するケースもあります。
測量費用は、土地の面積や形状だけでなく、隣接地の数、既存資料の状況、官民境界の確認の必要性などによって変わります。
境界確認に時間を要することもあるため、測量が必要と判断された場合には、売買契約や引渡しまでの予定も考慮しなければなりません。
測量や境界確認、分筆登記については土地家屋調査士が専門的な役割を担います。
売却予定の土地について、どの範囲まで測量する必要があるのか、不動産会社と相談したうえで土地家屋調査士に確認するとよいでしょう。
市原市の土地売却で確認したい道路・法令制限
土地の売却価格や買主の利用方法を考えるうえで、境界・測量と同じくらい確認しておきたいのが、道路と法令制限です。
特に住宅の建築を目的とする土地では、建築基準法上の道路に適切に接しているかが大きな判断材料になります。
建築基準法では、建築物の敷地は原則として同法上の道路に2m以上接する必要があります。ただし、建築物の用途や規模、地方自治体の条例などによって別の条件が設けられる場合もあります。
前面道路が狭い場合には、建築時に道路の中心線などから後退する「セットバック」が必要になることもあります。
セットバックによって建築に利用できる敷地の面積が減れば、買主の建築計画にも影響するでしょう。
また、市原市内の土地では、市街化区域と市街化調整区域の違いも確認する必要があります。
市街化区域は市街化を促進する区域で、用途地域などに応じて建築できる建物の種類や規模が定められています。
一方、市街化調整区域は市街化を抑制する区域であり、原則として開発や建築が制限されています。
既存建物がある土地でも、建て替えや用途変更に条件が設けられる場合があるため、売却前の調査が必要です。
農地についても注意が必要です。農地を農地として売買する場合や、宅地などに転用する目的で売買する場合には、農地法に基づく許可・届出などの手続きが関係します。
こうした土地では、登記上の地目だけでなく、現在の利用状況や都市計画上の区域区分なども確認し、市原市農業委員会などの関係部署に相談してください。
道路、都市計画、建築に関する条件は、市原市の公開資料や関係部署で調査できます。
特に建築可否については、図面や公開情報だけで判断せず、敷地の状況を踏まえて市原市の建築関係部署などに確認することをおすすめします。
関連記事:土地・戸建購入前に確認したい前面道路の種類とセットバックの注意点
古家付き土地は解体して売る?更地渡しとの違い
築年数の古い住宅が建っている土地では、建物を解体して更地にするべきか悩む方も多いと思います。
古家を解体すれば、買主が新しい住宅を建築する際の計画を立てやすくなります。一方で、売主には解体費用がかかり、税金にも影響する場合があります。
そのため、建物が古いという理由だけで、解体を先に進めることはおすすめしません。
古家付き土地・更地渡し・解体後売却を比較
古家のある土地を売却する方法は、大きく3つに分けられます。
| 売却方法 | 主な特徴 |
|---|---|
| 古家付き土地として売却 | 建物を残した状態で売却する。解体の要否や費用負担は契約条件による |
| 更地渡し | 売買契約で定めた条件に従い、売主が引渡しまでに建物を解体する |
| 解体してから売却 | 先に建物を撤去し、更地の状態で販売する |
古家付き土地として売却する場合、売主が解体費用を先に負担する必要がない点はメリットです。
買主が建物をリフォームして利用する可能性もありますし、解体を前提に購入する場合でも、買主の建築計画に合わせて工事を進められます。
ただし、売買価格や建物の取扱い、残置物の撤去範囲などについて、契約条件を明確にしておく必要があります。
更地渡しは、売買契約を締結した後、売主が建物を解体して引き渡す方法です。
先に買主との契約条件を決められるため、解体費用を見込んで売却計画を立てやすくなります。
もっとも、解体工事の遅れや地中埋設物の発見などによって、予定どおり引き渡せなくなる可能性もあります。契約時には、解体範囲、完了期限、予期しない地中埋設物が見つかった場合の対応などを確認しておきたいところです。
あらかじめ解体してから売却すれば、買主が土地の形状や高低差を確認しやすくなります。
その反面、買主が決まる前にまとまった解体費用を負担することになります。
また、登記されている建物を解体した場合、原則として滅失の日から1か月以内に建物滅失登記を申請する必要があります。
どの売却方法が適しているかは、建物の状態、想定する買主、解体費用、売却時期などを踏まえて検討するとよいでしょう。
解体すると固定資産税・都市計画税はどうなる?
古家の解体を検討する際、特に注意したいのが固定資産税・都市計画税との関係です。
住宅が建っている土地には、一定の要件のもとで「住宅用地の特例」が適用されています。
この特例では、住宅1戸につき200㎡までの小規模住宅用地について、固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1、都市計画税の課税標準額が3分の1に軽減されます。
200㎡を超える一般住宅用地の部分についても、別の軽減割合が設けられています。
ところが、住宅を解体して更地にすると、原則として住宅用地の特例が適用されなくなります。
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日の状況を基準に課税されます。
例えば、2026年11月に住宅を解体し、2027年1月1日時点で更地となっている場合、2027年度は住宅用地の特例が適用されず、土地の税負担が増える可能性があります。
ただし、住宅用地の特例で課税標準額が6分の1になることと、解体後の固定資産税が必ず6倍になることは別の問題です。
実際の税額には負担調整措置なども関係するため、解体前後の納税額を単純に比較することはできません。
また、解体によって建物自体の固定資産税が翌年度から課税されなくなる場合もあり、土地と建物を合わせた税負担を確認する必要があります。
なお、管理状態の悪い空き家については、特定空家等や管理不全空家等として法令に基づく勧告を受けると、建物が残っていても住宅用地の特例が適用されなくなる場合があります。
つまり、建物を残しておけば必ず住宅用地の特例を受け続けられるという考え方も適切ではありません。
古家の解体を検討する際には、解体予定日と売却予定時期を踏まえ、市原市の固定資産税担当部署で税負担の変化を確認することをおすすめします。
また、固定資産税・都市計画税の納税義務者と、売買契約に基づいて売主・買主間で行う税額の精算は別の問題です。引渡し時の精算方法についても、事前に確認しておくと安心です。
解体前に確認したい譲渡所得の3,000万円特別控除
古家の解体では、固定資産税・都市計画税だけでなく、売却時の譲渡所得に対する税金にも注意が必要です。
自分が住んでいた住宅とその敷地を売却する場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。
この特例は、住宅を取り壊して敷地のみを売却する場合でも、一定の要件を満たせば適用を受けられます。
国税庁は、主な要件として次の内容を示しています。
- 建物を取り壊した日から1年以内に、その敷地の売買契約を締結すること
- その住宅に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すること
- 建物を取り壊してから売買契約を締結するまで、その敷地を貸付けその他の用途に使用していないこと
このほかにも、譲渡先や過去に利用した特例との関係など、確認すべき要件があります。
例えば、以前住んでいた住宅を解体し、そのまま長期間売却できなかった場合には、特例の適用期限に注意しなければなりません。
また、相続した実家については、別の制度である「被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除」が適用される場合があります。
この制度は、一定の要件を満たす相続した空き家やその敷地を売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例です。
2024年1月1日以後の譲渡で、対象家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は、控除額の上限が2,000万円となります。
2026年10月時点では、2027年12月31日までの譲渡が制度の対象期間ですが、個々の相続については、相続開始日からの期限などもあります。
対象建物が1981年5月31日以前に建築されていることなどの条件があり、相続時の居住状況、売却代金、建物の耐震性や解体の時期も確認しなければなりません。
また、2024年1月1日以後の譲渡については、一定の条件を満たせば、買主が譲渡した年の翌年2月15日までに建物を解体する場合にも特例の対象となります。
そのため、相続した空き家についても、必ず売主が先に解体しなければならないわけではありません。
古家を解体する前には、固定資産税・都市計画税について市原市に確認するとともに、譲渡所得の特例について所轄税務署や税理士に相談してください。
税制上の特例は、解体や売却の時期によって適用できなくなる場合もあります。解体工事を契約する前に税務上の条件を確認しておくことが、売却後の手取り額を考えるうえでも大切です。
土地を分筆して売却する場合は宅建業法に注意
広い土地を所有している場合、土地を複数の区画に分けて売却することを検討する方もいらっしゃるでしょう。
住宅を建築するための土地であれば、一つの大きな敷地より、一般的な戸建住宅を建築しやすい面積に分けた方が、購入を検討する人の幅が広がる可能性があります。
ただし、ここで注意したいのが宅地建物取引業法です。
個人が所有する土地であっても、複数の区画に分けて販売する方法によっては、宅地建物取引業の免許が必要になります。
分筆登記を行うことと、分筆した土地を事業として販売することは、分けて考える必要があります。
分筆登記と土地の分譲は別の問題
分筆とは、登記上の一つの土地を複数の土地に分け、それぞれに地番を設ける手続きです。
例えば、300㎡の土地を200㎡と100㎡に分け、自宅の敷地として200㎡を残し、100㎡を売却する場合などに行います。
土地を分筆すること自体は、宅地建物取引業法で禁止されている行為ではありません。
問題になるのは、分筆した土地をどのような目的や方法で販売するかという点です。
宅地建物取引業法では、宅地や建物の売買などを「業として」行う場合、原則として宅地建物取引業の免許が必要になります。
国土交通省は、宅地建物の取引が事業として行われているかどうかについて、次の5つの要素を総合的に判断するとの考え方を示しています。
| 判断要素 | 事業性が高いと判断されやすい事情 |
|---|---|
| 取引の対象者 | 不特定多数の一般消費者を対象とする |
| 取引の目的 | 利益を得る目的で取引する |
| 物件の取得経緯 | 転売目的で取得した不動産を売買する |
| 取引の態様 | 自ら買主を募集し、一般消費者に直接販売する |
| 反復継続性 | 複数の買主に販売する、売買を繰り返す |
例えば、相続した土地を相続税の納税資金に充てるために売却する場合と、転売による利益を得る目的で土地を購入し、複数区画に分けて販売する場合とでは、取引の目的や取得経緯が異なります。
ただし、相続した土地だからといって、どのような販売方法でも宅建業法の規制を受けないということにはなりません。
また、分筆後の土地を一人の買主にまとめて売却する場合と、複数の買主に区画ごとに売却する場合でも、取引の性質が異なります。
免許の要否は、分筆の有無や区画数だけで決まるものではなく、取引全体の事情を踏まえて判断されます。
分筆した土地を複数の買主へ売却する場合
特に注意したいのが、一つの土地を複数の区画に分け、それぞれ別の買主へ販売するケースです。
例えば、600㎡の土地を200㎡ずつ3区画に分け、3人の一般消費者へ売却する場合を考えてみます。
土地所有者としては、もともと一つの土地を売却するだけなので、一回限りの資産処分と考えるかもしれません。
しかし、国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、1回の販売計画であっても、区画割りした宅地を複数の買主へ販売する場合は、反復継続的な取引に該当するという判断基準が示されています。
反復継続性は、過去に何度も不動産を売買している場合だけに認められるものではありません。
これから複数の買主へ販売する予定がある場合も、判断の対象になります。
さらに、大分県の公式サイトでは、土地所有者が一筆または数筆の宅地を数区画に分割し、不特定多数の者へ売却する行為について、宅建業の免許が必要になると明確に説明しています。
このような販売を無免許で行い、宅地建物取引業に該当すると判断された場合には、宅建業法違反となります。
実際の裁判例でも、土地を多数の区画に分けて販売した行為が問題となっています。
最高裁判所第二小法廷の昭和49年12月16日決定では、山林を60数区画の分譲住宅地に造成し、その一部を16回にわたって一般の買主に売却した事案が扱われました。
最高裁は、宅地建物取引業を営む行為について、営利の目的で反復継続して行う意思のもとに取引を行うことを意味すると判断し、上告を棄却しています。
この裁判例は、多数の区画を一般消費者へ販売した事案であり、個人が自宅敷地の一部を一度だけ売却する場合と同じ状況ではありません。
それでも、もともと所有していた土地を売却する場合であっても、販売方法によっては宅建業法上の規制を受けることを示す参考事例といえます。
分筆した宅地を複数の買主へ販売する計画がある場合には、区画数や取得経緯、販売目的、過去の取引状況などを明らかにしたうえで、千葉県の宅建業免許担当部署や弁護士などに相談してください。
不動産会社に仲介を依頼しても免許の問題は残る
土地所有者の中には、「不動産会社に仲介を依頼すれば、分筆した土地を複数の買主へ売却しても問題ないのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、宅建業者に仲介を依頼したことだけで、売主自身の宅建業免許の問題が解消されるわけではありません。
大分県の公式Q&Aでも、不動産会社に媒介や販売代理を依頼した場合であっても、土地所有者自身が宅建業の免許を必要とする取引に該当すれば、無免許営業の問題が生じると説明しています。
また、不動産適正取引推進機構(RETIO)の2025年春号では、無免許営業と媒介業者の責任について、実際の裁判例を取り上げています。
名古屋高等裁判所の令和4年9月15日判決では、宅建業免許のない法人が転売目的で取得した土地を複数回売却した事案について、その取引に関与した買主側の媒介業者の代表者に、無免許営業の幇助が認定されました。
この事案は、複数の土地を転売する取引に関するものであり、分筆した自宅敷地の売却そのものを扱った事件ではありません。
ただし、不動産会社が仲介に入っていても、無免許営業の問題が解消されず、媒介業者側の責任にも発展する可能性があることを示しています。
土地を複数区画に分けて売却したい場合には、所有者自身が区画ごとに販売する方法だけでなく、土地全体を一人の買主へ売却する方法や、宅建業者へ一括売却する方法なども検討できます。
このうち、宅建業者への一括売却は、所有者が複数の一般消費者へ直接分譲する場合とは取引の形態が異なります。
どの方法が適切かは、土地の面積、需要、売却目的、税金なども踏まえて判断する必要があります。
なお、国土交通省の基準では、宅建業者に媒介や代理を依頼することは、事業性が低い方向に働く判断要素の一つとされています。しかし、それだけで無免許営業に該当しないことが確定するわけではありません。
分筆による複数区画の販売を検討している場合には、販売活動を始める前に千葉県県土整備部建設・不動産業課などへ確認し、必要に応じて弁護士等の法律専門家に相談することをおすすめします。
自宅の敷地の一部を売却する場合の注意点
自宅の庭や駐車場など、敷地の一部を売却したいと考えることもあるでしょう。
例えば、敷地面積が300㎡あり、そのうち100㎡を売却して、残った200㎡を自宅の敷地として利用するようなケースです。
このように自宅を残したまま土地の一部を売却する場合には、複数区画の分譲とは異なる事情があります。
自己利用していた土地の一部を、一回限りの資産処分として売却する場合は、一般的に事業性が低い方向に働く要素があります。ただし、売却の目的や販売方法、過去の取引なども含めて宅建業法上の判断が必要です。
そして、自宅の敷地の一部を売却する際には、宅建業法だけでなく、建築基準法にも注意しなければなりません。
残った自宅の建ぺい率・容積率と接道を確認
土地の一部を売却する場合、特に注意したいのが、残った自宅の敷地面積が小さくなることです。
建ぺい率は、敷地面積に対する建築面積の割合です。
一方、容積率は、敷地面積に対する容積率算定上の延べ面積の割合を指します。
例えば、次のような土地と建物を考えてみます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現在の敷地面積 | 300㎡ |
| 自宅の建築面積 | 90㎡ |
| 自宅の延べ面積 | 160㎡ |
| 売却する土地 | 100㎡ |
| 売却後の自宅敷地 | 200㎡ |
| 建ぺい率の上限 | 40% |
| 容積率の上限 | 60% |
※延べ面積160㎡の全てが容積率算定の対象となるものとして計算します。建ぺい率・容積率の上限や緩和規定は、実際の土地の条件によって異なります。
売却前の建ぺい率は、90㎡÷300㎡で30%です。
容積率は160㎡÷300㎡で約53.3%となり、いずれも上限の範囲内です。
ところが、100㎡を売却して自宅敷地が200㎡になると、建ぺい率は45%、容積率は80%に上昇します。
その結果、建ぺい率40%、容積率60%という上限を超えてしまいます。
このように、もともと適法に建築された住宅であっても、敷地の一部を売却することで、既存建物が建築基準法に適合しなくなる可能性があります。
また、確認が必要なのは建ぺい率・容積率だけではありません。
土地を分けることで、残った自宅の道路への接道が不足したり、敷地面積の最低限度を下回ったりする場合もあります。
自宅の給排水管が売却予定地を通っている場合には、配管の移設や使用に関する権利関係の調整も必要になるでしょう。
さらに、駐車スペースや通路、擁壁、隣地への越境物なども、売却前に確認しておきたい事項です。
東京都三鷹市の建築指導課でも、建物が建っている敷地の一部を譲渡する場合、既存建物の敷地面積が減少し、違反建築物となる可能性があることを注意喚起しています。
ここで気を付けたいのが、登記上の分筆と、建築基準法上の敷地の関係です。
土地を分筆すれば、それぞれ別の地番を持つ土地になります。しかし、登記上の土地の区画と、建築基準法上の建物の敷地の範囲は必ずしも一致しません。
そのため、分筆登記を行っただけで、売却する土地と残った自宅敷地の双方が、建築基準法に適合する独立した敷地になるわけではありません。
自宅の敷地の一部を売却する場合には、分筆位置を決める前に、残った建物の適法性を確認することが必要です。
建築確認関係の資料や配置図などを用意し、建築士や市原市の建築関係部署などに相談してください。
分筆登記については、土地家屋調査士への確認も必要になります。
自宅を残して土地だけ売る場合の税金
自宅の敷地の一部を売却する場合には、税務上の取扱いにも注意したいところです。
自分が住んでいる住宅とその敷地を売却する際には、一定の要件を満たすことで、居住用財産の3,000万円特別控除を利用できます。
しかし、自宅の建物を残したまま、その敷地の一部だけを売却する場合には、原則として、この特別控除は適用されません。
国税庁は、居住している家屋の敷地の一部を売却する場合、原則として家屋と同時に売却することが特例の対象となる条件であると説明しています。
そのため、自宅を残して庭や駐車場の一部だけを売却し、譲渡所得が生じた場合には、譲渡所得に対する税金が発生する可能性があります。
土地の取得費についても、もともとの土地全体の取得費を、売却部分と残存部分に合理的に配分する必要があります。
特に、古くから所有している土地や相続した土地では、取得時の売買契約書が見つからず、取得費の確認に時間を要する場合もあります。
また、土地の一部売却によって、自宅敷地として利用している部分が変わると、固定資産税・都市計画税の課税上の取扱いにも影響する可能性があります。
売却によって現金を得られたとしても、測量費用、分筆登記費用、仲介手数料、譲渡所得に対する税金などを差し引くと、想定より手取り額が少なくなる場合もあるでしょう。
加えて、敷地の一部を売却することで、残った自宅の利用方法や将来の売却条件が変わることも考えられます。
自宅の敷地の一部を売却する際には、建築基準法上の問題だけでなく、譲渡所得や固定資産税等への影響について、所轄税務署、市原市の担当部署、税理士などに確認してから進めることをおすすめします。
土地売却にかかる費用と手続きの流れ
土地の売却では、売買代金がそのまま売主の手元に残るわけではありません。
仲介手数料や印紙税などのほか、土地の状態によっては測量費用、分筆登記費用、建物解体費用などが発生します。
また、売却によって利益が生じた場合には、譲渡所得に対する税金も考慮する必要があります。
主な費用をまとめると、次のとおりです。
| 費用 | 発生する主なケース |
|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社の仲介によって売買契約が成立した場合 |
| 印紙税 | 課税対象となる売買契約書を作成する場合 |
| 測量費用 | 境界確認や測量が必要な場合 |
| 分筆登記費用 | 土地の一部を分筆して売却する場合 |
| 建物解体費用 | 売主負担で古家を解体する場合 |
| 登記関係費用 | 抵当権抹消や建物滅失登記などが必要な場合 |
| 譲渡所得に対する税金 | 売却によって課税対象となる譲渡所得が生じた場合 |
これらの費用が、すべての土地売却で発生するわけではありません。
例えば、境界確認資料が整っている土地では、新たな確定測量を必要としないこともあります。
一方、古家の解体や分筆を行う場合には、複数の業者・専門家への依頼が必要になり、費用が大きくなることも考えられます。
土地売却の一般的な流れは、査定・現地調査、売却方法の検討、媒介契約、販売活動、購入申込み、売買契約、決済・引渡しという順番です。
境界確認や測量、建物解体などは、売却条件に応じて適切な時期に進めます。
例えば、買主との売買契約で確定測量や更地渡しを条件とする場合には、引渡しまでの期限に間に合うよう手続きを進める必要があります。
また、土地に抵当権が設定されている場合には、売却代金による借入金の返済や抵当権抹消について、事前に金融機関との調整が必要になることもあります。
相続した土地を売却する場合には、原則として相続登記を済ませ、買主への所有権移転登記ができる状態にしておく必要があります。
相続登記について詳しく知りたい方は、相続登記義務化と不動産売却の注意点もご覧ください。
土地売却では、売却価格だけに目を向けず、必要な費用を差し引いた手取り額を見込んでおくと、その後の資金計画も立てやすくなります。
譲渡所得の計算や税制上の特例については、取得費や所有期間、過去の利用状況などによって取扱いが異なります。申告の要否を含め、税務署や税理士に確認してください。
まとめ|土地売却は測量・解体・分筆の前に確認を
市原市で土地を売却する際には、境界や測量の状況、前面道路、法令制限など、土地の状態を確認することから始めます。
古家付き土地であれば、建物を残したまま売却する方法と、更地にして引き渡す方法を比較する必要があります。
特に、解体によって固定資産税・都市計画税の負担が変わる可能性や、譲渡所得の特別控除には適用条件が設けられていることに注意したいところです。
また、土地を分筆して複数の買主へ販売する場合には、宅建業法上の免許の要否を確認しなければなりません。
自宅の敷地の一部を売却する場合には、残った建物の建ぺい率・容積率や接道義務など、建築基準法への適合性も調べる必要があります。
土地の売却方法を決める前に調査することで、不要な費用を負担したり、分筆後に法令上の問題が生じたりする事態を避けやすくなります。
ただし、所有者が最初からすべての資料を用意し、測量や解体を終えておく必要はありません。
まずは土地の所在地や面積、建物の有無、売却の希望時期などをもとに、現状でどのような売却方法が考えられるのか確認することから始めてはいかがでしょうか。
なお、税務上の特例や宅建業法上の免許の要否、建築基準法への適合性については、個々の状況によって判断されます。解体・分筆・販売を進める前に、関係行政機関や税理士、弁護士、建築士、土地家屋調査士など、適切な専門家に確認することをおすすめします。
参考情報
確認日:2026年10月27日
国土交通省|宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(令和8年4月1日施行版)
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001881261.pdf
大分県|宅地建物取引業及び宅地建物取引士関係のよくある問い合わせ
https://www.pref.oita.jp/site/takken/takken-q-a.html
一般財団法人不動産適正取引推進機構|RETIO 2025年春号・不動産取引紛争事例等調査研究委員会(第333回)検討報告
https://www.retio.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/137-088.pdf
三鷹市|敷地分割について
https://www.city.mitaka.lg.jp/c_service/068/068681.html
東京都主税局|固定資産税・都市計画税(土地・家屋)
https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
国税庁|No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3320.htm
辰巳地所のご紹介
株式会社辰巳地所は、千葉県市原市を拠点に、千葉県内および首都圏一都三県で不動産の売買仲介を行っています。
市原市内の土地売却についても、査定から現地調査、役所調査、販売活動、売買契約、決済・引渡しまで対応しています。
土地の売却では、境界や前面道路の状況、建築に関する法令制限、古家の有無などを確認したうえで、物件に合った売却方法を検討することが大切です。
古家付き土地や相続した土地、自宅敷地の一部売却などについてもご相談いただけます。
分筆による複数区画の販売や、建築基準法への適合性、税金に関する問題については、関係行政機関や弁護士、税理士、土地家屋調査士、建築士など、適切な専門家への確認をご案内します。
また、当社では売却時の仲介手数料について、一般的な法定上限額の半額を基本としてご相談を承っています。
具体的な仲介手数料は、物件価格や取引条件などによって個別にご案内いたします。
市原市で土地の売却をお考えの方は、査定前の段階からお気軽にご相談ください。
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